当時世界中で社会現象を起こしたソフィア・コッポラ監督の傑作『マリー・アントワネット』の劇中歌に起用されたことで一躍注目を集めたスウェーデンの3ピースバンドTHE RADIO DEPT.(レディオ・デプト)の4年ぶりとなるニューアルバム『Clinging To A Scheme(クリンギング・トゥ・ア・スキーム)』がリリースされた。
Text by OPENERS
スウェーデン南部の都市マルメにて、当時10代であったヨハ・ダンカンソンとエリン・アルメッドによって1995年に結成されたTHE RADIO DEPT.(レディオ・デプト)。その名はルンドの街にあるラジオ修理工兼ガソリンスタンドのくたびれた看板にあった“Radioavdenlingen”の言葉に由来するという。スウェディッシュで“The Radio Department”という意味だ。
2002年に地元スウェーデンのインディポップレーベルからデビュー、たちまちイギリスのミュージックシーンで注目を集める。その後ベースメント・ジャックスやレモン・ジェリーで知られる人気レーベル「XL」からファーストアルバム『Lesser Matters』(日本未発表)をリリース。各音楽誌からの高い評価を受け、イギリスでもっとも著名な音楽誌『NME』が選ぶその年の「50 best Alubums」では9位にランクインされている。
その後2006年に発表されたセカンドアルバム『Pet Grief』では、それまでのシューゲイザーサウンドから一転、打ち込み×シンセサウンドが奏でるどこか懐かしいエレクトロポップを披露した。エレクトロポップというとアップテンポのミーハーサウンドと思われがちだが、彼らの場合それは“ジャンル”ではなくあくまで“表現手法”でしかない。サウンドソースが変わればおのずと世界観も変わってくるものだが、おどろくほどブレがない。エイフェックス・ツインらとならびソフィア・コッポラ監督の傑作『マリー・アントワネット』へ楽曲が抜擢されたことも、その仕上がりをみればうなずける。
そして期待される4年ぶり、待望のニューアルバムである今作『Clinging To A Scheme』では、レディオ・デプトの真骨頂ともいえるシューゲイザーサウンドをベースに、チープなシンセサウンドや打ち込み、まるで古いレコードを聴くかのようなざらついた音質など、前作よりもさらに磨きのかかったテクニックを披露している。フォーカスされた浮遊感のあるヴォーカルにノスタルジックなサウンドスケープをみながら、前作をはるかに上回る完成度に酔いしれるとしよう。