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2008.10.31

松浦俊夫が訊く、"JAZZANOVA"の未来とは!?

松浦俊夫 × JAZZANOVA 対談(後編)

約6年ぶりとなるニューアルバム『Of All The Things(オブ・オール・ザ・シングス)』をリリースし、久々の来日をはたしたドイツのDJ&音楽プロデュースユニット"JAZZANOVA(ジャザノヴァ)"の主要メンバー Alexander Barck(アレキサンダー・バルク)とStefan Leisering(ステファン・レイザーリング)の二人。
DJの松浦俊夫 氏が、毎週月曜日にお送りしているラジオ番組『7/11(セブン・イレブン)』(SHIBUYA-FM 78.4MHz 19:00〜20:00 O.A)にゲストとして登場した。
松浦さんが番組内で、彼らに新作アルバムのコンセプトや、"JAZZANOVA"の今後などについて聞いたインタビュー後編。


インタビュー=松浦俊夫
通訳=フクダキョウコ
Photo by Jamandfix




松浦俊夫|さらにアルバムの内容のことについてお聞きします。
このアルバム自体をクラブミュージックとくくってはいけないとは思うのですが、クラブシーン自体がかなりテクノ系というか、すごくデジタルな方向が大勢を占めていると思うのです。現に"Sonar Kollektiv"自体も、いろんなエレクティックな音楽をリリースしているわけですけれども。しかしながら、今回はあえてそこではなく、より暖かみのあるオーガニックなサウンドに仕上げたのは、何かしらの意図があってのコトだと思うのですが、そのあたりのお話をお聞かせください。


Alexander|個人的にもクラブでのDJの時は、テクノやハウスをかけたりするので、もちろん好きなのです。
だけれど、レーベルをやっているという経験もあってなのですが、いわゆるダンスミュージックというジャンルをCDのフォーマットにのせるのには少し無理があると感じているのです。ただし、それが今作の感じになった理由ではないのですが。
例えば、『Gafiera(ダフィエラ)』と『Let Me Show Ya(レット・ミー・ショウ・ヤ)』という曲は、二つの曲を聴いても、いまのダンス ミュージックのルーツからそれほど遠いところにある物ではないと思っています。ソウル ミュージックやブラジリアンの要素も入っていますしね。好きな音楽──自分が情熱を持っている部分を作っていったら、このアルバムになったという感じなのです。
それにベルリンは、ご存知の通りもともとテクノミュージックが強い土壌なので、テクノ、ミニマルという音楽が非常に流行っていたのですが、ここ最近になって流行がソウルミュージック的な方向に動き始めているという現状があります。
そういった状況からも今回のアルバムに関しては、現状のダンスミュージックシーンとそれほど遠く離れたところにあるものでもないと思うのです。ソウルミュージックが流れとして重要なものであるということに関しては共通点がありますので、自分たちのスタンスとしてはクラブで聴かれるもの、それからリスニングできるもの、その間に入るようなもの──両方を持っているものを作りたくて作ったのが今回のアルバムなんです。


松浦俊夫|今作のゲスト アーティストたち、Paul Randolph(ポール・ランドルフ)だったり、Dwele(デュベレ)、Leon Ware(レオン・ウェア)、"Fat Freddie's Drop"のJoe Dukie(ジョー・デューク)、"Little Brother"のFonte(フォンテ)、José James(ホセ・ジェームス)に、Ben Westbeech(ベン・ウェストビーチ)と、全曲にヴォーカルが入っていますよね。
それらの楽曲は、コンセプトがあってヴォーカリストを選んだのでしょうか?
それとも先にヴォーカリストをイメージして楽曲を制作したのでしょうか?

