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吉田克幸 × 桑原茂一 対談
「いい顔しているねぇ」。 店内に飾られている小さなお地蔵さまを見て、二人の不良がそう呟いた。ここは東京・銀座、JR線の高架下にある「Porter Classic 銀座」の屋根裏部屋。日本を代表する鞄デザイナー、吉田克幸氏と、20年以上にわたりフリーペーパー「Dictionary」を発行しているクラブキング代表の桑原茂一氏。40年に渡り、旧知の中である二人が、男の隠れ家ともいうべき場所で語ったこれまでのこと、そしてこれからのこと。 文=武井正樹
写真=平間至
桑原 ジーンズの古着があれば、普通の人はそれで満足するけど、克さんの場合はジーンズを越えるものを作るタイプ。それが今回の「Porter Classic」に繋がるんだと思います。
吉田 今までいろんなことをやらせていただいて。身体壊したり、60歳を過ぎて、もう一度原点に戻りたかった、というのがきっかけかな。温故知新ではないけれど。死んだ父親が無からはじめたように。1960年代の銀座はきらびやかで、世界に誇れる日本の文化が凝縮していて。その頃を彷彿させる場所はもうないだろうと思っていたら、ここ(インターナショナルアーケード)がまだあってびっくりして。その時は興奮して茂一ちゃんにも話したよね。 桑原 もう最高の場所ですよ、ここは! 僕もロンドンのアンティークマーケット好きだったから、時間を突き抜けていくような、タイムマシンにのったような気分になりますよね。 吉田 このアーケード自体がタイムマシンだよね。ロンドンやアメ横の雰囲気があって、それに加えて泰明小学校、帝国ホテルなどの昔の銀座を思わせる場所が相成ってさ。 ![]() 桑原 そうやって克さんがこれまでみてきたことを、これからの世代に残そうとするのが、「Porter Classic」だと思うんですよね。 吉田 誰もしたことないことをやりたいじゃない、やっぱり。でも誰かに影響を与えるんじゃなくて、人に迷惑をかけずにやりたい。どうせ死ぬんだからさ。 桑原 僕らはいってみれば「反抗の世代」だったわけで。ロックって自由だ、フリーダムだ、と世の中に飛び出してきたんだけど、歴史を俯瞰して見た時に実にちっぽけで「だから自由、自由なんていっても、体制からみればお前らの存在は屁でもないよ」というところに今、来ているわけですよ。それは、歴史をきちんとみることを忘れていた、我々のようなメディアやモノづくりに携わる者は一度反省するところにきてるんでしょうね。 ただ、克さんはずっとその本質を大切にしてきた。だからこそ「Porter Classic銀座」は世界中のクリエーターが絶対くるべき場所だと思う。まさにクリエーターの聖地ですよ。僕らは海外のものに影響を受けて、それを越えられないと、どこかでずっとコンプレックスになっていて。でも克さんのおかげで、僕らは僕らでいいじゃないか、と思うようになりましたね。そして自由をうたう前に、歴史、家族を大切にしないで、何が自由なんだと。克さんは「Porter Classic」でそれを体現している数少ない人ですよ。 ![]() 吉田 嬉しいな……。僕と茂一ちゃんはかれこれ40年以上の仲で、色々と深い話をするんだけど。音楽、ファッション、映画……なんでもいいの、とにかく大切なことは「ずっと続けていくこと」。そしてそういう環境を支えてくれた人への感謝の気持ちだよね。 桑原 克さんが着ているジャケット(剣道着をモチーフ、糸一本からオリジナル)はまさに「反抗」の象徴だよね。あらゆる価値観に対してアンチだから。そしてさまざまな歴史を内包しているし。
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