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LOUNGE INTERVIEW
2009.06.05

セカンドアルバム『Nobody's Tune』とともに再来日!

シンガーソングライター WOUTER HAMEL(ウーター・ヘメル)独占インタビュー


2007年のデビューアルバム『ヘメル』で本国オランダのみならず、ここ日本でもブレイクしたシンガー/コンポーザーの、WOUTER HAMEL(ウーター・ヘメル)。
たぐいまれな作曲センス、“新世代のフランク・シナトラ”と評される深く美しい歌声、そしてその端正なルックスでファンを魅了してきた。今年の3月には、オランダが誇る“ポップ職人”プロデューサー、ベニー・シングスと再びタッグを組み、セカンドアルバム『Nobody's Tune(ノーバディーズ・チューン)』をリリース。このセカンドアルバムを携えて、1年ぶりにビルボードへカムバック!!
 
「僕は自分を“シンガーソングライター”としか定義したくないんだ。エルトン・ジョンだって、MIKAだって、“シンガーソングライター”でしょ? “シンガーソングライター”はいろんなスタイルでいられるからね」と、自らのスタイルにこだわりたくないと言うウーター。ちょうど東京JAZZ FESTIVAL 2009への出演が決まり、ますます注目が集まるなか、ビルボード2日目の公演直前にインタビューに応じてくれた。
Photo by Jamandfix
Text by OPENERS

より成熟して、ビルボードに“凱旋”

――1年ぶりの日本でのライブはいかがでしたか?

日本でパフォーマンスするのはいつも楽しいんだ。日本のオーディエンスは、僕たちの音楽、言葉、歌詞、そしてアレンジに本当に注意を払ってくれるから、ミュージシャンとしてこんなにうれしいことはないよね。僕の母国、オランダではときに、観客がショウの最中に大声でしゃべっていたりもするから。それでもやっぱりあたたかくて、積極的だといえるけれどね。シャウトしたり、一緒に大声で歌うことをまったく躊躇しないんだ。

それに比べて、日本のオーディエンスはより敬意を払ってくれていて、でもその分少し静かかもしれない。こういうビルボードライブ東京みたいな、フォーマルな会場だから、というのもあると思うけれど。

――昨年のビルボード初公演も大成功を収めましたが、そのときと比べて昨日の公演はいかがでしたか?
バンドとしてもより成熟したと思うし、曲自体ももっと良くなってると思うんだ。レパートリーに均整がとれているというか……オーディエンスもそう思ってくていればいいんだけど。去年よりさらに楽しんでくれたんじゃないかな。

――今回のライブでは、ウーターさんのパフォーマンスもさることながら、バンド全体の息の合い方にもすっかり驚かされました。どのくらい一緒に活動されてるんですか?

僕たちはもう4、5年一緒にパフォーマンスしているんだ。彼らは本当に才能があって音楽の教育もしっかり受けているから、このレベルに到達するまでにそんなに時間はかからなかったよ。それに、前作の成功以来の2年間、ずっと一緒にプレイして密度の濃い時間をともに過ごしてきたから、その時間のなかで結束がどんどん固まっていったことも事実かな。

自身にチャレンジを課した、セカンドアルバム

――今年の3月に発売された『Nobody’s Tune』は、大ヒットしたファーストアルバム『Hemel』よりも、より実験的で、ストレートジャズから“離れた”作品ですよね。

自分自身にチャレンジを課して、新たなスタイルをつくりだしたいと思っていて。よりポップな、ね。
それから、サンプリングを多用するよりも、よりアコースティックなサウンドを使いたい、っていうアイディアもはじめにあったんだ。

――どんな作業からはじめたんですか?

ハモンドオルガン、 オートハープ、メルトロンといったまったく新しい楽器を使ったり、“音のリサーチ”からはじめたんだ。ウェブサイトで新しい楽器や音を探して、プロデューサーのベニー・シングスと「この“ベル”の音をバックグラウンドに使うの、どう思う?」とかアイディアをメールで送り合って。そのあと、バンドをスタジオに招いて、その楽器を使って試行錯誤をくりかえした、っていう感じかな。

――では楽器がアイディアとなってできた曲が多いんですか?

