2011.02.28
緊急対談|スタイリスト島津由行×ディレクター源馬大輔
2011年メンズ 春夏シーズンのトレンドの押さえどころ!<後編>
今季はカオスからグローバルミックスへ!!(1)
多様化が進むメンズファッション。これまでメンズにありがちだった“ねばならない”といった規範はもう過去のものになりつつあり、さまざまなテイストの服が溢れカオス的な状況を呈している。さらにいえば、大きな潮流というものがなくなりつつあるのも確か。そんななか、果たしてなにをどう着ればいいのだろうか。そこでベテランスタイリスト島津由行さんと、クリエイティブディレクターの源馬大輔さんに、2011年春夏のメンズファッションを分析していただくスペシャル対談を緊急開催!! ファッションを知り尽くした二人の見巧者から、いまを知るキーワードがいろいろと飛び出した。前編に引きつづき後半をお届けする。おさえどころ満載!
文=OPENERS
写真=野村正治
カジュアルウエアはデニムとショーツにカギがある
島津 商売的にはジュンヤ(・ワタナベ・コム デ ギャルソン マン)のマリンスタイルとか、売れているんじゃないかな。ベドウィン、デラックス、テンダーロインとかの流れでいうと、個人的には大好きですが、業界ではカブりやすいので食傷気味(笑)。
源馬 僕は完全に3シーズン前から飽きていますね。みんなマリンへ行ってしまった。もちろんセンスいいなって思うものもありますけど。そういう流れのなかで、自分が着るかどうかは別にして、アダム キメルがやろうとしていることはおもしろいと思います。
島津 あそこだけちがってていいですよね。サイジングも変わったでしょ。前は大きくて、ぜんぜん食指が動かなかったけど。青山のコルソコモでも買い付けをはじめているし。
源馬 つくりなども改善されましたね。昔は粗い感じがしましたけど。
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島津 ヒップホップのスヌープ・ドッグがテーマだしね。僕、最初見たとき笑った。これは最高だねって。バンドオブアウトサイダーズがアメリカでは少し停滞気味かな。日本は買い付けをけっこうしてあるから、それなりに売れているのではないかと思うけれど。
源馬 デニムをみんなはいている気がしますね。ビンテージ加工という線は引きつづきあるのかもしれないけれど、加工がされていないリジットが多いですね。
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Keyword:アダム キメル ラッパーのスヌープ・ドッグをテーマにした、独特の世界感を展開。ご両人とも注目のブランド。
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島津 ビスビムを履いているひとは多いです。秋までみんなリジットはいていて、とくに外国人がウォッシュされているのをはいているのを見るのは皆無だった。みんなノンウォッシュ。もちろんノンウォッシュの流れも来ているけど、ハードに洗いがかかっていて、びりびりじゃないサジ加減のものも流れとしてはある気がします。プラダがやったような、洗いがかかったような感じでしょうか。ほかのコレクションでは、ストーンウォッシュとニットのコンビネーションが新鮮だったドリス ヴァン ノッテンなども注目しています。それが、日本で流行るかわからないですけれど。すごいバギーとか、すごいスキニータイプではないけれど、なんかちょっと丈が短い、みたいなスタイルが落としどころでしょう。春夏だとバミューダも多いんだろうな。あとアウトドアという線もありますね。
源馬 短パンは短くなくちゃというノリですね。ひざ上15センチ厳守とか(笑)。
島津 ショーツはアイビー系が多いですね。日本人はもともとアイビーやプレッピーが好きだから。こぎれいで、似合いますね。
二人の見巧者が気になるクロージングブランドとは?
