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![]() ![]() 第28回 安楽寺えみ 写真展『Snail Diary』対談(その2)
前回に引き続き、安楽寺えみさんとの対談の模様をお伝えしていきます。 話は安楽寺さんの写真の原点へ、そこから今回の写真展のテーマへと移っていきます。彼女の言葉を聞くうちに、写真に写る表現の、さらにその奥にある深い部分を垣間見ることができた気がしました。 北村信彦/HYSTERIC GLAMOUR
Photo by Jamandfix
Edit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)
6尺3寸の宇宙でできること
北村 安楽寺さんの作品は、写真というカタチになるまでに、また別のコンセプトがありますよね。そういう意味では普通にいう写真家というカテゴリーに収まっていない気がします。もっと広い意味でのアーティストというんでしょうか。 安楽寺 もともと私は油絵からはじまって、その後銅版画をやっていましたから。じゃあ、どうして写真にいったのかというと、やっぱり写真がおもしろかったんじゃないでしょうか。 きっかけは、病気になって10年間闘病生活をしていたことに関係しています。はじめは本当に閉塞された空間のなかでなにもできない状態を余儀なくされていました。その生活のなかでは身近なもの、たとえば枕などをじーっと見ているしかないんです。 そういう生活が10年も続いたんですが、そんななかでも回復してくるにしたがって、やはりなにかしたくなってきたんです。でも、油絵や版画などは、その場ですぐにできる作業じゃありません。で、6尺3寸の宇宙でできることといったら、こまごまとしたものをつくって、それを写真に撮ることだったんです。私はそれを私家版の本にしていったんですが、気がついたら天井につくぐらいの高さまで私家版写真集が出来上がっていたんですよ。そこで思ったのが、いまここで死んだらこれは誰の目にも触れずに捨てられちゃう、ということでした。ならばと思って、あるコンペディションに応募したんです。そうしたら森山大道さんと飯沢耕太郎さんがすごく評価してくれて。 そこからいわゆる写真家として、写真集なども認められるようになったというわけですが、もともとは全部そういう状況でつくった私家版だったんです。
微熱状態のなかで見る夢のような作品
北村 たぶんその10年間がなかったら、こういう作品にはならなかったでしょうね。今回の作品を見ても、表面に写っている絵を上回る感情が出ているのを感じます。 僕は安楽寺さんの写真をはじめて見たとき、病気のことは知らなかったんですが、いい意味でうなされました。微熱状態というか。子どものころ、まだ寝る時間じゃない夕方とかに熱を出してひとりで寝ているようなあの感じです。ああいうときって決まっておなじ夢を見たりして、怖いんだけど夢の先も見てみたい。なんかそういう感じがすごく詰まっていたんですよね。自分が夢のなかで見たことって、口では説明できないものですが、それが作品に表れているような気がしましたね。 安楽寺 そうかもしれないですね。今回の写真展のテーマも、入口に掛けさせてもらった文章(※下記参照)のとおりで、不快だけど、どこか甘いようなある種の心地よさを含んだ、クセになっていく感覚を表現しています。このテーマは、今回の写真展に限らず、私のなかではずっと一貫しているものです。私自身、崖っぷちでうまくバランスをとって、なんとか生きているという気がしています。それを作品に転換できているからこそ生きていられるんじゃないか、そんな気もしますね。でも、気持ち悪いのとか、グロテスクなのは嫌いなんです。ボーダーラインギリギリというところがいいんですよ。 安楽寺えみ×北村信彦対談(その3)につづく(3月21日公開予定)
『Snail Diary』コンセプト 〈蝸牛日誌〉〜ぐるぐるのめくるめく殻の世界の天と地を繋げる道具(呪物)としての杖へのオマージュ〜 皮膚のあちこちにできた水泡が破け、 ひりひりとしたむき出しの粘膜の上を無数の蝸牛たちが這いまわる。 おぞましく不快で心地よい感覚はいつまでもいつまでも続く。 ぐるぐるのめくるめく回帰できない世界。 神々の誤審なのか、杖は気弱な羅針盤となって磁石の針の振れが蜿蜒に止まらない。 聖なる杖に憐れみと蔑みと慈しみと愛しみを。 わたしは心もとない杖が地をつく振動を頼りにぐるぐるの螺旋空間をいつまでも彷徨い続けるのだろう。
information ヒステリックグラマー製「安楽寺えみデザイン オリジナルグッズ」は現在、Hysteric店舗にて、数量限定で発売中です。 ベルト 3万6750円(税込) チョーカー1万3440円(税込) グローブ(レディス)2万3100円(税込) ストッキング 8190円(税込)
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