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commmons|コモンズ 笙奏者 東野珠実インタビュー(1) Text by OPENERS
Photo by JAMANDFIX 私が演奏して録音したことは奇跡的なご縁のたまものです通常は竹でできている笙だが、作家 當野泰伸氏の作品である東野さんの笙は、黒檀(こくたん)製だ。その音は「現代でこその音色」だという。この楽器は、金属のリードが各1本1本についていて(3ページ目参照)、切り込み部分が振動して、管の長さと共鳴し、ピッチがあったときに音として響くそうだ。雅楽は約1400年前に中国から伝来され、笙は、形状も原理も楽譜も一切変わらず、再現しつづけられていて、千年以上前とおなじ音が聴ける。黒檀の笙の音を東野さんは、「昔からありながら、現代としての響きを聴いていただいた」という。吹いても吸ってもおなじ高さの音がでる、呼吸のさまを音楽として表現している。 ──雅楽、笙というと、日本古来・固有の音楽ですが、私たちはなかなか接する機会がありません。 そう感じていただくのが、今回のCDリリースの目的でもあります。私自身がこの音楽と出会ったとき、あまりにもあたらしく、聴いたときの衝撃はとても大きなものでした。どこの国、どこの時代の音楽ということに左右されない揺るぎないものをもっている“クラシック中のクラシック”だと思います。 ──東野さんはどういう場所で演奏されているんですか? 宮内庁で伝承されているのがおおもとですが、東大寺の大仏開眼会のころから寺社仏閣でのさまざまな儀式や行事で演奏されています。私はほとんどホールでの演奏会ですね。演奏曲は、古典が中心ですが、この20〜30年は、西洋の作曲家がこの楽器のためにオリジナル音楽をつくったりしています。 ──今回は雅楽の大曲「調子」を世界ではじめて全曲録音されました。 雅楽は長い儀式や行事のなかで演奏するもので、「調子」はそのプログラムの序曲として演奏するものです。通常はイントロとして長くても5〜6分ほどですが、今回は、30分近くある大曲に挑戦しました。この「調子」は“秘曲”として伝わっているものもあり、音楽としての魅力がありつつ、演奏家としての鍛錬を要するような楽曲になっています。この楽曲の存在を知ってから、レコーディングは念願でしたが、それは純粋にこの楽曲の全体を体感してみたい、いちリスナーとして聴いてみたいという欲求に駆られる作品だったのです。 ──奏者でありながら、リスナーとしても興味をそそられると。 そうですね。雅楽は、もともと男性社会のもので、かぎられた身分の方の音楽だったものが、やがてオープンになって、クラシック音楽から入っている者にも門戸が広がりました。この「調子」も伝承はされていますが、音源として録音がされていません。とくに本来複数の楽器で奏でる曲の全容は、私自身も聴いたことのない想像の響の世界だったのです。今回のレコーディングは、音楽家としてもっとも高い頂に登るトライアイルであり、一生のうちにという遠い目標ではありましたが、私がこの時代、この時期に録音にいたったのは奇跡的なご縁のたまものです。 『ブリージング・メディア 〜調子〜』 発売日|2011年10月12日 2枚組CDアルバム 通常価格|4200円 永続リパック仕様 カーボンオフセットCD
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commmons|『ブリージング・メディア 〜調子〜』笙奏者 東野珠実インタビュー
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