クリエイティブ集団HITSFAMILYの一員としてオウプナーズのグラフィックデザインをはじめ、ウェブに紙にと媒体を問わず活躍するアートディレクター 河田孝志氏が、環境保全をテーマとしたアプリ
「ANIMAL FONT(アニマルフォント)」を制作。これまでにないあらたな表現にチャレンジした彼が考えるiPadの価値とは?
文=オウプナーズ
写真=西田周平
たしかに便利ではあります、ただまちがった方向にいってほしくない
──iPadを実際に日常で使用してみて、いかがですか?
じつは正直まだ使いこなせていないんですよね(笑)。“使いこなせない”というよりも、“使いこなすべきもの”がないんです。iPadって発売前、“電子書籍”という言葉で話題となっていましたが、僕個人としては本はやっぱり紙だと思うんですよね。それについては以前iPad発売日にHITSPAPER主催の「NIT」というイベントをおこなったさい、ブックディレクターの幅 允孝さんもトークショーで話していたことですが、iPadで本を読んでも、本をめくる感覚や振動が伝わってこないんですよね。
──タッチひとつで辞書を引ける機能は便利ではありませんか?
それはまさに「NIT」でも話題に上がりました、押せるのがよくないと(笑)。前のページにもどるなり、辞書をひくなりして、身体を使って調べるべきだと。iPadが教育に浸透すると、子どもたちはどんどん辞書でものを調べなくなっていくでしょうね。たしかに便利なマシンではあります、でもそういったまちがった方向にいってほしくないですね。
──iPadを使用するのは仕事でですか、それともプライベートで?
──またひとつメディアが増えたことによって、あらたな表現方法を考えていかなくてはならないのでは?
これまではある程度制作フォーマットをみんなで共有していたので、全体的にぶれはありませんでしたが、こういったあたらしいシチュエーションが増えたことによって、フォーマットをどのように管理・共有していくのか、再構築していかなくてはなりません。iPadではフラッシュが使えないのですが、では今後HTML内にどのようにフラッシュを組み込んでいくのか? “使えない”という状況が生まれたことで、みんながHTMLとフラッシュの存在について考え、今後どうしていくべきかという思いを共有することができたんじゃないでしょうか。それぞれがどういった演出を仕掛けてくるのか、これから楽しみですね。