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Music|TOKYO Tips
2009.12.17

MUSIC|3年半ぶり、待望のニューアルバム

Sunaga t experience 『JAZZ et JAZZ』

12月2日、Sunaga t experience(スナガ・ティー・エクスペリエンス)としては3年半ぶりとなるニューアルバム『JAZZ et JAZZ』がリリースされた。

Sunaga t experienceこと須永辰緒。「夜ジャズ」の仕掛け人である彼の、アナログサウンドへのこだわりは“レコード番長”の異名をもつほど。日夜シーンの最前線で目を光らせ、現場監督として“クラブにおけるジャズ”を提示してきた彼から、すべてのジャズファンに贈るメッセージ「JAZZ et JAZZ」。その真意、そして総勢30名もの豪華キャストを招いた今作について聞いた。

文=オウプナーズ
写真=藤本 薫

まぁ、徹底的にデジタル配信に対するカウンターですよ、これは(笑)。

──コンセプトは?

ジャズといってもいろんなジャズがあります。自分がいちリスナーとしてジャズに触れていくと、やはり歴史がある分クラシックと並んですごく深いものを感じるんです。

ジャズのある一部分をフォーカスして突き詰めるってこともやぶさかではないんですが、広い意味で新しい定義をふくんだジャズ、コンテンポラリーなものって言いますけど、そのコンテンポラリーなジャズは、世界中から同時多発で生まれています。

ですから黄金期の1950、60年代の僕らがフロアでプレイするような、そういったジャズから、コンテンポラリーな、時間軸もふくめた広義なジャズ、そういうものを作りたいと思いました。

──イメージソースがあった?

イメージソースは、大手CDショップのジャズ売り場に行って隅から隅まで見れば、「この曲はああ、これが下地になっているのね、この曲はこれなのね」ってわかるようになっているので。

メロディーとかじゃないですよ、音のつくり方とか編成の選び方とか、そういったものは後ろに透けていると思います。オリジナル作品なんですが、オリジナルであってオリジナルじゃない、という普段のリスニング生活がそのまま意識的に反映されているというのも特徴です。

もちろんDJなので毎週現場に出て、その現場でかわすお客さんとのやりとりから鍛えられてきた実践というのも反映されています。



──総勢30名のキャストを監督されるのは大変だったのでは?

基本的には勝手知ったひとたちなので。キャスティングの部分では適材適所、この曲にはこのひと、このひととやりたいからこういう曲を作るとか、そんなに苦労はしなかったです。

全体の監督くらいは自分でやりましたが、逆に言うとそこしかやってない。

というのも、曲にかんしてのインプロビゼーションだったり、たとえば「構成はこうなっているけど、こういった構成のほうがいいんじゃない?」なんてリアクションがあると、好きにしてって感じで(笑)任せちゃったり丸投げしちゃったりだったので。

最初からそれぞれの個性を出してもらう前提でのキャスティングだったし、そういったタレントイズムを求めていたので。


そもそも許容範囲が広いのでブレはないです。たとえばコントラバスじゃなくてエレキベースでいきたいとか、リズムをハチロクにしたりとか、そこまで代えるのはちょっと待てってことにはなるけども(笑)、些細な変更とかアプローチにかんしては自分の最初に描いていたものより結果オーライかなって。

みんながみんな、ただ雇われて演奏してるというようにはなってないと思いうし、そこがバンド演奏の面白さだと思います。



──キーボードプレイヤーの菱山正太さんが大活躍されていますね。

正太君、今回は助監督ですね。彼は今までのキャリアではキーボードを弾いてるイメージでしたけど、アコースティックを弾いても素晴らしい。

まぁ若手随一だと思いますよ、本当に。

彼は「やばいピアニストがいる」って知人から紹介してもらったんです(笑)。会って演奏を聴いて、これはもう助監督ってことで任せていいかなと思いました。任せられるひとがいないともうちょっと時間かかるんですけど。作業が早かったのは正太君や、もうひとりの助監督、万波麻希さんのおかげだと思います。

──『Autumn frost』はArlieさんが作詞されたそうですね。

僕が詩を書いてもいいんですけど、詩を書くのって自分の心を覗かれたようでちょっと恥ずかしいんですよねぇ……
原稿は連載などありますけど、詩はちょっと無理(笑)。

そうしたらArlie(アーリー)さんが詩を書けるというので、『autumn frost』って“秋霜”って意味なんですけど、その“秋霜”にかんするちょっとしたエピソードを交え、テーマをわたして書いてもらったという感じです。

歌詞内容はブックレットには載ってないです。わりと不親切な(笑)。


──2曲目の『Confidential』での語り、そのストーリーとは?

