書道家と聞いてどんなイメージをもつだろう? あるいは墨と筆を使い白い和紙に書かれる「書」ついてどのようなイメージをもつだろうか? おそらく宮村 弦の墨象作品に触れたひとは、そのイメージを覆されることだろう。伝統的な書道家でありながらみずからを墨象作家と名乗る宮村 弦の作品が10月28日(木)まで原宿にあるRestaurant-I(レストラン・アイ)にて展示される。9月24日(金)、その宮村 弦を迎え、第7回目となる「食とアートの会」が開催された。5年連続でミシュランの星を獲得する若きシェフ 松嶋啓介と宮村 弦による対談──分野はちがえど伝統のある世界であたらしいことを試みようとする者同士のコラボレーションは、参加者に多くの話題を提供した。
文=佃 義徳(+ art club)
+ ART CLUB
手前味噌で恐縮ですが「食とアートの会」は第7回目となる今回から、企画・運営が「+ ART CLUB」によっておこなわれることになりました。
「お客さんがあってはじめて料理人が存在し、いまの自分があるのもすべてお客さんのおかげです。東京に店を出すことが決まったときから、レストランの役割として、日本の若いアーティストを中心にアート作品を展示する場を提供したいと思っていました。なぜなら、アートも観るひとがいてはじめて存在すると思うからです」
こうして発起人 松嶋啓介と佃 義徳によって発足した「+ ART CLUB」。興味をもっていただけましたらぜひサイトをご覧になってみてください。
www.plusartclub.com
伝統を再定義
今回の対談テーマは「伝統を再定義」。フランス料理と書道、それぞれが伝統ある世界であらたな表現に挑みつづけるふたりにぴったりのテーマと言えるだろう。宮村 弦による今回の展示の中心となったのは読む抽象を体験させる『イメージ・ラング』というコンセプトの作品。この日のために書き上げた『i』をモチーフとした墨象作品と『イメージ・ラング』を対比しながら宮村は語る。
表現の模索のなかで書き溜められていったその“点”は、その時点では抽象の文様でしかない。しかし宮村は、それを根拠のないまま50音の平仮名に置き換えることで論理的には平仮名として読めるように定義し、こうして抽象は記号へと役割を変えた。ところが、書いた本人の宮村といえども、その“点”の文様をまったくおなじようには再現していくことはできない。そこで書の世界ではタブーともいえるCGの復元力を借りて、言葉としてコラージュし、プリントした作品が『イメージ・ラング』作品である。この説明を聞いただけでも書家のイメージを覆すその大胆さに驚く方は多いのではないだろうか。