左から、音楽監督の菊地成孔さん、プロデューサーの湯山玲子さん、野宮真貴さん
2009.09.10
野宮真貴リサイタルvol.3『Beautiful People』開催記念
野宮真貴×菊地成孔×湯山玲子
ビューティフル・ピープルたちの鼎談(前編)「80年代とわたしたち」
野宮真貴さんの『リサイタル』が今年も開催決定。
音楽あり、ファッションあり、見どころ満載の『リサイタル』もついに3回目を迎えます。
今回は、野宮真貴さんと音楽監督の菊地成孔さん、そしてプロデューサーの湯山玲子さんの3人に、今年のリサイタルのテーマやファッション、音楽などについて、お話いただきました。
軽くお酒を飲みながらの“オトナ呑み”となった今回の鼎談、いったいどんな話が3人から飛び出すのか。
まず、彼らが過ごした1980年代の時代背景からはじまりました。
まとめ=金子英史
Photo by Jamandfix
撮影協力=NIGHTFLY(Tel. 03-3481-6009)
それぞれの、80年代のナイトクラビング
菊地 (湯山玲子さんが頼んだジントニックをみて)“ジントニック”ってオシャレな飲みものですよね。
野宮 昔はじめて飲んだとき、オシャレだと思いましたね。神保町にある『Bon』というカフェバーで。
私は“ウォッカトニック”派だったけれど、はじめてウォッカをボトルキープしましたよ。
湯山 80年代に『カラシウォッカ』って流行らなかった?
野宮 流行らなかったですよ(笑)。
湯山 80年代にサーファーやバブル紳士のあいだで流行ったんです。悪い男たちが、ハクをつけるために飲んだ(笑)。
野宮 私サーファーじゃないですから(笑)。『カルデサック』にもよく行ったな。
菊地 『カルデサック』はヤバいですよ! みんなあそこで飲んでますから(笑)。
野宮 いろんなひとたちが来ていて、当時は私、まだいちばん年下だったからドキドキしてましたよ。
湯山 YMOのメンバーとか、雑誌『びっくりハウス』系のひとたちとか。戸川純もいました?
野宮 純ちゃんには『カルデサック』で会ったことないですね。
菊地 戸川さんは『ナイロン100%』ですよね。野宮さんは行かれていました?
野宮 行ってましたよ。
菊地 ボクらは、ナイトクラビングの日本のオールドスクーラーですよ。
『レッドシューズ』とか、『ピテカントロプス・エレクトス(以下ピテカン)』。
『ピテカン』で、かの香織さんを見たりしてましたよ。
野宮 ショコラータね。可愛かったですよね。
菊地 あと“THE SPOIL”という、“ラウンジ・リザーズ”の日本版のようなバンドがあったんですけれど。
湯山 知ってる! 菊地さん、純粋ジャズ畑から、そういうクラブジャズのエヴァンジェリスタを知って、すごく影響をウケてないですか?
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菊地 もちろんですよ! 当時は、フェイク ジャズ ムーブメントだったんですよね。ヒップホップが流行るちょっと前。
『レッドシューズ』で、THE SPOILに坂本龍一さんが入ってやったライブがあって、ひとがいっぱいでしたよ。
僕は、場所がなくてバンドの目の前のカウンターに座っていたんですけれど、あれがナイトクラビングデビューでしたね。(ヤン)富田さんが(クラブに)体操服で来ていて、腰を抜かしていた時代です(笑)。
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今回のリサイタルのテーマ発表!
湯山 いやいや、ホントに文科系の梁山泊時代でしたね。って、リサイタルの話もしないとね(笑)。
菊地 そんな世代の(笑)。
湯山 そんな80年代のひとたちが集まって……という感じですけれど。今回のテーマは、いわば20世紀のいいオンナ・カタログなんです。時代時代のファッションや生き方のアイコンたちを野宮真貴が演じていくんです。“オードリー・ヘップバーン”とか。あのひとも清純のように思われていますが、私生活はメル・ファーラーはじめ、離婚と結婚をくり返していて、じつはわりと肉食系という事実があるんです。
野宮さんも、ヘップバーンは、ピチカート(・ファイブ)のときに演じてましたね。
あと、スレンダーな野宮さんが今回、難しいのは“ブリジッド・バルドー”かな? ロケットバストのグラマーですから。
野宮 そうですね。私に小悪魔的要素ってまるでないですからね。
湯山 ちなみに菊地さんは、バルドーとヘップバーンではどっち派ですか?
