第14回文化庁メディア芸術祭 公式ポスター
左上/アート部門 大賞|「Cycloid-E」(インスタレーション)Michel DÉCOSTERD・André DÉCOSTERD (Cod.Act)、左下/マンガ部門 大賞|「ヒストリエ」(ストーリーマンガ) 岩明 均、右上/アニメーション部門 大賞|「四畳半神話大系」(TVアニメーション) 湯浅 政明、右下/エンターティメント部門 大賞|「IS Parade」(Web) 林 智彦・千房 けん輔・小山 智彦
アート部門 大賞|「Cycloid-E」(インスタレーション) Michel DÉCOSTERD・André DÉCOSTERD (Cod.Act)
水平方向に連結した5本の筒を回転させながら、先端のスピーカーから音を発するサウンドスカルプチャー。モーターによって振り子のように動いている筒は、音源と計測器を備えた金属管。その回転運動に応じて音が反響するという仕組みだ。それぞれの振り子が描く軌跡は正確だが、全体はまるで催眠術のような予期せぬ動きをし、複合的な音を奏でている。 ©Cod.Act
アート部門 優秀賞|「10番目の感傷(点・線・面)」(インタラクティブ) クワクボ リョウタ
光源が備えられた鉄道模型が、床に並べられた日用品のあいだをゆっくりと移動しながらその影を映しだす。部屋の壁や床、天井に映し出されたモノの影は、電車から見ている風景のように移り変わりながら観者を包み込む。没入・鳥瞰、既視感・未視感といった、相反する体験を交互に繰り返す映像。見るひとは知覚を研ぎ澄まし、その体験を語り合うだろう。 ©クワクボリョウタ
アート部門 優秀賞|「The EyeWriter」(インタラクティブ) Zach LIEBERMAN・Evan ROTH・James POWDERLY・Theo WATSON・Chris SURGUE・Tony TEMPT1
ALS(筋萎縮性側索硬化症)でからだが麻痺したグラフィティライター、TEMPT1が「再び絵を描けるように」という願いをきっかけにはじまったプロジェクト。アーティストや技術者をはじめ、多くの人びとの参加により、目の動きだけで絵が描ける装置が共同開発された。視線を追跡するデバイスとソフトウェアは安価でつくることができ、オープンソースとして公開されている。 ©Tempt1, Evan Roth, Chris Sugrue, Zach Lieberman, Theo Watson and James Powderly
アート部門 優秀賞|「NIGHT LESS」(映像) 田村 友一郎
全編がGoogleストリートビューのイメージだけで構成されたロードムービー。ネブラスカ、千葉、アラスカ、ポルトガル、マルセイユを舞台に国を越えて物語は繰り広げられていく。そこには決して夜は訪れない。前半は作家本人のアフレコ、後半はYouTubeの音声などを使用して構成。撮影せずにつくられた映画は、果たして「映画」といえるのだろうか(11分36秒)。 ©田村友一郎
アート部門 優秀賞|「The Men In Grey」(その他) The Men In Grey
ハードウェアやソフトウェアがぎっしり詰まったブリーフケースを抱え、グレーのスーツに身を包む謎めいた二人の男。彼らはオープンワイヤレスネットワークを利用し、私たちの回りに溢れる目に見えない情報を収集して公開し、跡形もなく消え去っていく。ネットワークの装置や能力を解体、分析し、ネットワークへの依存や絶対的な信頼に警笛を鳴らす。 ©The Men In Grey
アート部門 奨励賞|「Succubus」(その他) Peter TILG
帯状に加工されたスチール板が、まるで生き物のように揺れ、震え、音を立てる。一つひとつの輪は規則に基づいた動きに見えるが、それが集合体となったとき、予測のつかない有機的な存在となる。コンピューターのコードや電磁気力をつうじてのみ、外部からの刺激が各構成要素に送られ、それによって構造体に息吹が吹き込まれる仕組み。長さは約1.7mである。 ©Peter Tilg
エンターティメント部門 大賞|「IS Parade」(Web) 林 智彦・千房 けん輔・小山 智彦
Twitterアカウントで楽しめるジェネレーター。TwitterのIDを登録するとフォロワーがキャラクターになってパレードする。auスマートフォンのプロモーションとして2010年4月30日に公開され、11月15日までに1350万回のパレードをおこなった。Twitter共同創業者のビズ・ストーンなど、国内外の著名人にもツイートされ、世界中で大行進はつづく。 ©KDDI株式会社
エンターティメント部門 優秀賞|「無限回廊 光と影の箱」(ゲーム) 鈴田 健・藤木 淳・鈴木 達也
