銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイにまたあらたな舞台が登場した。東大阪出身の2人組アーティスト、パラモデルによるそれは、エルメスの本質ともいえる職人や工房という要素が、彼らの原点である東大阪の町工場と見事に融合したものとなっている。
文=黒宮ゆず
工房と工場──共通する職人の精神性を表現
銀座のメゾンエルメスは、これまでもウィンドウディスプレイでさまざまなアーティストと共演し、独自の世界観を表現してきた。3月15日まで見ることができるのは、パラモデルによる『パラレル・ファクトリー』と題された「町工場」だ。工場で使うような道具や機器がウィンドウに存在感たっぷりに置かれ、そこにエルメスの商品が象徴的に配置されている。
パラモデルは1971年生まれの林泰彦と、76年生まれの中野裕介からなるユニット。得意領域や趣向の異なるパラレルな2人が、『paramodel:世界や心のいろいろな部分から組み立てる、詩的な模型/設計図』というコンセプトで2001年より活動を開始し、あえて互いの視差を活かし多様な形式で作品を制作している。
「工場街の喧噪、電気が流れ、動きつづける機械の反復するリズム。狂いなく、精密な作業をこなす加工機器群。イメージの形成過程である図面や試作品の数々。そしてすべてを支える、どんな先端技術も追いつけない、道具を駆使した職人の知恵と手技。工場自体は、職人の精神が満ち溢れる器のようであり、道具や機器は、職人の意識や手の機械的延長と言えます」
町工場が多く存在する東大阪出身の彼らは、工場を自分たちにとって重要な要素と位置づける。今回、エルメスの職人、工房といった要素に、そんな自分たちの作品との親和性を見出したという。
「昔ながらの職人工房と、その近現代的で機械的な変形態である町工場。仮想の工房に見立てたウィンドウのなかで、重厚な町工場の道具や機器群が通奏低音、優美なエルメスの製品が主旋律を奏でることで、ふたつの流れが掛け合わさった、意想外のあたらしい音楽が建ちあがらないか?」
彼らの言葉どおり、町工場に見立てたウィンドウのなかに、職人の手仕事の結晶であるエルメスの商品が美しくディスプレイされ調和している。職人たちがまたあらたな傑作を生み出しそうな息吹を、そこからは感じとることができる。
MAISON HERMÈS|メゾンエルメス
東京都中央区銀座 5-4-1
Tel.03-3569-3300