菊地 僕はね、“グレダ・ガルボ”が好きなんです。あとは“マレーネ・ディートリッヒ”とか、そういう厳しいかんじが好きです。
彼女は、コスチュームデザインも専属の担当がいたんです。ああいう伝説みたいな部分がすごくいいです。
湯山 ヘップバーンは隣の女のコ感があったけど、ガルボとディートリッヒは私生活をまったく明かさないひとでしたから。
菊地 湯山さんは何派なんですか?
湯山 バルドーでしょう。やっぱり映画『軽蔑』。「私の乳首と乳房、どっちが好き?」って、ベッドで寝ながら聞くんですよ。
テクどころの騒ぎじゃない(笑)。
菊地 『軽蔑』はヤバいですね!
湯山 昼のテレビ映画であんな作品、よく放送してましたよね。あと『水のなかのナイフ』とか(ロマン・)ポランスキーとか。
菊地 ベベ(ブリジッド・バルドーの愛称)の映画は、映画番組のオンエアを選定する担当が好きだったんですよね。『裸でごめんなさい』とか普通にやっていましたよ。
湯山 レオタード着て、男たちの前で激踊りする……。
菊地 そう『ラムの大通り』! でも、たいていの映画でレオタードになりますけれど(笑)。
湯山 激踊りしているベベを見る男たちにマンガの吹き出しをつけるなら、「しっ、辛抱たまらんっ!」でしよ!子ども心にヤバいと思いましたね。ヘップバーンはそんなことないんですけれど。今回は、そういう対象を集めた感じです。
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菊地 今回選ばれたアイコンのなかで、野宮さん的にNGだったひともいるワケですか?
野宮 NGというのはないですね。でも、イメージがつかみにくかったのが“グレース・ケリー”(笑)。
なにを着ていいかもわからないし、どんな曲を歌っていいのかもわからない。
菊地 『泥棒成金』とかの映画は観ました?
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私たちをシビれさせる“2・5・8”!
野宮 観ましたよ。クールビューティといっても、ピッタリなイメージがつかめなくて。
湯山 たとえばグレース・ケリーも一見清楚ですが、じつは腹黒いという説もある。モナコのレーニエ大公との結婚は、「アンタ狙ったでしょ?」ってかんじ。
菊地 グレースは、リアル オンナみたいな部分があるじゃないですか。
野宮 今回は、各アイコンたちについての曲は2曲づつくらいなんだけれど、それぞれを演じ分けないといけないから、じつはすごく大変なことなんですよね(笑)。いままではそういうテーマはなかったから。
湯山 ヘップバーン、バルドー、グレース・ケリー、そして80年代の架空の人物として映画『ブレードランナー』の“レイチェル(ショーン・ヤング)”ですね。
野宮 レイチェルについては、映画のなかで着ている服など、いますごく注目されてますね。
湯山 『ブレードランナー』のフューチャーレトロなデザインは、1920年代のパロディなんですね。
菊地 やっぱり、2・5・8ですよ。
湯山 そう! 20年代、50年代、80年代。この年代の文化には、私たちをシビれさせるセンスが満載なんです。人類はふたつに分かれますよね。この2・5・8か、もしくは7・9、つまり79年代、80年代のピースやヒッピー文化好きか。
菊地 レイチェルは80'sということですよね。“ヘルムート・ニュートン”とかの作品をふくめて、レイチェルだったんですか?
湯山 そうですね。おかっぱ頭の目ヂカラの強い女。つまりサイバーパンクですよ。
菊地 80年代のアイコンンには、ヘップバーンみたいな生身の女優はいなかったんですか?
湯山 “ファラ・フォーセット”とかですけど。
野宮 70年代じゃないですか?
菊地 映画『サンバーン』が80年代ですよね。だけど、『チャーリズ・エンジェル』は70年代のカルチャーだから。
野宮 『チャーリーズ・エンジェル』はテレビでかかさず観てました。当時『ザ・ランナウェイズ』も好きだったから、バギーのデニムを履いて、ロサンゼルス系のファッションをしていました。
菊地 なるほど。90's以降のアイコンはつくらなかったんですか?
湯山 つくらなかったですね。
野宮 90'sのアイコンは、自分だから(笑)。
菊地 確かに(笑)。70年代は誰なんです?
湯山 パメラ・デ・バレス!
野宮 伝説のグルーピー。ちょっとロックな部分も入れたかったので。
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湯山 グルーピーをどうしても、入れたかったんですよ。
菊地 確かに、それまではグルーピーというものはなかったですからね。実在としては20年代くらいからいたんでしょうけど。
湯山 グルーピーって、ただのセックス要員じゃなくて、曲のイメージや創作、バンド運営に深くかかわっていた実力派ミューズもいるんですよ。
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20年代の“ゼルダ・フィッツジェラルド”から、90年代の“わたし”まで
菊地 イーディ(・セジウィック)は入らないんですか?