島津 クロージングなら、やっぱりトム・フォードのスーツがいいなって思います。自分には似合わないけれど。僕が着るとなんかインチキくさくなる(笑)。
源馬 トム・フォードのスーツはめちゃかっこいいですよね。かなりイケてると思うけど、僕にはウエストぱちぱちなんですよ(笑)。
島津 背中の見え方が、世界一美しいスーツと言われていますね。そこから薫る服づくりのスタンスというか、トムのそういう姿勢や心意気に打たれますね。
源馬 そんな意味で、僕が自分自身について将来的に多分変わらないなと思うのは、服を買うことはつくり手のスタイルの提案やアイデアを買うということなんです。たとえば僕はランバンをあまり買うほうではないけれど、アイデア力のすごさというか、こんなことしているんだということに感銘を受けたりする。サカイもそうですし、宮下貴裕君のソロイストもそうですし、その“アイデアを買う”という感覚に近いのかもしれないですね。
島津 いいこと言いますね。
源馬 デフレの時代は、高い服は売れない傾向があり、またたかが洋服なんてと思われているかもしれないけれど、僕にとっては大事なものなんです。それは自己表現そのものですから。各デザイナーに、そのアイデアを着用させてもらいます、みたいな感じで洋服を買います。うんちくに弱いのが、日本人の傾向ではありますが。今季の自己表現として、気になるテイストはありますか?
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Keyword:短いショーツ ジル・サンダーの2011S/Sコレクションから。かなり短めの丈に注目したい。
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島津 今季でいうなら、“ワーク”“アウトドア”かな。あとやはり今年はスーツを着たい。ベドウィンで、カーキブラウンのようモッズな色のスーツを見つけて買いました。トム・フォードがほしいけれど、意外とプラダ、ジル・サンダーあたりを買う気がしています。
源馬 たしかに今季のプラダはいいですね。それに僕も本当はサイズがあえばトム・フォードを着たい。トムが監督をした映画『シングルマン』を観たあと、真っ先にトム・フォードのお店行っちゃいましたから(笑)。
島津 あの映画は設定が60年代。家族とか子どもの登場人物の服に、古着をソースに使っているのがわかる。全部つくり込まれているというか、とにかく完成度が高いですね。またモダンなんですね。トム・フォードは映画のために衣装を一からつくっていると思いますが、こういう時代の表現というか、本当にすごくモダンですね。スタイリングだけでいえば、ああいうアプローチって、いままでなかった。そこはやっぱりラグジュアリーをわかった監督なんでしょう。完璧ですから。ソファの曲線や置き方など、彼の美学が生きている。
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源馬 もちろん俳優もすばらしいし、1枚1枚のカットがすべてスチールみたいで、それがそのままムービーになって編集されているみたいな完成度ですよね。
島津 僕が本当に一番やりたい、エディトリアルみたいなことをやりやがって、という感じ(笑)。
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源馬 ブルーレイ買ったら、一時停止で観たいほどです。ブランドでいうと、僕もソロイストが好き。さっきも言いましたけど、アイデアに興味がある。スーツは着たりしないけれど、サカイは僕の感覚にはないものというか、やっぱり女性がつくっているメンズブランドならではのおもしろさがすごくあるんです。プラダもリラックス感が好きで、どこか懐かしい感じがしますね。アイテム的には断然短パンですね。ひざ上15センチ!!
島津 でもトム・ブラウンじゃないんだよな。
源馬 そう、トム・ブラウンじゃない。
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Keyword:映画『シングルマン』 トム・フォードが監督し、その完成度の高い美しい映像が話題を呼んでいる。©2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved.
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島津 もうちょっとくだけたほうがいいかなぁ、僕は。マイケル・バスティアンとかはミニマルですよね。こてこてじゃなくて、カラーもミニマルで統一した感じ。『エンジン』編集長の鈴木(正文)さんは、年齢に関係なく短パンにジャケットを色で着こなしていてカッコいい。
源馬 似合いますよね。あそこまで突き抜けている感じはいい。無理やり着倒している感じというか。完璧にプレッピーですね。
島津 僕ら世代におしゃれなひとがいなくなったなー。気持ち悪いやつはいるけど(笑)。