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ドラマ「不毛地帯」プロデューサー長部聡介氏インタビュー(後編) 映像に立ち向かう表現とは Text by OPENERS
トム・ウェイツの「トム・トラバーツ・ブルース」を選んだ理由
──長部さんはYMO体験はありますか? 中学から高校にかけてYMOを聴いていましたね。ロック少年で、当時はみんなロックを聴いていましたが、そこに電子サウンドで革命的なYMOが出現しました。いわゆるロックが記号化・システム化された時代に、大きなカウンターがきた。そのころのYMOの発言で「革ジャンを着て、アンプにギターをつないで、ディストーションをかければロックだと思ってるのは大きなまちがいで、汗をかくなら運動していればいい」というのはいまでも鮮明に覚えています。社会に対する影響力が、ジョン・レノンなどとはちがったあたらしいカルチャーで、とても強烈なものが出てきたという印象があります。 ──教授の映画音楽についてはいかがですか? 『センメリ』が大学時代でしたが、教授のYMOからドビュッシーまでの教養と表現の深さは、サントラにとても向いていると思うし、映像に立ち向かう表現はどれも素晴らしいなと思います。とくに『シェルタリング・スカイ』は好きですね。感情だけではない男女の関係の難しい話ですが、組曲のように書かれていて素晴らしいと思います。 ──「不毛地帯」の話にもどりますが、トム・ウェイツのエンディングも話題になりましたね。 坂本さんにはドラマの根幹となるメインテーマを、それから演出的な見地からシーンに使う音楽は「Mr.Brain」や「ガリレオ」など人気ドラマの音楽も手がける菅野祐悟さんに劇伴楽曲をお願いしました。それから、もし、教授に断られたときにどうしようかと考えて、男の声が入った曲を最後にもってくるのはどうだろうと、漠然と考えていたんですね。この重厚なドラマを別の角度から表現できるものを探していて、サッチモの「What a Wonderful World」やオペラのアリアなども考えましたが、声に特徴があるひとがいいと、トム・ウェイツの「トム・トラバーツ・ブルース」に決めました。 ──エンディングでグッと締まりましたね。 普通だと、坂本さん、菅野さん、トム・ウェイツと、レーベルがちがうとまとめるのは不可能なんですが、今回はcommmonsさんからサントラをリリースできて、とてもうれしく思っています。 ──長部さんはドラマを統括するプロデューサーですが、ドラマづくりとは? ドラマづくりは、なんといってもストーリーです。そしてその物語を具現するキャストたち。ドラマの背景にはいまという時代があって、「この時代にこれをやるのがおもしろいか?」「昔の話だが、いまという時代にとって刺激的か?」など、時代性はとても重要です。よく。「いまの時代は退屈だ」というのを聞きますが、ハードの発達とともに、エンターテインメントやカルチャーに対する飢餓感がなくなってきていて、情報過多になりすぎて解説者ばかりたくさんいる時代になっています。でもじつはおもしろいことはたくさんある。 自分がなにをやりたいか。いまの時代に“異物”としてなにが提供できるか。昔のYMO体験のように、最初はとっつきにくいけど、関心が向いたときに、より大きな影響力がある仕事をしていきたいですね。 ──ありがとうございました 長部聡介|OASABE Sousuke 1987年フジテレビ入社。『夜のヒットスタジオ』のADを経て、『HEY!HEY!HEY!』スタートからかかわる。ドラマに異動して『美女か野獣』、『離婚弁護士』、『医龍』などの人気ドラマのプロデューサーを歴任。
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