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![]() 銀座・アップルストア内ホールでのライブより
![]() 坂本美雨 待望の新アルバム『朧の彼方、灯りの気配』独占インタビュー(3)
今回のアルバムに収録されている「Swan Dive」のプロモーション・ビデオ(PV)は、美雨さん自身がディレクターをされているそうだ。ザラッとした粒子の粗いフィルムに、男女のダンサーが2名登場する。MTVなどでぜひチェックしてほしい。 文=梶井 誠(本誌)
Photo by Jamandfix
歌っていてよかった。そしてこれからも歌っていいのかな……
──インストアライブで初披露されたビデオのダンスが印象的でした 「Swan Dive」の歌詞には、引きこもっている子どもが白鳥によばれて外に出るという物語があって、外で見えるのは光だけではなく、暗闇ももちろんあって、でも体はそういうものに耐えられるようにできていると思ったんですね。それで、光と闇の両方を見たときに、そこには白鳥もいなくなって、歌もやんで、僕もいなくなるという内容です。そこには希望があるのか、ないのか。PVも直接的ではないですが、その物語にからんだ内容になっています。 ──このPVはご自身で監督されたものですね はい、そうです。友人がプロデュースと振り付けをしているダンスユニット「砂と女」に踊っていただきました。 私はむかしから、歌と踊りは密接な関係にあると思っていて……、私の踊りのルーツは暗黒舞踏なんです。
──暗黒舞踏! 生まれてはじめて見た舞台が山海塾のメンバーの舞台で、たぶん3歳ぐらいのときに母に連れられて観ました。母のライブで踊っていた人がメンバーだったんです。 ──3歳で山海塾ですか うっとりしたんですよね。いまでもダンスは観るのもやるのもすごく好きだし。踊りは上がっていくものですか らね、上に昇っていく行為なんだと感じます。歌もそこにちかづこうとしているので、行こうとしている場所はきっとおなじなんじゃなかと。ある種、祈りのような上がっていく感覚。研ぎすまされた直感と、積み上げていく緻密さの両方がないと踊れませんから。このアルバムもそうですが、自分がつくりたいと思っている世界観とダンスは切っても切り離せないものになっています。 ──では、ラストの「あかりの気配」を 最初は恥ずかしかったぐらい、生々しくて、ボーカルの質感も自分のなかではあり得ないぐらい生っぽんです。 ──でも、最初のフレーズから引き込まれますね、この曲は 歌が“近い”んですよね。恥ずかしかったけれど、この曲ができて、「歌っていてよかった」と思えたし、そしてこれからも歌っていていいのかなと。自信はないけれど、まだしがみついていける、そういう曲です。 ![]() 10年め、まだ、なんにも達成していませんね
──アルバム全体を通していかがですか? パーソナルなアルバムがつくれて、のたうち回ったからこそ、よろこびが大きいです。肝が据わりましたね。 それから、創りたい人と一緒に創れる環境に自分がいられるのはほんとうに恵まれているとあらためて感じます。私の活動のいろんなことに、いまでも親の影を感じている方ももちろんいると思うんですが、ほんとうに今回のアルバムやライブなど一緒にやっている人たちは、私とその人の個人的な関係の化学反応でしかないので、歌い続けてよかったなと思いますね。 この10年間、自分自身の出会いがあったし、自分の産み落としたものになったという手応え、実感があります。でも、なんにも達成していないとも思いますけどね。 ──親のチカラと言われましたが、坂本さんの活動を見られてどう思いますか? 父は近くて遠い存在ですね。楽しくやってほしいですね、教授には(笑)。いろんなことをいろんな人とやっているけど、たまに淡々として見えたりもします。何かをやり続けることが当たり前で使命のようになっていて、もちろんそういう責任のある環境にいる人だけど、やはり、ほんとうにやりたいことを楽しくやってほしい。でも、つねに攻めの姿勢でやっている姿はとても尊敬しています。
歌うことは、つなぎとめられているという感じ
──1月にcommmonsから発売される「細野晴臣トリビュートアルバム」第2弾で歌ってらっしゃいますね 蓮実重臣さんと「銀色のハーモニカ」を演っています。曲は蓮実さんが選んだんですが、いままで知らなかった曲でした。曲調やコード進行など、すっごく不思議な曲ですよね。でも何か気になってしまう、という。ボーカルは益子さんのスタジオで録りました。 ──細野晴臣さんについては? 細野さんも近くて遠い存在で、アルバムはとても好きです。音楽活動をながーく続けていること自体に励まされるし、神秘的な、見えないものとつながろうとしているところに勝手にシンパシーを感じてしまいます。 ──では、最後に、美雨さんにとって歌うこととは? それは、つなぎとめられているという感じ。私の身体のパーツをつないでいてくれる血管であり、私が地下にいるときも、浮いているときも、地に戻してくれて、ピタッと肉体のなかに収めてくれる。 歌っているときは、歌にふさわしい状態になれるから、歌っているときのことはあまり覚えていないんです。 ──気持ちいいんですね たぶん。セラピーのように。
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