Stefan|ホセ・ジェームスとは3曲作ったのですが、レコーディングのためにローズピアノを用意して、それを使用して彼と一緒に曲を作るという方法をとったのです。
今回は、アルバム全体のコンセプトの設定はしていないので、楽曲ごとにコンセプトを考えたという形で進めました。
実際のレコーディングの作業に入ると、まず自分でアレンジとかインストゥルメンテーションをやってみて、もちろんその時点では完成系は作れないのです。なぜなら、それはヴォーカルが入ってからどんな形になるのかその時点では分からないというのと、ヴォーカルのレコーディングが終わったあとに手直しをする作業が発生するので、ある程度未完成のままでヴォーカルを入れてもらって、その後に変化を加えて、最後にストリングス、ホーン、そして残りの部分を作っていくという方法をとっているからなんです。
だから、コンセプトが先にあったりした曲もあるし、シンガーと共に作った曲やその部分もあるし、そんな感じで両方ですね。


松浦俊夫|"JAZZANOVA"として、未来的にどこに進もうとしているのでしょうか?
おそらく、すでに次のことを考え始めているのではないかなと思いまして。ぜひ、聞かせてください。

Stefan|オリジナルの楽曲をどんどん手掛けていきたいですね。それはアルバムもそうですし、シングルに関しても出来るかぎり作っていきたいと思っています。
まだ、次のアルバムのプランはないですけれども、自分の頭の中だけでは、今回よりヴォーカル曲を少し減らして、インストゥルメンタルの楽曲も入れたアルバムにしようかなと考えていますよ。


Alexander|実は、今回のアルバムのライブ ショウを計画しています。
"JAZZANOVA"でライブをやること自体、初めてのことなのですが、それを12月くらいに日本で計画をしているのです。ライブという経験は、自分たちにとっても興味深い経験になると思うし、逆にライブから得たアイディアを制作に生かすことが出来るのではないかとも思っているので、今からとても楽しみですね。日本のみなさんには、ぜひライブ ショウに遊びに来ていただきたいです。


松浦俊夫|最後に、あなたたちにとって"音楽"とは何でしょうか?

Alexander|音楽は、僕らにとって"すべて"とは言わないですけれど、僕の人生の大きな部分を占め、個人的にも幸せにしてくれるものです。
だから、この道で食べていけているということは、とても幸せなことだと思いますね。すべての人が音楽への情熱だけで食べていけるわけではないですから。長い人生、今後もさらに多くの音楽とともに生きていくだろうし、誰も音楽なくして生活はできないと思いますね。


Stefan|音楽は、僕に笑顔をくれました。だから僕の人生の中のとても重要な一部ですね。
小さいころ、家族で歌ったり、父がギターを奏でたり、合唱団に入っていたりもしましたよ。
音楽は人生のサウンドトラックであって、雰囲気を作るためにすごく必要なもの。もちろん今は仕事として関わっているし、それは情熱からくるとても純粋な仕事だと思っています。
だけど、多くのひとが必要としている音楽をつくりたいと情熱で思っていても、なかなか簡単にはできないですけれどね。
いつも音楽漬けになっているから、音楽を聴き流せなくなってしまっているんですよ。どこかから音楽が聴こえてくると、何の音楽なのかとか、ついつい分析したくなってしまうんです(笑)。

Alexander|それに音楽は、通訳者がいらないですよね。音楽はとても全能なんです。海外に行ったときに、私がどこから来たのかを説明しなくても、音楽を演奏しただけでお互いに分かり合える。
コトバを超えたコミュニケーションなんだ。
そこが音楽のいいところですよ。

松浦俊夫|ありがとうございました。


(おわり)



JAZZANOVA

Alexander Barck, Claas Brieler, Jurgen von Knoblauch, Roskow Kretschmann, Stefan Leisering, Axel Reinemerの6人からなるDJ&音楽プロデューサー ユニット。

95年にDJ集団としてスタート。翌年には制作活動開始。
98年にはアーティストの集合体である"Sonar Kollektiv"を結成、同時に音楽レーベル"COMPOST"と共にジョイント・レーベル"Jazzanova Compost Records(JCR)"を旗揚げし、数多くのリミックス作品をリリース。
現在は、レーベルとしての"Sonar Kollektiv"に活動拠点を移している。

https://www.sonarkollektiv.de

左 Stefan Leisering、右 Alexander Barck


Of All The Things
JAZZANOVA

価格|2500円
発売中

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