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高橋理子
2008.07.07

オウプナーズ連載スタートにあたって(1)

HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー

 
ファッションブランドやセレクトショップの秋冬展示会も終わって、気持ちのなかではもう秋冬モノのコンテンツの準備です。
オウプナーズのサイト・リニューアルを機に、ファッションカテゴリーの新しいメンバーを捜していたんですが、出会ってしまったのが、足袋とレッグアイテムの老舗である福助の展示会。
「面白いデザインの足袋があるなぁ」と商品を見ていたら、独特なデザインの着物を着て説明してくれたのが、その足袋をデザインしたクリエイターの高橋理子(ひろこ)さん。「HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)」というプロダクトブランドを展開している女性です。
そのときはじめてお会いしたんですが、経歴を見たり、立ち話をしていて、これはぜひ、オウプナーズのファッションカテゴリーに参加してもらおう! と即決、相談。
オウプナーズFASHIONに、東京藝大の博士号を取得した30歳の女性クリエイターが登場します。まずは、連載スタートにあたっての最新インタビューを2回にわたっておおくりします。

Photo by Jamandfix
まとめ=梶井 誠(本誌)

そういえば、着物はどうなっているんだろう?

──きょうもステキな着物ですね

ありがとうございます。これは『HIROCOLEDGE』のこの夏の新作の浴衣です。

──高橋さんは着物デザイナーというより、とても現代的なファッションデザイナーにちかいと思うのですが……

私は和服と洋服をとくに分けて考えていません。おなじように着ているし、おなじ感覚でつくっています。幼いころから洋服のデザイナーになりたくて、東京藝術大学の大学院を修了後、アパレル企業にデザイナーとして一度就職もしました。服が人の暮らしを豊かにするということは実感していましたが、この活動をはじめて、衣食住にかかわるものは、影響し合いながら発展してきたということに気がつきました。衣服だけではなく、より広い範囲で生活にかかわるすべてのものをつくっていきたいと思っています。
──三宅一生さんのプロジェクトなどにも参加されていますね

はい、去年の夏に東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで開催されたサマープログラム「落狂楽笑」での演者だった柳家花緑師匠の衣裳を手がけました。また、この夏には、大阪のELTTOB TEP ISSAY MIYAKEのショップでも展示をしていただいています。
以前、一生さんとお話しをしたときに、「私は着物をおいてきぼりにしてきたから」とおっしゃったんです。「いまの時代にきみのような人ががんばってくれるのはうれしい」と。西洋の衣服文化と格闘してきた一生さんからそう言われたことはとても励みになりましたね。

高橋理子 高橋理子

和服の進化した姿は、このかたちではないかもしれない

──なぜ、着物なんですか?

私は藝大で染織を学びました。日本の伝統技法を学ぶさいにはいつも着物を手本に技術を学び、職人さんとのものづくりも経験しました。着物が身近にあることはとても自然なことでした。アパレル会社を退社したあと、藝大の大学院博士課程に再入学して、まだまだ勉強不足であった着物の世界をさらに追い求めました。
和服はある時期からかたちも色柄も進化を止めています。もし洋服とおなじようにクリエイターが熱心に取り組み、洋服とおなじレベルで着続けていたら、洋服が進化してきたように着物も変化し、いまのこのかたちではないかもしれません。私は、着物がもついい部分は残しながら、このかたちから発展した日本の衣服を模索していきたい。でもそれは表面的な形や柄の要素のことではなく、日本ならではの精神性といった内面の部分はそのままに、時代に合った和服を生み出していくということ。そこを模索しはじめないと、いまの「和ブーム」や「エコブーム」に乗った一時の流行で終わってしまいます。
──そういうテーマの取材オファーはたくさん来るでしょうね

和のブームも時代の流れではあると思うし、『HIROCOLEDGE』では風呂敷や手ぬぐいもつくっていますから、エコロジーというテーマの取材もあります。
よく「どうして和にこだわっているのですか?」と聞かれますが、特別にこだわっているわけではなくて、私はこれが自然で必然だと思っています。この国に生まれ、身近な職人さんたちと一緒にものづくりをすることはとても自然な成り行きなんです。
着物は、直線だけでつくられていて、捨てるところがありません。それは長く当たり前のことだし、私たち日本人は、洋服も着物も両方おなじように着ることができる環境にいます。
ブームというとらえ方だけでは、私が考えていることは絶対伝わらないし、そのことで悩むこともありますね。
──高橋さんのつくるデザインの意味するところは?

私のつくるものが、何かを考えるきっかけになってくれればと……。
たとえば、私の着物を通して、気づくことはたくさんあると思います。でも、手にとってもらえなければ、その何かに気づいてもらうこともできません。手にとってもらうためには、見た目のよさは当たり前のようにあって、それが使えて、便利で、その背景にある歴史や伝統技術、職人の存在や考え方などに気づかせてくれる。ただカワイイだけのものではない、伝えるべき背景のあるものを生み出していきたいと考えています。
私の作品はすべて丸と直線の組み合わせでデザインされていますが、最低限の要素で、どこまで無駄なくおもしろいものがつくれるのかということに挑戦しているんです。かつての日本で生まれた無駄のないものづくりを知ってもらう、ひとつのきっかけになるような、意味あるデザインができたらいいですね。





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