意外に知られていないのだが、ロンドンの主な博物館・美術館の多くは入場無料だ。すべての人間の文化的体験・知的好奇心を満足させるための施設にかんしては無料という姿勢で、その貢献度は計り知れない。
文=寺田直子
協力=VisitBritain
世界中のお宝をタダで鑑賞!
ロンドンで必見の観光スポットといえば、収蔵品800万点を誇る大英博物館だろう。誕生は1753年。医師であり収集家であったハンス・スローン卿のコレクションを基盤に世界初のパブリックな博物館として登場。当時から入場は無料で、18世紀の年間見学者は5000人。現在はおよそ年間600万人が来館する世界最大規模の博物館だ。
1階にあたるグランドフロアのレベル0からレベル2まで。館内には年代&地域別に分けられたゾーニングに世界中のナショナルトレジャーが収蔵・展示されている。有名なところではロゼッタストーン、古代エジプトのミイラ、オベリスクなどがある。中国、インド、韓国など古代アジアの仏像群、陶磁器類などのコレクションも圧巻。日本文化にも造詣が深く、春画、浮世絵からマンガまでも収集している。一時ツイッターで話題になったブッダとイエスが主人公の中村光氏のマンガ『聖☆おにいさん』を展示するなど、その「オタク」ぶりとあらゆる対象に興味をもつ視野の広さには感動する。
また、大英博物館がすばらしいのは、多くの収蔵品はガラスケースにも入らず、囲いもなく無防備なほど目の前に鎮座すること。触れるほどの距離で対峙するコレクションは、壮大な時空間を経て饒舌にさまざまなことを語りかけるようだ。黄金の輝き、緻密な刻印、優美な芸術性と、歴史は細部に宿ることを実感する。一部の展示品をのぞき写真撮影も許可されているほか、手に取って見られるコレクションもあるほど。オフィシャルサイトでは1時間コース、3時間コース、子どもとまわるコースなど限られた時間しかない観光客のためのピンポイントのアドバイスが掲載されているほか、時間を無駄にしないため見学したいコレクションのオンライン検索もできる。日本もふくめた各地域の解説をおこなう無料のツアーも催行し、あらゆる角度からこの偉大なる人類遺産を学習する機会が与えられている。