
2009.09.24
ジム・ジャームッシュ監督 最新作『リミッツ・オブ・コントロール』公開
音楽担当 ATSUO(Boris)インタビュー(後編)
ジム・ジャームッシュ監督待望の最新作『リミッツ・オブ・コントロール』では、日本を代表するヘビーロックバンド“Boris(ボリス)”の音楽が起用されており、ジム監督の映像とBorisの実験的音楽とのマッチングがとても素晴らしい出来映えとなっている。
前編にひきつづき、Borisのドラマーでヴォーカルをつとめる“ATSUO”さんに、バンドの音楽性や今後の活動についてなど、いろいろと聞いた。
まとめ=金子英史
写真=中村雅彦
世界を巡ることで自分たちの次の方向性が見えてくる
──新作のスプリットアルバム『Chapter Ahead Being Fake』では、“BORIS”と“boris”、大文字と小文字の表記は分けていないのですか?
そうですね。
──この作品はアメリカのロックバンド“TORCHE”と一緒に手がけられたんですよね。
はい、TORCHEとのスプリットシングルです。
9dw (NINE DAYS WONDER)とのスプリットシングル『GOLDEN DANCE CLASSICS』と、今回は2作同時にリリースしました。
──今回も、やはりジャムからはじまってつくられたという感じですか?
はい、そうです。昨年はライブが合計で100本くらい……。いろんな国で、いろんな場所で、ひたすらライブをやり倒していたんです。日本では1本だけでしたが……。そうやって外に出ると、出た分だけ刺激を受けて帰ってくるんですよ。
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『リミッツ・オブ・コントロール』 © 2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
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それで、ツアーの合間に素材録りをしたり、またツアーに出てどんどん刺激を受けて……。世界を巡ることで自分たちの次の方向性が見えてくる部分があるんですよね。
でもツアーばかりだと、レコーディングしたいという鬱憤も溜まってくる……。9月から3ヵ月連続で、アメリカのレーベルからシングルがリリースされることが決まっています。
スプリット作品と合わせて合計10曲のレコーディングは終了しています。100本のライブをまわってきた結果、昨年受けた刺激が、これらの曲にはフィードバックされていると思いますよ。
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──海外で活躍したいと思っているバンドはたくさんいると思うのですが、なかなかうまくいかないというのが現状だと思います。Borisはかなりうまくいっていると思うのですが、その秘訣はなんでしょうか?
音楽自体よりも、コミュニケーションの在り方じゃないですかね? 僕は英語も片言なまま、こういった恵まれた状況になっているのですが……。
僕が話す英語って全部「I want〜」なんですよ。
すべて“要望”なんですけれど、それで通してきただけ──。
横柄な態度に見えるかもしれないですけれど、その部分はおもしろい音をつくったり、おもしろい活動をしていくことで返していっているつもりです。まわりの人たちが「英語が話せないから」って大目に見てくれてる部分もあると思いますが(笑)。
海外のミュージシャンともいろいろ付き合いはありますが、彼らが日本に来たときに「日本人は、とにかく失敗を恐れている」ということを耳にするんです。だから英語を話すことも躊躇してると思うんですよ。僕はべつに「失敗」とかはどうでもいいというか……。レコーディングもなるべく「失敗する」ようにしてますし……。とにかく「I want〜」で通す。はっきり意思表示だけはしてきた感じですね。
テキサス・マーファでのライブ会場に落ちていた“耳”の破片
──なるほど。最初に海外でライブをされたときは、やはり恐れというか、不安みたいなものはありましたか?
あまり考えなかったです。自分たちが「好きなこと」をやるだけですからね。それは他人の“評価”を気にする以前の話というか。世の中、なにも信じられるものなんてないですから。
でも自分がなにを「好き」という気持ちだけは、自分のなかにはっきりあって、それしか頼るものはないですからね。
それで突き進んでいる感じかな。
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まあ、本当ははっきり意思表示だけしてもなにも伝わらないんですけれどね、「I want〜」しか言わないから(笑)。でも、わからなくても、つながっていこうとする姿勢をもっていれば、向こうはきちんと答えてくれるし。その隙間の曖昧な部分は、お互いの思いやりで埋め合う感じでいつもコミュニケーションはとってます。
浮わついた人脈があるわけでもないですし……。もともと向こうで出会った友達がレーベルをはじめて、そこからリリースさせてもらって──、そういう友達関係がだんだん広がっていったことなので……。まわりに助けられながら、サポートしてもらいながら、広がってきている感じです。感謝してますね。
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──今までやったライブで、いちばん印象に残っているのは?
