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サッカースタジアムの実況席から(3)
秋にはじまって夏前に終わるヨーロッパリーグ。春にはじまって晩秋までつづくJリーグ。そのリーグ戦の合間をぬって行われるカップ戦や代表戦。2008年も目が離せない試合が目白押しだ。 イギリスのプレミアリーグとJリーグの中継を主戦場としているアナウンサー倉敷保雄さんに、2008年のサッカーの楽しみ方をきいいた。 インタビュー=梶井 誠(本誌)
アナウンサーは何を伝えるべきか?
──12月に開催されたクラブW杯はACミランの優勝で幕を閉じました 今回のクラブW杯を観て感じたことは、ACミランもボカ・ジュニアーズも日本の気候に慣れるまでにずいぶん時間がかかるんだなということでした。あと、日本のピッチの硬さにも戸惑っている印象を受けましたね。 ──今回のトーナメント戦で気づかれたことはほかには? 開幕戦のセパハンとワイタケレの試合は、笑ってしまうようなひどいゴールばかりが決まりました。たしかに技術のなさや気候のハンディはありますが、でもほんとうに実況で伝えなければならないのは、こんかい使用したボールのことです。 新しいチームガイスト2というボールを使いましたが、これはまだ誰も使ったことのないボールなんですね。はじめて蹴る、軌道がぶれるなどの影響があることを実況のなかで話してあげないと、選手がヘタだと思われるのはかわいそうだし、観てる人に、なんだこんなにレベルが低いのかと思われてしまう。プロがミスをするのは絶対に理由があるんです。 ──浦和レッズはいかがでしたか? 浦和レッズはアジアのチャンピオンになって、それはとても誇らしいことです。十分リスペクトを捧げるものですが、消耗が激しすぎましたね。それと、ACミランの“ピーキング”のもっていきかたの素晴らしさは、やっぱり「クラブ・ワールドカップを獲りたくてしょうがない」というのが伝わってきました。 ──大会じたいは盛り上がりましたね アジアのチームのなかではモチベーションのたかい大会ですよね。さきを行く先輩(ヨーロッパ、南米)の背中を追いかけていく、ほかの大陸のチームにはとても意味のある大会です。
今年は本気の試合がたくさん観られます
──今年の日本代表はキリンチャレンジからもうすぐ始動ですね 代表は2010年の南アフリカ大会出場へ向けてとても大事な一年です。予選に失敗したら、ニッポンのサッカーはヘタをしたら地に堕ちるぐらいまで危ない。危機感をもってやってほしいですね。 ──オシム監督のこともありましたし オシムさんにはぼくもみなさんも還ってきてほしいと思っていますが、もし、オシム監督から岡田武史監督へのスイッチが将来的に予定されていたとしたなら、アクシデントではなくて、時期が来たらスイッチするという時系列で考えたならば、オシム監督にもう少しタガを締めてもらって岡田さんにスイッチできればよかった。 ──タガを締めるとは? 「ボールも人も走る」というサッカーで、選手をギリギリまで追い込んでほしかったということですね。あと、交代劇にプレッシャーをかけてほしかった。 ──というのは? もちろん岡田さんを応援しますが、世界にはあいている代表監督がたくさんいます。たとえば、ジョゼ・モウリーニョ、マルチェロ・リッピ、ファビオ・カペッロ(インタビュー後にイングランド代表監督に就任)などどうでしょう。 ──カペッロの日本代表(笑)見たいですね そうです。ダメもとでオファーしてほしかった。それが「強くなりたい」という意思表示だし、岡田さんにとっても、そういう監督より頼られているというモチベーションになります。岡田さんに移る過程でプレッシャーをかけてほしかったですね。 ──アジア予選も3次予選です ワールドカップ予選は相当むずかしいです。アジアはどんどんサッカーが似てきています。日本と韓国は相当研究されているし。中東のオイルマネーがサッカーに向けられたら本当に脅威になりますね。日本はこれからつらいでしょう。 ──でも勝たなければなりません もちろんです。日本と韓国のアドバンテージは、ほかのアジア諸国に比べて、これまで厳しい試合をしてきていること。アジアのなかでも経験がものをいいます。去年はエジプト戦にきっちり勝ったし、欧州遠征のスイス戦は去年のベストマッチでした。今年は、ホームは満員にして、観る側はあたたかさと厳しさをもって、選手も私たちも真摯な一年を送らなければなりませんね。 Jリーグのキーワードがかえってくる年
──Jリーグはいかがですか? 93年に開幕したJリーグに、今年は重要なキーワードがかえってきます。まずはJ2から東京ヴェルディが上がってきます。ヴェルディがもう一度あの情熱を取り戻すことができたら、93年のようなムーブメントが起きるかもしれません。 あとは、ポスト浦和レッズとして去年リーグを征した鹿島アントラーズの復活。監督では、名古屋グランパスのストイコビッチ監督。どういう補強をしてくるでしょう。いろんなキーワードが戻ってきて、原点回帰して観られるJリーグは楽しいですね。 ──中継も楽しみにしています 坂本龍一さんは、世界のなかで「SAKAMOTO」という名前で通じます。サッカーもインターナショナルな言語なんですよ。「SAKAMOTO」というだけで海外の音楽ファンと話ができるように、Jリーグというだけで海外のサッカーファンと話ができる。ぼくたちはそういうリーグのある国に生きています。 ──ありがとうございました!
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