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──ウェブマガジンは基本的に毎日が締め切りのようなものですから。それこそテレビも大変なのではないですか?
テレビには50年というそれなりの歴史があって、みなさまの家に土足で踏み込む権利を持っているわけじゃないですか? これはやっぱり強いよね、メディアとして。ウェブの場合は読者が自分で入りこまなきゃいけないから、本当にいいコンテンツをつくらないと、(読者の獲得は)厳しいと思う。最近はテレビの人間が「インターネットに興味がある」なんていってるけれど、「馬鹿じゃねぇか?」と思っちゃうわけ。だからインターネットで何かをやる、ということならばやっぱり「中身」次第になっちゃうと思うんだよね。 |
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──藤村さんのなかで、読者や視聴者への「伝え方」にルールはあるんですか?
たとえば「100万人に伝えよう」なんて考えちゃうと、なにも出来なくなっちゃう。だから身のまわりにいる人、たとえば(インタビュアーを指差し)あなたとかに伝える感覚だよね。いまココにいる人を泣かせなさい、といわれたら、一晩あったら泣かせられる自身はある。俺はそういう感覚でモノづくりをしてる。でもそれが日本国民全員を──なんて話になったら、無理じゃない。“より多くの人を取りこむ”なんて雲をつかむような話を念頭におくと、番組づくりはいわゆるマニュアルでしかなくなっちゃう。 |
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──ヘンな伝統的な定石がはびこってしまっている、と
テレビの歴史はたかだか50年だから、伝統とまで呼べるものじゃない。最初テレビは「映画に勝つ」というのがお題目としてあったわけだけど、現在はお笑いだからこう、とか、ドラマだからこう、という固定観念が多すぎる。今はこれが流行だとか、つくり手が考えなしにそういった部分に傾注しているよね。 よっぽどほかのメディアの人のほうが考えていると思う。危ないよなぁ、TVは……。でもテレビのつくり手としては、そんな状況でも「負けない」っていう自負もあるけれど。 ──ウェブマガジンでも同じことがいえると思います。読者を飽きさせないためにはこうすればいい……と考えてしまいます 飽きさせないと考える時点でもう間違っていると思うんだよね。いや、人っていうのは、飽きるって(笑)。 |
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「3時間SHOW」本番中の風景。嬉野氏とビール片手に語り合う。
ちなみに場面設定は「旅中の宿の夜」。 |
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考えちゃいないんだもん(笑)。裏切るとか考えた事もないし。ただただ沖縄に行きたいだけで、企画考えちゃったりね。あなた方の気持ちなんか、知ったこっちゃないからさ(笑)。もちろん番組のために、多少のお笑いなんか入れたりはしますけどもさ。
──でもやっぱり僕らはそれで笑っちゃいます。 笑っちゃうわけだろ? さっきまで怒ってたやつが、笑っちゃったりしててさぁ。その方がいいじゃん、お互い。結局「人と人」なわけだから、モノづくりは。 ──作家の方や、ジャーナリストの方が出来上がった原稿をまず編集者に見てもらって、その最初の感想、指摘には素直に耳を傾ける、というエピソードを聞いた事があります。お話を伺ってるとテレビ番組づくりもその関係性と似ているのかなぁ、と思いました。 |
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2部に入ると、背景には「満月」が。心憎い演出。
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当日、大泉 洋氏より届けられたお祝いの花。というか、「すすき一本」。
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──描く紙の大きさは決まってて、ですよね?