PlayStation(R)Move発、光と影をテーマにつくられたアクションパズルゲーム。懐中電灯に見立てたPS Moveモーションコントローラで、ゲーム画面に写る影の形を自由自在に操ることができる。想像力を駆使して影の形を変え、さまざまな仕掛けや「シャドウアート」を見つけながら、影の上を歩く主人公をゴールへと導く。懐かしくも、新しい影絵遊び。 ©2010 Sony Computer Entertainment Inc
エンターティメント部門 優秀賞|「アルクアラウンド/サカナクション」(映像(MV)) 関 和亮
山口一郎(vo)が歩いていく姿を追いかけるカメラ。その進む先につぎつぎとあらわれるタイポグラフィーのオブジェは、山口の歌う詞……。歩く移動の速度とオブジェとしての詞の出現が、絶妙なタイミングでシンクロする。アナログ感溢れる手法で詞を空間的に見せることで、一瞬ごとに、分解と再構築を繰り返しながら自己を探求する歌の世界が表現される(4分47秒)。 ©ビクターエンタテインメント株式会社 / 株式会社ヒップランドミュージック
エンターティメント部門 優秀賞|「夏を待っていました/amazarashi」(映像(MV)) YKBX
青森県在住の秋田ひろむを中心としたバンド、amazarashi。そのシンボルとなっているテルテル坊主のキャラクターが、電柱に囲まれた沈んだ色彩の町を往く。テルテル坊主の顔は楽曲の旋律と同調して、蛸足、テレビ、アンテナ、スピーカーなどに変容する。ペン描きのような強弱のある線と3Dによる画面効果とがなじみ、不穏な雰囲気をつくり出す(5分54秒)。 ©ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
エンターティメント部門 優秀賞|「Tabio Slide Show」(Web) 児玉 裕一・中 耕一郎・茂出木 龍太・左居 穰
誰もが一度は経験のある、「靴下ですべる楽しさ」がよみがえる、靴下専門店Tabioのプロモーションサイト。女の子がさまざまな靴下を履いて、家中を気持ちよさそうにすべる。時折、ムービーのなかにあらわれる靴下のカタログ情報を、ユーザー自らが「スライド」させることで物語を進める。映像・音楽・インタラクションが組み合わされた、新感覚ムービーカタログ。 ©タビオ株式会社 & Projector
エンターティメント部門 奨励賞|「iPad magic」(その他) 内田 伸哉
2010年5月28日。マルチタッチデバイス、iPadが国内で発売されたその日に、Webに発表されたパフォーマンス映像。銀座のアップルストアを背景に、男性が「コミュニケーションの過去と未来」を語りながら、iPadを使った手品を繰り広げる。メディアの歴史が変わろうとする節目に、タイミングや場所といった条件も活かしたプレゼンテーションがおこなわれた。 ©内田 伸哉
アニメーション部門 大賞|「四畳半神話大系」(TVアニメーション) 湯浅 政明
「薔薇色のキャンパスライフ」を夢見る誇り高き大学3回生の「私」だが、悪友・小津や謎の自由人・樋口師匠に振り回され、孤高の乙女・明石さんとはなかなかお近づきになれない。あの時、別の道を選んでいれば……? 湯浅政明監督の驚異の映像マジック、上田誠の構成・脚本、話題のクリエイター布陣で送る、不可思議世界を巡る不毛と愚行の青春奇譚(23分11話)。 ©四畳半主義者の会
アニメーション部門 優秀賞|「カラフル」(劇場公開アニメーション) 原 恵一
森絵都の小説をアニメ化。突然現れた天使のような存在、プラプラによって、天上界と下界のあいだで漂っていた“ぼく”の魂は、自殺してしまった中学生の少年、小林真の体に入り込み、人生の再挑戦をすることに。真が死を選んだ理由を知り、真とおなじ生活を体験するなか、この再挑戦の意味を考えるようになった“ぼく”は、「ある事」に気づきはじめる(2時間6分)。 ©2010森絵都/「カラフル」製作委員会
アニメーション部門 優秀賞|「マイマイ新子と千年の魔法」(劇場公開アニメーション) 片渕 須直
芥川賞作家、高樹のぶ子が自らの幼少時代をモデルに描いた小説『マイマイ新子』をアニメ映画化。昭和30年代の山口県防府市国衙を舞台に、小学3年生の多感な少女新子が、千年前の町の姿に想いを馳せながら、豊かな自然のなかで毎日を真剣に生き、時にヒリヒリとした苦い思いをしながら、仲間たちとゆっくり成長していく姿が描かれる(1時間34分)。 ©2009髙樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会
アニメーション部門 優秀賞|「フミコの告白」(短編アニメーション) 石田 祐康
