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エスパス ルイ・ヴィトン 東京|東日本大震災、緊急企画 アートがいま、できること (1) LOUNGE INTERVIEW
2011.05.27

Espace Louis Vuitton Tokyo|エスパス ルイ・ヴィトン 東京

東日本大震災緊急企画

アートがいま、できること (1)

3月11日14時46分。私たちがこれまで持ち合わせていた意識はこの瞬間、文字どおり地鳴りという大きな音を立て崩れ去った。あれから2ヵ月──あとに残った混乱と不安をかきわけ、手探りであたらしい未来へと向かい歩みをはじめた日本。そのなかでアートが果たす役割とは一体なんなのだろう? 震災直後、アートシーンからはなにもできないと無力を嘆く声が多く聞かれたが、本当にそうだろうか? この日、東京・表参道の『エスパス ルイ・ヴィトン 東京』に、東京都現代美術館チーフキュレーター 長谷川祐子さん、立命館大学映像学部教授 北野圭介氏、メディア・アーティスト 八谷和彦氏、建築家 アトリエ・ワン 塚本由晴氏、『REALTOKYO』『Realkyoto』発行人兼編集長 小崎哲哉氏という5人のアート関係者が集まった。この未曾有の事態に対し、それぞれが抱く想い、そしてアートがもちうる可能性について語った。
 
Text by OPENERS
Photo by YAMANAKA Shintaro
 

ひとつのインフォメーション、あるいはあたらしいひとつの認識

小崎 本日私がモデレーターを務めますが、今回声をかけてくださったのは東京都現代美術館チーフキュレーターの長谷川祐子さんで、僕の役割としてはスナックの“大ママ”に雇われた“チーママ”といったところです(笑)。そんな“大ママ”こと長谷川祐子さんは、日本を代表するキュレーターとして意欲的な展覧会、国際展も何度も経験され、以前は金沢21世紀美術館にて現在とおなじような立場でコンセプトを作り、美術館自体を建築家さんと作られた方で、本イベントの黒幕的存在です(笑)。ではまず、なぜこのような面々が集まっているのかについて、長谷川さんにご説明いただきたいと思います。
 

東京都現代美術館チーフキュレーター 長谷川祐子さん
長谷川 “大ママ”というのはやめてください(笑)。 今回のの会場でもある『エスパス ルイ・ヴィトン 東京』というあらたな場を作られたルイ・ヴィトンとして、いまの状況に対しどのようなステートメント、あるいは場を設けることができるか、というご相談をいただいたのがきっかけです。アート、とくに現代アートとはクリエイティブな面、美学的な面とともに、社会性をもつことがひとつの大きな要素だと思っています。しかし私ははっきり言ってアートとか、私のような文系の人間には今の状況に対してなにもできないということが基本だ、と答えました。
 
でも皆それぞれ、私には美術館にいらっしゃるお客さま、あるいは教えている学生に対しての責任があります。今の状況に対して自分がどのように考え、この仕事に携わる者としてなにを思い、なにをあたらしい意識としてもち得るのかを、きちんと言う必要があるとは考えています。
 

社会とコミットしながら、自身の専門性を日々探求している方たち

今回お呼びした方たちには、評論家のように高みからものを話すだけで、自分は世の中と関係のないところで延えんと作品を作っているだけ、という方はひとりもいません。社会とコミットしながら、自身の専門性を日々探求している方たちということで参加していただきました。
 
北野先生はメディアや映像、それから身体、あるいは私たちの記憶について本質的な考察をされています。突如として起きた今回のような悲惨な状況は、私たちの記憶のなかで崩壊してしまうのか? あるいはどういうかたちで情報をあたえられれば、責任のある情報としてそれを知覚化するなり、データ化するなりすることができたのだろうか? そうしたことについて非常に誠実に考えられています。そのような正統派の立場にありながら、芸術ときちんとコミットされている、ということで北野先生に来ていただきました。
 

立命館大学映像学部教授 北野圭介氏

メディア・アーティスト 八谷和彦氏
 
八谷さんはアーティストとしては珍しく、理系の方です。「ポストペット」や「見えないものを見る装置」「メーヴェ」もそうですが、いまここにない前提のもの、こういうものがあったら世界はどう変わっていたのか、というパラレルヒストリーやパラレルヴィジョンを軸に、それを実際に見せることで表現されてきた方です。今回は震災直後におこなわれた、八谷さんの小さな試みについてお話していただきます。
 
塚本さんは建築家という領域をはるかに超え、都市計画の提案や、アートの展覧会で多くのコンセプチュアルアートを出展しています。それはただ荒野にビルを建てる、というモダニスト的な方法ではなく、その場所に実際に住んでる方たちの文化をよくリサーチしたうえで、そこに自分の解釈をプラスしてカタチにしている方です。そんな塚本さんがいま、どんなあたらしい提案を考えているのかうかがいたいと思います。
 

建築家 アトリエ・ワン/東京工業大学大学院准教授 塚本由晴氏

『REALTOKYO』『Realkyoto』発行人兼編集長/『KAERURYOKU』編集長/京都造形芸術大学客員教授 小崎哲哉氏
 

いろいろなことを考える入り口を、それぞれのパネリストからくみ取っていただけたら

そして自身を“チーママ”と呼ぶ小崎哲哉さんは、『REALTOKYO(リアルトウキョウ)』『Realkyoto(リアルキョウト)』発行人兼編集長であり、以前は『ART iT』の編集長を務められるなど、国際的に発信するメディアを社会性をもって作られている方です。アートとカルチャー、とくにアートに対して非常に造詣が深く、なかでも“リアル”ということにポイントを置かれているのではと思います。そこには特定のイデオロギーや偏見はなく、いまあることをとにかく見つめるという貪欲で広範なリサーチ力がある。日本では珍しいタイプのジャーナリストであり、クリティカルな視点をもった方です。
 
今回お客さまにはいろいろなことを考える入り口を、それぞれのパネリストからくみ取っていただけたらと思っています。パネリストの皆さんには等身大で、自身の生きざまであるとか、専門性を今の状況に対しどのように考え、また実践されるのかについてうかがいたいと思っております。これからお話されることを、ひとつのインフォメーション、あるいはあたらしいひとつの認識としていただければと思います。


Espace Louis Vuitton Tokyo|アートがいま、できること
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