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2007.08.21

メンフィス / MEMPHIS

1980年12月にエットーレ・ソットサスと彼のアソシエイツのメンバー、ミケーレ・デ・ルッキらを中心に結成されたアヴァンギャルドデザイン集団。

ミラノにあるギャラリーのオーナー、ゴダーニ夫妻の作品製作依頼を受け、50年代からイタリア企業ポルトロノヴァ社でソットサスの家具を手がけていた家具職人レンッオ・ブルゴラらの協力を得てコレクションを発表。メンフィスの名前はソットサスのスタジオでのミーティングの際、偶然レコードプレーヤーからけだるく流れていた音楽、ボブ・ディランの「メンフィス・ブルース」に由来する。メンフィスとはアメリカ南部の広大な大地と、エジプト文明の融合。すなわち人工物と自然物、崇高なものと邪心なものの融合のことでもある。

1981年の9月にはゴダーニ夫妻のギャラリー「ARK74」で初の個展を開催。ティラノサウルスが描かれた招待状を持った、世界中からのジャーナリストやデザイナーたちの熱狂で会場は包まれたという。

代表作はソットサスのブックシェルフ「カールトン」、卓越した装飾パターンを生み出したナタリー・ドュ・パスキエの作品や、梅田正徳の「タワラヤ」など。60年代から続くソットサスらのラディカル建築/デザインの思想の流れを汲むクライアントの制約のない、デザイナーの自由な発想のもとに庶民のためのプロダクトをつくった。その作品は安価なラミネート板や合板を使用しているものの、特殊なプリントを施されたそれらのマテリアルは、昔ながらの職人の手わざを必要とするクラフト的要素の強いものだ。

その後さまざまな模倣・模造品を生みメンフィスが作り上げた造形は消費されつくされた。彼らの意図に反してメンフィスの作品は一部のコレクターや博物館に買い上げられ、法外な値段を付けられたそれらは庶民の暮らしに行き渡ることはなかった。日本も時代は折りしもバブル前夜。チープでゴージャス、極めて造形的なメンフィスのプロダクトの模倣作品はポスト・モダンの流行の波のなかで消費の対象になった。

参加したデザイナーは、ソットサス、デ・ルッキ、パオロ・ナボーネ、テリー・ジョーンズ、ナタリー・ドュ・パスキエ、ラディカルデザインからの盟友アンドレア・ブランジ、アレッサンドロ・メンディーニら。

日本からは河野鷹思のもとでインテリアデザインを手がけた梅田正徳、建築家の磯崎新、プロダクトデザイナーであり優れたインテリアデザイナーであった倉俣史朗が参加。重要な役割を示した。メンフィスの活動は1988年にはソットサスが離脱し収束に向かったが、その後も会社組織としてのメンフィスは残り、「メタ・メンフィス」コレクションなどを発表、現在もクラッシック・コレクションを含め存続している。
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