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MIHARAYASUHIRO×Le Monde
日本有数の靴下の産地である、奈良県広陵町にある靴下工場を訪れた三原康裕さん。日本の靴下産業を憂い、靴下づくりに情熱を傾けるル・モンドの松本猛さんとイズル靴下の出井裕久さんとの会話のなかで、ここでしかつくれない靴下を探ってゆく。 写真=溝部 薫(ホークアイ ヴィジュアルワークス)
構成・文=竹石安宏(シティライツ)
協力=萩野 宏
衰退する産業と靴下づくりへの熱い思い
出井 靴下は筒状に編まれるのですが、編み機の特性上、径の太さは一定になります。そのため、パターンで履き心地を出すには限界があり、編み目と糸の太さが重要になってきます。 松本さんとつくっている針数60本の靴下は、一般的な180本の編み機よりも編み目に余裕があり、糸も通常より太いものを使うことができる。つまり余裕のある編み目がそれぞれの足のカタチに沿うため、とても履きやすい靴下になるというわけです。 60本の編み機はアメリカなどにはまだ残っていますが、長さや太さが左右で微妙にちがっていたりするんですよ。日本の工場でそんな製品は絶対に出しませんけどね。 三原 なるほど。今回つくる靴下もデザインばかりではなく、履き心地にはこだわりたいと思っているんです。 出井 デザイナーズブームの時代は、そういった面でデザイナーと何度も衝突しましたね。デザインばかりが優先され、履き心地は二の次にされていましたから。「こんな靴下ははけませんよ」というデザインもありましたよ(笑)。 松本 現在はデザイナー自体が靴下をつくろうとしなくなりましたから、そういう注文もほとんどなくなりましたけどね。
出井 そういった意味では、靴下産業は構造不況に陥っているともいえるんです。 三原 そうなんですか。ところで若いひとは業界に入ってきていますか? 松本 現在はほとんど入ってきませんね。中国の靴下工場などは若いひとがたくさんいるようですが。でも、中国の大きな工場では、手間をかけた靴下はつくれないと思います。60本の編み機は、限られた職人が手間をかけないと動きませんからね。 三原 僕はそこに興味があるんです。いまの消費者は生まれたときから大量生産された品々で育っています。でも、だからこそ手間をかけた品は新鮮に捉えるはずなんです。 デザインがいいのはもちろんですが、たたずまいや素材感にもひとの“手”が感じられるようにしたいですね。そのためには、やっぱり60本の編み機ならではのザックリした質感がいいと思いました。
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