アルバムのコンセプトに順ずる部分で、“Confidential”って対価を支払った会員のみが共有できる情報、ラウンジ、サロン的な意味合いがあるんです。

今作の場合どういうことかというと、このCDにかかわったひと、そしてCDを手にとって聞いてくれたひととのミュージックサロンのようなものになればと。

たとえばface bookや、Twitterのような、インターネット上のバーチャルな空間ってあるじゃないですか。実際にその場所はないけれど、聴いたことによって知らない者同士が交流できるミュージックサロンのようなものをバーチャルな感じで作りたかったんです。

僕は子供のころから “I have seen the future”という言葉が好きだったんです、私は未来を見てきたぞ、と。だけどそのぐらいの未来は今もうとっくに超えちゃっているんですよね。

自分が思い描いていたころの未来って、バーチャルな空間なんだけどそこにはある種の物理学的理論も存在していて。でもそういう仮想空間を極めてファジーなものにねじ曲げてしまおうと。そんなイメージがこの“Confidential”にはふくまれているんです。


ちょっと難しい話なので、ナレーションを読んでもらえばわかると思うんですけど、そのナレーション原稿を今なくしているんですよね。しかもあれドイツ語だし(笑)。

このアルバムにおける“Confidential”、“ミュージックサロン”っていうのは、当然デジタル配信に対するアンチテーゼだったりもするんですけど……。

まぁ、徹底的にデジタル配信に対するカウンターですよ、これは(笑)。また嫌われるなあ。


──ちなみになぜドイツ語だったのですか?

万波麻希さんのまわりにドイツ人がいたからです(笑)。万波麻希さんはベルリンにいるんですけど、ナレーターを探してるんだけど思い当たるナレーターいないかって話をしたら、ドイツ人ならいますよって。じゃあ、ドイツ語でって(笑)。話が早い。

クラブジャズだろうがオーセンティックだろうが、ようするに“ジャズはジャズ”でしょ?

──『JAZZ et JAZZ』というタイトルに込めた意味、そしてメッセージとは?

“JAZZ et JAZZ”とは“ジャズはジャズ”という意訳なんですが、今作ではふり幅の広い、あまりにも広義なジャズを展開しているものですから、リスナーの皆さんから「こんなのジャズなんかじゃない!」とツっこまれる可能性があると。

その時に「まぁまぁ、ジャズはジャズ。」みたいな(笑)。

そういう言い訳もできるかなっていうこともふくめての、『JAZZ et JAZZ(ジャズはジャズ)』(笑)。ひとを食ったようなこのアートワークも、“ジャズはジャズ”って言われればそうかなって思うじゃないですか(笑)。

音楽フォーマットでのジャズというよりも精神性というか、そっちのほうに重点をおいた感じです。ジャズはもうちょっと自由でもいいんじゃないの? っていう。

なのでクラシックジャズファンには受け入れがたい曲もあるかもしれません。でもね、ジャズはジャズなんですよ。なぜかというと、ジャズ売り場に毎週のように通っている僕がジャズはジャズ、これはジャズですよって断言できるからです(笑)。

これまで多額の費用をつぎ込みCDを聞いてきて、“これもジャズなんだ”って断言できる履歴がちゃんとあるわけですから、僕のバックには。ジャズはジャズなんです、オレが証明します(笑)。



ダンスミュージックを通過したジャズを聴いて、ジャズという音楽がおもしろいなって思えるようになった若い世代をジャズのほうに導くこと、そしてオーセンティックなジャズファンに少し降りてきてもらって、クラブ系のジャズにも理解をもってもらえるようになること、そんな中間の位置に何年もいるんです。

あいかわらず両世代を繋ぐことが自分の役目ではあるので、そんな時期に自分のアルバムを出せて、これがまたさらに両者を吸着できるような役目を担ってくれると我が意を得たりっていう感じです。

クラブジャズだろうがオーセンティックなジャズだろうが、“ようするにジャズはジャズでしょ”っていう意味での『JAZZ et JAZZ』であって、“ジャズはジャズじゃん!”ということなんです。

きっかけになればいいんですよ、なんでも。

実際にね、ジャズっておもしろいんだから。


──ありがとうございました。



Sunaga t experience|スナガ・ティー・エクスペリエンス
『JAZZ et JAZZ』

発売|12月2日
価格|2940円
参加アーティスト|Akiko Grace、Timo Rassy(the five corners quintet)、Arlie、Jukka Eskola(the five corners quintet)、Gerardo Frisina(Schema)、Likkle Mai、万波麻希、菱山正太、Sebastian Studnitzky、トウヤマタケオ、Sofia Finnila、mama!milk……and more


須永辰緒プロデュース
modal sound from Velours,Tokyo 01.
『moderno』

発売|11月18日
価格|2890 円

東京・青山で魅力溢れるさまざまなコンテンツを提供し話題を呼んでいる「Velours」と、 CLUB/JAZZシーンを牽引するSunaga t experience こと須永辰緒。昨今の音楽シーンを賑わす両者がマーケットへ提唱する、リアリズムを追及したまったく新しいミックスCDシリーズを発表。テーマに「ベッド・タイム・テクノ」を掲げ、ジャズの名曲から新進気鋭のアーティストの楽曲まで、コンテンポラリーなモダンジャズ観をさらに一歩進めた新世紀型チル・アウト・サウンドが完成。
 
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