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第1回 店つくります
地下鉄表参道駅から根津美術館へ向かう道は、コムデギャルソン、ISSEY MIYAKE、D&G、プラダ、カルティエ、そして1975年に竣工したフロムファーストビルと続く。坂田真彦さんの新しい店「archive&style」は、12月末にフロムファーストビルに誕生する。
![]() photo by SHIMIZU Yuki
洋服はいろんなことを教えてくれる
ショップを出そうと物件探しに本気になったのは1年ぐらい前です。どうしてフロムファーストビルなのかというと、僕にとっては、自分が選んだ、自分たちがいいと思っている服(古着)は、インポートブランドや高級ブランドのものと同じぐらい価値がある、思いとしてはそれ以上の深みがあると思っているからです。 ずっとメンズウェアのデザインとクリエイティブディレクションに関わってきて、服をつくる上で基礎になること、知識として必要なものは古着が教えてくれました。たくさんの面白い服たちは「どうしてこんなものを人はつくるのだろう」と探求心を刺激してくれます。そんな服と出会い、掘り下げていって、時代を感じたり、素直に感動したりしながら、古着を中心に何かを表現できないかなと思ったのが出店の始まりでした。今回の店「archive&style」は、僕と、古着の世界で10年以上バイヤーをしていてファッションとしての視点をしっかり持っている友人2人がチームを組んで取り組みます。 表現したいのは、例えばイギリスなら伝統的なテーラリングを、アメリカならアメリカを感じる荒削りな味のワークやウエスタンを、イタリアなら卓越したハンドワークなど、それぞれの土地に根づいているものを明確に見せていきたい。その根底にはテーラードがあって、アイテムではジャケットを軸に考えています。主にメンズですが、ウィメンズとキッズも少し並べるつもりです。 ![]() photo by SHIMIZU Yuki
今日、僕が着ているジャケットの話をします。 これは僕が二十歳のとき初めて海外へ行ったときにロンドンのケンジントンマーケットで買ったものです。古着とインディーズのデザイナーものを売っていた雑居ビルの中の古着屋で、髪の毛をツンツンに立てたパンクの兄ちゃんに、「これいいよ」と勧められたもので、ネクタイ付きのスーツで当時3万円ぐらい。モールの刺繍と金ボタンのクオリティに惚れました。パンク兄貴は「30年代のもの」とそのとき言っていましたが、たぶん40年代でしょう。 当時(1990年)、日本は渋カジの紺ブレブームで、僕はこのジャケットにペインターパンツを合わせていました。みんなが着ているアメリカの紺ブレと違って、肩幅が明らかに狭くて、コンケープ気味で、芯がしっかり入っているのがわかる着心地で、あの頃、得意になって着ていたのを思い出します。 袖口のボタンの付け方や、モールのデザインなど、これ一着でもちゃんと歴史を感じさせてくれて、いろんなことを考えさせてくれます。それがファッションを楽しむということだと思います。 「archive&style」では、少量ですが、アフガニスタンのコートやコインを使ったベルトなども扱います。コイン使いは、全財産を身に纏いたいという願望なんでしょうね。そういうところから装飾が始まっていきます。それはそれでアメリカとは全然違うところでのストリートファッションだと思うし、そういう発見を集めて紹介したい。
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