フミコは、想いを寄せるタカシに告白するが、あえなくフラレてしまう。泣き叫びながら走りだすフミコ。疾風のごとく、街中を突き抜け、急激な階段を転がり、崖から落下し、商店街の空を舞うフミコがたどり着いた所とは……。ユニークなアングル描写とスピード感溢れるアクションが展開する純情女子高生の決死の告白アニメーション(2分22秒)。 ©石田祐康
アニメーション部門 優秀賞|「わからないブタ」(短編アニメーション) 和田 淳
家の前にブタがいる。その家には人間がいる。みんなブタのことを知っているし、ブタもみんなのことに気づいているが、それぞれどれくらいに、どんなふうに知っているかはわからない。お母さんもお父さんのことがわからない……。更半紙に0.3ミリ芯のシャープペンシルで作画。紙の質感と線の不均質さを活かすことで、独特の感覚を生み出している(10分10秒)。 ©和田淳/東京藝術大学
アニメーション部門 奨励賞|「The Wonder Hospital」(短編アニメーション) Beomsik Shimbe SHIM
謎の病院を訪れたひとりの女の子。整形手術で理想の“after”を求める彼女は、病院内で得体の知れぬ生物たちの奇妙な行動につぎつぎと遭遇。摩訶不思議な彷徨のあとに、彼女が得た「美」とは……。肉体美に対する考え方を一変させる、謎めいた病院での超現実的な体験を、3D&パペットアニメーションで描写した、イマジネーションに満ちた作品(11分24秒)。 ©Beomsik Shimbe Shim, all rights reserved
マンガ部門 大賞|「ヒストリエ」(ストーリーマンガ) 岩明 均
舞台は紀元前。異民族スキタイの出身であることを知らず、都市国家カルディアで育ったエウメネスは、ある日養父を殺され、奴隷の身分に落とされてしまう。それが、彼の長い旅のはじまりだった……。のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、波乱に満ちた生涯を描く歴史大作。『寄生獣』で世を震撼させた岩明均が、マンガ家デビュー以前からあたためていた物語。 ©岩明 均/講談社
マンガ部門 優秀賞|「孤高の人」(ストーリーマンガ) 坂本 眞一 原案・新田 次郎著『孤高の人』
山岳小説の金字塔『孤高の人』が、現代を舞台によみがえる。孤独な青年・森文太郎はクライミングと出会い、極限の登山に、それまで感じたことのなかった「生きる」感覚を求めて、人類未踏の氷壁・K2東壁を目指す。だが文太郎には、日常でも山の中でもさまざまな困難が降りかかってくる。困難に遭いながらも文太郎は、ただ己の目標に向かって、一歩一歩進んで行く。 ©坂本 眞一/原案・新田次郎著『孤高の人』/集英社
マンガ部門 優秀賞|「風雲児たち 幕末編」(ストーリーマンガ) みなもと 太郎
江戸時代末期に大活躍した風雲児・坂本竜馬。その生き方をひもとくために、遠く関ヶ原の戦いにまでさかのぼり徳川家康による日本統一以来の歴史を描いた大長編、『風雲児たち』の続編である。舞台は風雲、急を告げる幕末。歴史を動かした多くの人物が、史実に基づきつつギャグを交えた著者独特の視点で描かれる。歴史大河ギャグマンガの金字塔ともいえる作品。 ©みなもと 太郎/リイド社
マンガ部門 優秀賞|「ぼくらの」(ストーリーマンガ) 鬼頭 莫宏
とある夏休み。自然学校参加のために過疎地の村へやってきた、14人の中学1年生と1人の小学4年生。彼らは、海辺の洞窟で出会ったココペリと名乗る謎の男に誘われるまま、地球を守るために巨大ロボット「ジアース」で戦うという契約をすることになった。このロボットを操縦する者は、その代償として命を落とす。しかし、戦わなければ、地球は滅亡する——!! ©鬼頭 莫宏/小学館IKKI
マンガ部門 優秀賞|「レッド」(ストーリーマンガ) 山本 直樹
物語の舞台は、1969年から72年にかけての日本。ベトナム戦争や公害問題など、高度経済成長のもたらした社会の歪みを背景として、当たり前のように学生運動に参加していった普通の若者たちが、やがて「矛盾に満ちた国家体制を打倒する」という急進的な革命運動に身を投じていくさまと、その行き着く先をクールに描き出す。若き革命家たちの、青春群像劇である。 ©山本 直樹/講談社
マンガ部門 奨励賞|「うちの妻ってどうでしょう?」(コママンガ) 福満 しげゆき
小心者な漫画家の「僕」と、美人だけど短気な「妻」。現実と妄想、焦燥と甲斐性が入り混じった愉快な日々の出来事をつらつらと描く、エッセイふう4コママンガ。日常で当たり前にあるような小さな出来事に、一喜一憂して悩み葛藤する「僕」の姿が不思議な共感を呼ぶ。3巻では子どもも誕生。このマンガは主人公(=作者)の愚痴と妬み、そして妻子への愛でできている。 ©福満 しげゆき/双葉社