それも決まってない(笑)。一回の企画の放送回数は最初決めていないから。30分番組という枠組みはあるから、そこだけは何とかしなきゃとも思うんだけど、たまに45分に拡大することもある(笑)。どうしようもないときはね。 だから「初見で決める」というのは非常に大切にしていることだよね。その時点で考えすぎても、いいモノは生まれないと思うから。 考えるんだったら、企画をつくる時点で考え込んでる。それも会議ではなく、自分の頭のなかで。でも自分の頭のなかだけで考えてるから、アメリカ行ってもどこ行っても、実際とちがうことなんかはよくあるけど、でも俺は真剣なの(笑)。ものすっごい調べてんの。 ──たとえ無謀な旅行日程でも? 「俺はいける」と思ってた(笑)。自信たっぷりにいって、でも最後に間に合わないとかなるから、出演陣からは「藤村くん、ちょっとおかしいんじゃないか?」とか言われて、もうぐぅの音もでないんだけど……。でもそういった部分も「水曜どうでしょう」の面白さにつながっていると思うんだけど。でも本当に、真剣なんだよ俺は(笑)。 |
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その花をなじりながらも大泉氏に対する愛情を感じるつっこみに、場内は爆笑
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──(笑)。やはりつくる側が楽しんでいるからこそ、それが観ている側にも伝わるんでしょうね
「楽しむ」というと、ちょっと自分のなかでは語弊があるなぁと思う。 やっぱり「熱」? 「熱」なんだと思うんだよ。それはちっちゃいことでいいんだよ。たとえば「行きたい」と思っている場所があったとする。そこに行きたいがために、いろいろなところで熱弁するわけ。ユーコン川をカヌーで進むなんていう企画があったけど、カヌーといえばあそこは聖地だからさ。行きたかったのよ。だからそのことを演者に熱を込めて説明するわけ。そうしたら大泉とミスター(鈴井貴之)は、「藤やんがそこまでいうんなら……まぁいいか」みたいな感じになるんだよ。つまり、きちっと熱をもっているやつがいるかどうか、だと思う。 ──その「熱」の伝導ということになると、タレントふたり、ディレクターふたりの“どうでしょう班”は一体感がありますね |
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「水曜どうでしょう」が好きな人には必ず「新作、いつやるんですか?」なんて聞かれるけれども、どうでしょう班はにとっては「水曜どうでしょう」というのが半分あって、で自分のやりたい事が半分あって。たぶんそのバランスが揺れながら現在仕事をしていると思うんだよね。ここ2年は自分の事にバランスがちょっと寄っていたけれど、でも半分は必ずあるから。そっちに振れた瞬間には、また旅に行くだろうし。
一生やるというのは……、いや一生やるかどうかは分からんよ、実際(笑)。でもそれぐらいのスパンで考えていこうよって事になると、2年やっていないくても別に問題じゃない。これが「毎年続けます!」なんて言っちゃうと、やってないでしょってなっちゃうけど、以外と何も考えていないし、心配もしていないんだよね。 でも、「どうでしょう」にバランスの振り子が振れそうな気配は、口に出さなくても4人のなかではあるから。「一生やる」というのは嘘八百でも(笑)、自分たちのなかでは気持ちをそこに合わせたから、なんも心配してないし、このままやりつづけていくよね。スパンを長くみると、楽だよ、モノをつくるのって。 |
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終止リラックスムードで行われた氏の「3時間SHOW」。
次々と注ぎ込まれるビールによるトイレタイムが数回ありました…… |
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藤村忠寿
ふじむらただひさ。1965 年名古屋生まれ。 90 年北海道大学卒業、 HTB 北海道テレビ入社。 96 年にチーフ・ディレクターとして「水曜どうでしょう」を立ち上げる。番組では、出演者の大泉洋との丁々発止のやりとりから、編集、ナレーションまで自ら手がける。 2002 年にレギュラー放送を終えたが、翌年から発売された DVD は現在までに 10 タイトル、計 200 万枚を売り上げた。同番組のほか、 03 年には劇団チームナックスと「水曜天幕團」を立ち上げて芝居の演出、そして今年、立川志の輔の落語「歓喜の歌」をドラマ化し、演出を手がけた。 水曜どうでしょう 北海道テレビ放送(HTB)が制作していたバラエティ深夜番組。1996年10月9日に放送が開始され、口コミやインターネット、DVD発売などでファンが全国に拡大。出演者 鈴井貴之と大泉洋、ロケ同行ディレクター 藤村忠寿と嬉野雅道。基本的にこの4人でかなり無謀な旅をし、その模様を放送する。ちなみにこの4人をくるめて、ちまたでは「どうでしょう班」と呼ぶ。2002年9月にレギュラー放送を終了。現在は再放送である「どうでしょうリターンズ」、「水曜どうでしょうClassic」、そして不定期で制作・放送されている新作も北海道をはじめ、全国各地で順次放送をしている。また、番組を再構成・再編集したDVD「水曜どうでしょうDVD全集」も現在順次発売中。 |
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