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横浜美術館外観、ウーゴ・ロンディノーネ「月の出、東」ほか
ヨコハマトリエンナーレ|横浜美術館 01 ART|Tokyo Tips
2011.08.25

「OUR MAGIC HOUR ─世界はどこまで知ることができるか?─」

「ヨコハマトリエンナーレ2011」レポート(前編-1)

 
横浜を舞台に3年に一度おこなわれる、現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ2011」。風光明媚なヨコハマの街で開催される現代アートの国際展とあって、アートファンならずとも要注目のイベントだ。港町の風情を楽しみながら巡ることができる、展覧会場のなかから独自に選んだ注目の作品を、前後編の2回にわたって紹介しよう。

写真と文=加藤孝司

美術館のエントランスや通路までをつかったダイナミックな展示
ヨコハマトリエンナーレ2011 『横浜美術館』

2001年のスタートから第4回となる今回のヨコハマトリエンナーレ2011のタイトルは、「OUR MAGIC HOUR ─世界はどこまで知ることができるか?─」。

1990年代後半以降、インターネットの発達とともに情報化が進み、世界でおこっている事件や、ささいな出来事のほとんどをリアルタイムで知ることができるようになった。そこで起こっていることは実際に体験しなくても、情報を知ることで誰もが知ったつもりになっている時代が現代である。

しかし、今回のヨコハマトリエンナーレ2011のタイトルにもあるように、この世界には多くの謎や、まだ誰も見たこともない魅力的なこと、あたらしい視点が潜んでいる。「OUR MAGIC HOUR」という言葉には、知り尽くしても知り尽くすことのない、この世界のすばらしさをアートで伝えようというディレクターの願いを感じることができる。

77組/79名のアーティストによる約300点以上の作品

メインの展覧会場となるのは、みなとみらい地区にある横浜美術館と、港湾地区にある日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)。総合ディレクターを務めるのは、メイン会場のひとつともなっている横浜美術館館長である逢坂恵理子氏。アーティスティック・ディレクターは、パリの国立アート・センターパレ・ド・トーキョーでチーフ・キュレーターなどを歴任した三木あき子氏が担当する。展示作品は、先の東日本大震災以降の危機を乗り越えながら、21の国と地域、77組/79名のアーティストによる約300点以上、国際美術展として世界的にも注目される作品が集まった。

今回初めてメイン会場として使用される横浜美術館では、建物正面にスイス人アーティスト ウーゴ・ロンディノーネ氏の12の彫刻作品を大胆に展示。2メートルほどもある12の作品は、それぞれ暦の1月から12月に対応するプリミティブなオブジェクト。ユニークな表情をした未知の精霊たちが、この場所を訪れたひとたちを陽気に迎えてくれる。

美術館に入るまえに、もうひとつ見逃してはならないウーゴ・ロンディノーネ氏の作品がある。それは美術館建物の屋上に据えられた本展のタイトルでもあるOUR MAGIC HOURのレインボーカラーのネオンサイン。日本の建築家ユニットSANAAが建築を手がけた、ニューヨークにあるニュー・ミュージアム・コンテンポラリーアートでの作品でも知られるロンディノーネ作品同様、港町ヨコハマの青空を背景に本物の虹のように晴れ晴れとしてみえる清々しい作品だ。

中国人女性アーティスト 尹 秀珍からのメッセージ

館内に入り、まず目に飛び込んでくる、エントランス中央にすえられた作品は、中国の女性アーティスト 尹 秀珍(イン・シウジェン)氏の作品「ワン・センテンス」(2011年)。色とりどりのテキスタイルをロール状に巻いたものが108つ、規則正しく展示台にならんでいる。作品を離れて見てみると、展示台も作品とおなじように渦巻き状になっている。これらの作品は一点ずつが、一人の人間の着衣をほどいてできているという。

108人分の着衣は、仏教における108つの煩悩の数をあらわし、古着という個人の記憶のメタファーにもなっている。目印のように洋服についたタグも織り交ぜながら、ひとつに巻き上げられた色とりどりのテキスタイルは、あたかも地球上にいる異なる肌の色をした人びとの姿のようだ。人間は似ているようで、当然ながら一人ずつちがう。だからこそ共生していかなければならない。古着を人間の「第二の皮膚」と捉える彼女からのそんなメッセージも感じることができる。
 

尹 秀珍(イン・シウジェン)「ワン・センテンス」

オノ・ヨーコ「TELEPHONE IN MAZE」
 

オノ・ヨーコ氏によるスリリングな作品

そのおなじエントランスに、実際にひとが入ることができる迷路のような作品「TELEPHONE IN MAZE」を展示したのはオノ・ヨーコ氏。アクリル板の迷路の中央には、四方を映し出すミラーボックスが見える。それはあたかも透明性のある世界にいながら、先の見えない社会のなかにいる我われ人類の未来を予見しているともみてとれる。

だが、その外の見えないミラーボックスのなかには一台の電話がおかれている。そこには、不定期に作者であるオノ・ヨーコ氏自身から着信があるという。時と空間を超えた、メッセージで繋がる作品と鑑賞者。東日本大震災後にもいち早く世界にむけてメッセージを送ったオノ・ヨーコ氏。運よく作家からメッセージを受け取ることのできるかもしれない、そんなハプニングを予見されるスリリングな作品だ。



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ART|「ヨコハマトリエンナーレ2011」レポート(前編)
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