湯山 イーディも出てきますよ。彼女は、元祖文科系の壊れたオンナですよね。
菊地 大抵のひとは壊れるか、とても奇妙な老後になりますよね。ハリウッド・バビロン的というか。
湯山 バルドーは動物愛護に走っちゃったいました。
菊地 バルドーは、妊娠した段階でおかしかったですから。妊娠したときに発言したことの言質をとられて、自分の子どもに名誉棄損で訴えられていますから。
野宮 え!? なんて言ったんですか?
菊地 お腹の子どもを「わたしの栄養をとる悪性腫瘍だ」って発言したのが新聞に載って、それを子どもが大きくなったときに、名誉棄損で訴えたんです。裁判は、すぐにゴダゴダになって終わったんですけれど。そのくらい母になるよろこびがあまりなかったんでしょうね、あのひとには『わが妻バルドー・ドヌーブ・Jフォンダ』という本があって……。
湯山 映画監督で世紀のモテ男、ロジェ・バディムの自伝ですな。
菊地 そう! あれを読むと、どれだけベベが魅力的だったかということがわかるんです。夫婦で乗った客船が故障で出航できなくて、乗客がデッキで暴動を起こしそうになったときに「喧嘩するのはイヤ」って、バルドーが歌って踊りだしたんですって。そうしたらみんなが拍手して、騒ぎがおさまって、そして船が出航したと(笑)。
湯山 もう、すべての紛争地帯に出向いて、裸で踊ってもらえば、戦争はすべて解決するんじゃないですか(笑)?
菊地 あの本で読むベベがいちばん素敵です。しかし、すべてのアイコンを演じるのはスゴいですな。
野宮 大変なことになっちゃったんですよ(笑)。
菊地 20年代からありましたよね。
湯山 ゼルダ・フィッツジェラルド!
菊地 すごいじゃないですか、その選択。モンローは入らなかったんですか? さすがにフォーマルすぎですかね。
野宮 モンローはなかったですね。
湯山 一番最初の案では、“モンパルナスのキキ”もいました。おかっぱのキキ。
菊地 シュルレアリスムのマン・レイの愛人だったひとですね。
湯山 これ、日本版でもやってみましょうよ。宇野千代とか、白洲正子とか、与謝野晶子とか(笑)。
菊地 でも、それを野宮さんが演じるわけですよね? 白洲正子って(笑)。ガルボ、ディートリッヒだったらよかったんですけれど。あのひとたち、いま見るとギスギスしているくらい細いですよね。
野宮 ファッション的なアイコンでいうと、ふたりは入ってもよかったかなと思うんですけれど。
菊地 ピチカートファイブも「オードリー・ヘップバーン コンプレックス」って言ってたけれど、ディートリッヒが出てくることはなかったですね。“ツィッギー”は出てくるけれど。
湯山 とすると、音楽がクルト・ワイル系になって、ポップというわけにはいかなくなるからかな。今回は、20年代のジャズエイジも入ってます。映画『華麗なるギャツビー』のかんじ。80年代に20年代ブームがあったんです。そういえば映画がすごくヒットしていたとき、みんなローウェストになった時期がありましたよね? 70年代後半かな。
野宮 私、そのころロック少女だったから、ファッションにウトかったかも。私のファッション誌は『ミュージックライフ』でしたし。
菊地 アイコンが決まり、林(巻子)さんがそれを演出し、音楽がくわわるという感じですね。

野宮真貴リサイタルvol.3『Beautiful People』
主演・衣装プラン│野宮真貴
演出・構成・美術│林巻子(ロマンチカ)
音楽監督│キクチモモコ(菊地成孔+momokomotion)
衣装│丸山敬太(ケイタマルヤマ トウキョウ パリス)
振付│横町慶子(ロマンチカ)
開催日時│2009年9月22日(火・祝)
マチネ 開場|13:30 開演|14:00(追加公演)
ソワレ 開場|18:30 開演|19:00
会場│恵比寿ザ・ガーデンホール
料金│チケット料金7350円(全席指定)
チケット|
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード331-206)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード74813)
イープラス
CNプレイガイド 0570-08-9999
主催|ホットスタッフ・プロモーション
企画制作|ロードアンドスカイオーガニゼイション/HOU71
特別協賛|恵比寿ガーデンプレイス株式会社
協賛|ALMACREATIONS
問い合わせ|ホットスタッフ・プロモーション
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