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2007.12.26

ヨーリス・ラーマン / Joris Laarman

ヨーリス・ラールマンは1979年生まれのプロダクト・デザイナー。
オランダの中部にある小さな町Borculoで生まれる。

1997年デザイン・アカデミー・アイントフォーフェンでデザインについての専門的な講義を受けはじめる。2003年にはドローグ・デザインで装飾的な壁付のヒーター『ヒート・ウエーヴ』を発表する。
この年にロッテルダムの港湾地区に仲間たちとともに自らのアトリエ、ヨーリス・ラールマン・ラボラトリーを設立。
ラボラトリーが入居するロフトにはレム・コールハースのオフィスや、友人デマーカスファン、クリスティン・メンデルツマ、リチャード・ハッテンらがアトリエをシェアしており、グラフィック・デザインやプロダクト・デザイン、それらあらゆるクリエーション豊かな才能の持ち主たちが自由闊達な活動を展開するクリーティブ・ファクトリーになっている。

ヨーリス・ラールマンの名を一躍有名にした繊細なレースとも、織物の襞(ひだ)ともとれる大胆な作品『ヒート・ウエーヴ』は、連結可能なモジュールともいえる無限増殖するラジーター型ヒーターである。
ロココ調の調度品をおもわせるヒーターは、壁をいろどる無邪気なオブジェともとれる。それは美的な感性に満たされた生活を約束するプロダクトというよりも詩的な、「コンクリート・ポエム」そのものであった。
ラーマンがデザインした、豪奢なロココ・モチーフを与えられた壁のためのオブジェは、まさしくオブジェとしての役割を積極的に担い、実用と装飾というわれわれが生活するうえで求める、美的で快適な生活を標榜するプロダクトとしての側面を強調する。

ガラス繊維でコーティングされたコンクリートをマテリアルに使用し、内部に通常は床暖房に見られるアルミニュウム管が通る。 コンクリートという素朴な素材の表情が、ものとしての存在感を一層強調するとともに、ラールマンがつくり出すデコラティヴな要素を支える重要なファクターとなっていることは疑う余地がない。
  『ヒート・ウエーヴ』は歴史的な背景を担ったヨーロッパの伝統的な住環境と、現代的な感性とのマッチングのうえにこそ成立する、物本来の姿の探求における極めて冒険的なチャレンジともいえる。

彼にとって作品の構想を生み出すことは容易いことのようである。
近年ラールルマンは作品づくりのそのプロセスの方に重きをおき、それがどこにどのような製作会社で、合理的な方法でプロダクトとして生産され得るのかという難問にチャレンジしているという。機能というものを考え、それを徹底的に再構築する事の上に成り立ったラールマンの出世作『ヒート・ウエーヴ』は、環境にとってよりクリーンな温水ヒーターとしてベルギーにあるJaga社により量産が開始されたばかりだ。

オランダのドローグ・デザインから発表された最新作ボーンファニチャーは、近未来のSF映画にでも登場しそうな、あたかもギーガーの絵画に描かれたアンドロギュノスのようにも見えるチェアである。
彫刻的なフォルムが際立ったボーンファニチャーには、デザインとアートがより境目のない時代に突入したことを告げる驚きがある。
それは椅子そのものがもつはずの機能が、装飾的なモチーフを失いながらも、なおかつ椅子として装飾的なモチーフを得ることに成功している稀有な先例になるだろう。

ボーンファニチャーにあってテクノロジーは、クラフトを有効的に活用するための役割に甘んじているようにみえる。技術はそれがある意図に従って用いられるとき、もはやそれは手段でもプロセスでもない。テクノロジーの応用はまた新しいステップにさしかかっている。

このような世界的な企業やギャラリーとのコラボレートにより、ラールマンの個人的な思索のなかから生まれたアーティスティックな気風に満ちたオブジェが、どのような進化の過程を経て世界的なプロダクトへと変貌していくのか、これからが楽しみな作家である。

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