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本撮影=Jamandfix

2008.01.11

サッカースタジアムの実況席から(1)

アナウンサー倉敷保雄さんインタビュー

サッカーは楽しい。小さな子供たちがボールを無心で追いかけるのを見ているのも楽しい。プロのサイドバックの選手が逆サイド前方のFWへ美しい軌道のボールを送るのを追うのも楽しい。もちろんゴールシーンは楽しい。
サッカー好きとしては放っておけない本が出版された。『実況席のサッカー論』。著者は、NHKアナウンサーの山本 浩さんとフリーアナウンサーの倉敷保雄さん。山本さんの実況はもちろん、倉敷さんの“にやっ”とさせられる実況に魅了されているサッカー馬鹿は多いはず。馬鹿を代表して倉敷さんにお話をうかがいました。

インタビュー=梶井 誠(本誌)

話したことがそのまま文章になる山本さんのすごさ

──お会いできてうれしいです。今回のこの『実況席のサッカー論』が出版されたいきさつからお聞かせください

ぼくが担当している番組に『Foot!』(J SPORTS)という情報番組があるんですが、その番組のために毎週イラストを描いてくれた五島 聡さん、今回の『実況席のサッカー論』の表紙のイラストも彼なんですが、その五島さんが忘年会を開かれたんです。

──『Foot!』も長くつづいていますね

それで、その忘年会に山本 浩さんがいらっしゃっていて、五島さんの友人にこの本の出版社(出版芸術社)の方がいて、「おふたりの対談で一冊本にしませんか?」と言われたんですね。

──山本さんとの面識は?

ぼくはNHKの土日のスポーツ番組のナレーションを十数年担当していた関係で、山本さんとは知り合いでしたが、山本さんの話をゆっくり聞ける願ってもないチャンスだと思って、山本さんの快諾を受けて、お願いしました。NHKで4回ぐらいお会いして、その対談の2/3ほどが収められていますね。

──山本さんのお話はとても含蓄に富んでいて素晴らしいですね

本当に。山本さんの話は理路整然としていて、お話になったことがほぼそのまま書かれています。

──話し言葉がそのままですか?

はい。ぼくが専門学校で習った“実況のいろは”は、「喋った言葉はそのまま文章としてつながっていなければおかしい」というのが基本だと教わりましたが、山本さんのように長いセンテンスをユーモアを混ぜながら、さらに比喩も抜群で、しかも経験に裏打ちされている事実からの考察ですから、ほんとうに素晴らしいです。

──サッカー実況の大先輩ですよね

山本さんはぼくにとって憧れの人で、その生き方と取り組み方には迫力がある。戦う人ですね。

実況のアンテナショップとは?

──こうして一冊にまとまって感想はいかがですか?

ぼくは山本さんのお話をうかがえただけで大満足で、この対談をして得をしたと思っています。山本さんとのお話をとおして、自分が仕事で悩んでいた部分の方向性が見えた気がします。

──倉敷さんが悩んでいるんですか?

ちょうどいま、これから何年か先に向けて、アンテナショップのような中継を意識的にしているんですね。アンテナショップというのは「こういうスタイルの中継はどういうふうに受け止められるだろう」という実験です。

──どんな中継なんですか?

たとえば、解説者によってやり方を変えてしまったり、自分だけで徹底的に語ったり、疑問を投げかけたり、マイナスの部分をまったく言わない中継とかですね。

──なるほど

ぼくはいままで海外サッカーを主戦場にしてきました。そして2007年からはJリーグも多く中継を担当しています。じつは、海外サッカーファンとJリーグファンでは明らかにいろんな部分でちがいがあるんですね。それを埋めるにはどうしたらいいか? という自分なりの模索です。

──そのアンテナショップは何種類ぐらいあるんですか?

だいたい3種類ぐらいですかね。アンテナショップはあくまで商品のプレゼンテーションの場です。それ以上のものがほしいなら“専門店”へどうぞ。という考え方なんですが、ぼくは専門店でもありたいと思っています。

──『Foot!』ではむかし、リーガ・エスパニョーラをずいぶん楽しませてもらいました

ありがとうございます。残念なことに、ぼくが力を入れて応援してきたリーグはどうも中継を失う傾向にあって(笑)、もともとぼくはブラジルとオランダから入ったんですが、その後、スペイン、ドイツとなくしましたね(笑)。

──リーガの倉敷さん実況、金子達仁さん解説は絶妙でした

かつては天の川から星が降り注いでくるように衛星を通して地上にたくさんの映像が送られてきました。それがリーガをはじめとしてコンテンツ料が高騰して、各国リーグの中継がどんどん少なくなってきました。

──倉敷さんはスペインお好きですよね

あの国には「いろんなことは娯楽なんだから、笑ってすまそう」という明るさがあります。「このプレイはすごいけど、ここでこうやろうとして失敗したことを笑っちゃおうよ」というところまでが楽しかったんですね。

──いまは、イギリスのプレミアリーグとJリーグが多いですね

プレミアリーグは新参者ですが、プレミアの実況は「サッカーを観る人の目は肥えているんだから、選手のゴシップや情報を入れて楽しみましょう」という副音声的な中継のスタイルが多いような気がしたんですね。でもそうすると、トラップのすごさやパスのレンジの正確さなどが見えなくなってきてしまう。ですからアンテナショップとしては、プレイの迫力をシンプルに教える仕事をしようというアプローチですね。

次回は「2002年ワールドカップ、ベルギー戦を語る」です。お楽しみに!(1月18日公開予定)


倉敷保雄さんのサイン本への応募は 2008年1月31日(木)で締め切りました。倉敷保雄さんのサイン本プレゼント当選は、発送をもってかえさせていただきます。多くのご応募ありがとうございました。(オウプナーズ編集部)
 
 
 


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