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![]() ![]() 5年ぶりのソロアルバム『out of noise』発売記念 坂本龍一インタビュー(1) 『out of noise』の静謐な世界の内側にあるもの Text by YOSHIMURA Eiichi
Photo by JAMANDFIX
ひとりでつくるというのは、ほとんどが編集作業になる
──前作『CHASM』から5年、ついに完成した『out of noise』。その間、坂本さんは他アーティストとのコラボレーションやサントラ音楽などたくさんの音楽をつくりつづけてきましたが、なかなかオリジナルアルバムというかたちには結実しませんでした。
やっぱり忙しかったからかな。ソロアルバム用に没頭する時間をつくるのがむずかしかった。そして最近は仕事のペースが遅いんです。一日に集中できるのがもう2〜3時間(笑)。昔は一日16時間ぐらいぶっ通しでやっていたのに。 ──この5年近く、本作のために断続的にセッションやレコーディングをしていたんですよね。 そう。時間があれば音を録っているという状態がずっとつづいていました。ひとりで録ったり、どこかに出かけていって録ったり。釣りみたいなものかな。そうして録った膨大な音のファイルを家にもって帰ってハードディスクに入れて、それらのうち、どこをどう切りだしてどう使うか、その収拾選択にも時間がかかる。拾ってきた石ころのようなたくさんの音源があって……。この5年、いや、もっと前からか。録りためたもののなかからちょっとずつ“これが合うかな”とか切りだしてくる。ひとつの音源を3時間ぐらいかけて聴いて、使うのは5秒だけとか(笑)。 ──昔のように一定の時間、スタジオを押さえてレコーディングするというような方法はもうしない? バンドで生でやるんだったら、それでもいいんだけど、ひとりでつくるというのは、ほとんどが編集作業になる。素材自体はすぐに録れるんだけど、それを編集するのに時間がかかる。映像作家のひともそうでしょ。短いシークエンスをファイナルカット上に並べてコラージュしたり、フォトショップで加工したり。プラグインいっぱいかけて変換していったり。僕の作曲作業もおなじような作業になってる。 ──そうした膨大な作業のどこかで、「あ、これはこういうアルバムになるな」という分水嶺のような瞬間があるんですか? アルバムをつくろうと思って時間をかけて作業していくわけなんだけど、最初は手探り。自分で全体像が見えたり方向性が見えたりするのは、ある程度まとまってから。『out of noise』の1曲目「hibari」と2曲目「hwit」は、去年の夏前にはできていたんだけど、それだけがあって、あとはどうしようかなって感じがしばらくつづいてたんです。その状態で8月は日本に来てHASYMOのライヴをやったりして、9月にニューヨークに帰って、ようやく頭がアルバム制作モードに入ったところで、「ケープ・フェアウェル」というプロジェクトで9月の終わりから10月にかけて北極圏に行かなきゃいけなくなった。最初は行きたくなくて(笑)。だって、せっかく集中しかけたのに制作を中断するわけだから。でも断れないから嫌々行ったんだけど、行ったらこれがすごい体験で、衝撃を受けたんだよね。おもしろいというか、とにかく大きなインパクトがあった。 ![]()
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