ううん、それがね、結局“従来の方法”に戻ったんだ。新しい楽器を使って音を試すっていう作業は面白いものであると同時に、混乱するものでもあったんだ。可能性を知れば知るほど、そのなかから選ぶのが難しくなってしまって……。

それで、いつものやり方を試みることにしたんだ。つまり、自分でまず曲を書き、ラフに録音をする。その段階で、ベニーを呼んで、毎日毎日曲について話し合ったんだ、可能な限りのアイディアを。
その作業を経て、やっとバンドと録音をするにいたったんだよ。

だから“元となる”多くの曲は、森に囲まれた家で1週間ぐらい完全にひとりになって書いたものが多かったりするんだ。

――前回に引きつづいてベニー・シングスさんをプロデューサーに迎えて、今回も素晴らしいサウンドをつくりだしましたが、彼と仕事をするとなにか特別なケミストリーが起こったりするのでしょうか?

本当にそのとおりだよ! 彼は“プロデューサー”というよりもむしろ、友人であり、“コラボレーター”なんだ。プロデューサーって、往々にして“サウンド”ばかり気にしてあまり歌に注意を払わないよね。でも、ベニーは彼自身もミュージシャンということもあって、歌のこともいろいろ相談できるし。そういう意味で、やっぱり彼は“コラボレーター”だね。彼はとても重要な存在だよ。

――まわりからは、「よりストレートなジャズ作品やカバーアルバム」を期待されていたそうですね。
そんななか、あえて新境地に挑んだ作品をリリースしたわけですが、当時の心境や反応を聞かせてください。


「気に入らない人もいるかもしれないな」とは思っていたし、新しい方向性の作品をリリースする“リスク”は認識してはいたけど、不安はなかったよ。それにありがたいことに、あたたかい反響をもらっているんだ。「ファーストアルバムとは全然ちがうものに仕上がった」と感じるひともいるかもしれないけれど、多くのひとが「ウーターらしいね」って言ってくれてるんだ。僕の声、歌詞、そしてフィーリングは以前と変わないからだと思うんだ。
幸運なことに、母国オランダ以外でも受け入れられていて、それはすごく誇りに思っている。これから世界規模の契約を結ぶところなんだ。日本でも先行シングル「One More Time On The Merry-Go-Round」がラジオ局でヘビーローテーションとなっていたらしくて。僕の新しいチャレンジングな音楽が認められて、すごく光栄だよ。
――アルバムのなかでとくに思い入れのある曲はありますか?

「Tiny Town」だね。レイドバックしていて、メランコリックな雰囲気をもっているのに、サビではすごくパワフルになるんだ。大きな感情が巻き起こっているような。
“アメリカの広大な敷地をドライブしているときに、ラジオから流れてくる”。僕にとっては、そんな曲にも感じられるんだけど。

この曲は、オランダのエイプという、自然が美しい小さな町=“Tiny Town”にひとりでいたときにつくった曲なんだ。
幸運なことに前作で僕の音楽は多くのひとに受け入れられたんだけど、それからは生活が多忙をきわめて……。それで、アムスでの忙しさや喧噪から逃れひとりその小さい町で、「Tiny Town」の詩のごとく『このちっぽけな街には 僕を落ち込ませるものなんてない』って感じたんだ。

つねにチャレンジしつづける ウーターの次回作は!?

――次回作の展望は、もうあるのでしょうか?

新しい曲に関しては、アイディアがあるんだけど、アルバムのコンセプト、っていう意味ではまだ考えてないんだ。『Nobody’s Tune』からまだ時間もたっていないけど、今年の終わりにはちょっと落ち着いて、新曲を書きはじめて、アルバムについても考えたいと思っているよ。


――PJ HarveyやSmashing Pumpkinsといったロックアーティストが音楽の入り口だったそうですね。 ライブでも曲によっては歌い方にロックのエッセンスが感じられましたが、“ロックテイスト”という可能性もあるのでしょうか?

“ロック”とカテゴライズされるような曲はつくらないだろうね。僕はいつも“歌らしい歌”が好きなんだ。ストーリー性があって。
僕は、“間違った年代に生まれたんじゃないか”って思うほど、1950〜60年代の歌の雰囲気が大好きなんだ。


「次回作は、タイムカプセルとともに旅に出ないといけないかもしれないね」とユーモアたっぷりに 語る彼。その次回作、そしてライブを見られる日が、早くも楽しみだ。
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