もうコレはネタですけど、テキサスのマーファというところでライブをやったのですが、ライブの後に、ちぎれた“耳”の破片が床に落ちてまして(笑)──。それは後々歌詞にもさせてもらいましたが……。
実際にその“耳”の本人、その“耳”がついていたひとともホテルで会って……。日本にもどってからもいろいろとメールのやりとりもしたんですけど、彼がその“耳”をホルマリン漬けにして、コッチに送ってきそうになったり……(笑)。
──それはうれしい反面、ちょっと困りますよね(笑)。
頼むからやめてくれって(笑)。
ホテルで会ったときは、血だらけで、包帯でぐるぐる巻きでしたからね……。ホテルに救急車は来てるし、警察も来てるし……。そんななかサインを求められました(笑)。
──そのひとは、どこの方だったんですか?
アメリカ人でしたね。そのとき彼はクルマで10時間ぐらいかけてライブに来てくれてて……。彼自身その地元でライブハウスを経営しているんですが、ちぎれた“耳”はいまそのクラブのバーに飾ってあります。
スプリット作品『Chapter Ahead Being Fake』のプレビュー映像に注目!
──熱狂的なファンがいらっしゃるんですね(笑)。
さて、音楽レーベル「Daymare Recordings」のサイトには、スプリット作品の『Chapter Ahead Being Fake』のプレビュー映像が掲載されていて拝見しました。オープニングが香港のカンフー映画製作会社の大手『レイモンド・チョウ カンパニー』のはじまり方ですよね。あれはやはりカンフー映画が好きだったのですか?
はい。普通にそういう世代ですから(笑)。
──最初は、カンフー映画のYOU TUBEを貼りつけているだけなのかなと思いました(笑)。
頑張ってつくりましたよー。
すべて悪ノリだけ。そういうのは仕事が早いんですよね(笑)。
──では、最後にひとことお願いいたします
ジム・ジャームッシュ監督の“映画”も、すごく豊かな経験を提供してくれる映画ですし、僕らの“表現”も感覚、印象、実感などの経験を一緒にシェアできたらいいなと思ってやってます。
情報だけのシェアではなくてね……。
なので、ぜひライブにも遊びに来ていただけたらなと。
──ありがとうございました
(おわり)
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© 2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
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映画『リミッツ・オブ・コントロール』
監督・脚本│ジム・ジャームッシュ
出演│イザック・ド・バンコレ/アレックス・デスカス/ジャン=フランソワ・ステヴナン/オスカル・ハエナーダ/ルイス・トサル/パス・デ・ラ・ウエルタ/ティルダ・スウィントン/工藤夕貴/ジョン・ハート/ガエル・ガルシア・ベルナル/ヒアム・アッバス
音楽│ボリス
公式サイト│http://loc-movie.jp/index.html
9月19日よりシネマライズほか全国ロードショー
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ストーリー
舞台はスペイン、名もなき孤独な男はある任務のためさまざまな街を巡り、さすらう。
過去、目的、計画……すべては謎に包まれたまま、ただ男は任務の遂行だけを目指す。
ありのままの現実と、夢のなかを彷徨うかのような非現実が交錯する。
スペインじゅうを巡りながら、男は任務の遂行だけを目指す──。
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TORCHE/Boris “Chapter Ahead Being Fake” Split CD
Now on Sale!!
1.King Beef (TORCHE)
2.Luna (Boris)
Designed by fangsanalsatan
DYMC-098
1575円
Daymare Recordings│http://www.daymarerecordings.com/top.html
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9dw/Boris “Golden Dance Classics” Split 12inch, CD
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1エイの宇宙遊泳-STINGRAY-(9dw)
2.スパイス-SPICE-(9dw)
3.トーキョーワンダーランド-Tokyo Wonder Land-(Boris)
4.あきらめの花-Akirame Flower-(Boris)
Designed by ステンスキ
12": Catune-32 / CD: Catune-33
1575円
Catune│http://www.catune.com/index.html
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