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2008.11.21

時空を超えるサウンド・ジュエラー/MoShang インタビュー

MoShangのサウンドはみずからをサウンド・ジュエラーと名のるとおり、キラキラした音をちりばめた宝石のようなアンビエント・ジャズだ。台湾でのライブのほか、毎週木曜の晩MoShangは台中の自宅から、インターネットをとおして世界中の視聴者に向けてバーチャル・ライブを行い、文字通り時空を超えてはば広いファンに支持されている。この夏にNPOクリエイティブ・コモンズのサミットが札幌で行われた。このサミットのために来日したMoShangは、和楽器をとりいれた6曲入りの新しいミニアルバム『Stone Bell』を11月10日に発表したばかり。

文=穂積 塔子(本誌)


──南アフリカのご出身で、台湾に住まれてから5年になりますね。
学生時代には演技とドイツ語を専攻しました。そして卒業後1年間ドイツに住んだあと、8年間は俳優として舞台に立っていました。ミュージカルも少しやりましたので、音楽への情熱と演技の仕事をつなぎ合わせることもできました。また、アフリカーンス(オランダ語のような南アフリカの言語)のアートロックバンドをやっていました。音楽好きの家庭で育ったので、こどものころからみなで歌ったり、このころにサクソフォンをはじめましたし、現在は主にコンピューターで作曲をしています。実をいうと、2カ月間舞台に立ち、次の2カ月は仕事を探すという生活に疲れてしまい、演劇はあまり合っている職業とは思えなくなってしまったんです。そんなとき、台湾で音楽にもっと時間を費やせる職があるという話があり、このチャンスに飛びつきました。

──これまでのアルバムでもアフリカのパーカッションや胡弓などの中国の伝統的な楽器を積極的にとりいれ、ジャズとの融合に成功してこられました。とくに「And She Swang」では絶妙にエクレクティックな雰囲気をつくりあげられましたね。

ジャジーなダウンテンポのエレクトロニカが大好きで、Thievery Corporation、dZihan & Kamien、Bonobo、KOOPなどに深く影響を受けました。どんな音楽でも大好きですが、とくにアジアの土地の音楽に興味があるんです。

──今回は日本の音、琴、三味線、尺八、和太鼓などを使われていますが

台湾のクリエイティブ・コモンズのオーガナイザーが、札幌のサミットでCC Asia Bandのアルバム『Cabaca』に参加したときの経験をはなしてくれないかと誘ってくれたんです。じつは以前に和楽器を使った曲を作りはじめたのですが、その音があまりしっくりこなくて未完成のままにしていました。札幌への旅行はこれを完成させるきっかけになりました。

札幌へのフライトでとくに目を惹いたのは、大きな青空と緑の大地でした。台湾にたどり着いたとき以上に、故郷の南アフリカを想い出しましたね。日本へははじめてで、たった5日間の旅行でした。それもほとんどクリエイティブ・コモンズのコンベンションセンターのなかにいましたので、ぜひもう一度日本を訪れてみたいです。幸運にもイサム・ノグチのモエレ沼公園を訪れることができましたがこれには感動しました。

──バーチャル・ライブ・ミュージックの世界に入ったきっかけは?
おなじく台中に住むアメリカ人でポッド・キャスターのマーク・フォーマンが、セカンドライフというバーチャルワールドでライブ・パフォーマンスをやらないかと誘ってくれたのがきっかけでした。レギュラーで2年間つづけています。快適な台中のわが家から、国際色ゆたかなオーディエンスに向けての演奏で毎回大きな反響を得ています。ある意味、現実世界でのパフォーマンスの方が好きなのですが、演奏を聴かずにおしゃべりに熱中されているのを目の当たりにしたりすると、少しがっかりしますね。逆にインターネットをとおしてのオンラインの観客から、ほんとうに耳を傾けて聞いてくれているという実感を得るときがあります。チャットで観客とやりとりするのが好きなんです。

レコーディングのときはサクソフォンで、ライブのときはサクソフォンとおなじ奏法で使えるYamaha WX-5 Midi Wind Controllerという楽器を使っています。数年前まではよく歌っていたのですが、ちかごろはあまり歌っていません。ライブでももっとヴォーカルを取り入れたいですね。そう思ってこのところヴォーカルをとりいれた即興を実験的にやっています。

──クリエイティブ・コモンズについて教えてください

残念ながら現在の法律では、音楽に限らず新しい作品は自動的に「All rights reserved」になってしまうんです。作品の不法コピーが世界的に問題なっています。クリエイティブ・コモンズ(CC)が出てくるまで、ネットで作品を共有することは法的に曖昧な状況で、アーティストにもダウンロードする人にとっても危険なことでした。そこでたとえばコピーしたり、リミックスしたりといった権利をあらかじめ作品につけることで、ほかのアーティストや視聴者と作品を共有できるようにするものです。CCはかんたんに作品を共有できる方法をつくりました。

多くの場合、アーティストの利益はもっと作品を自由にあつかえるようにするところにあると思います。ほかのアーティストや視聴者が自由に作品をコピーすることを認め、作品を心からすばらしいと思ってコピーしてしまうファンを犯罪者あつかいしたくない、そう願うアーティストにとってこのシステムは理にかなっていると思います。CCはこの自由な著作権のシステムを世界に広めようとしています。

もちろんアーティストは作品で稼ぐべきではないというわけではありません。しかし自由にシェアできるようにすることで、お金を払っても手にしたいと願うほんとうのファンに出会えるのではないかと思っています。

前作のリミックス集『Asian Variations』のときはフリー・ダウンロードにしましたが、今回の『Stone Bell』は有料にしました。しかしCCのライセンスをつけることによって購入者はこのミニアルバムを自由に配布したり、リミックスに使用したりできるわけです。

Stone Bell / Asian Variations / Chill Dynasty / Made in Taiwan


http://moshang.net

Made In Taiwan (P)2004 Onse Plate
Debut Album available at iTMS

Chill Dynasty (P)2006 Onse Plate
available at iTMS

Asian Variations (P)2007 Onse Plate
Remix free to download at http://asianvariations.com

Stone Bell (P)2008 Onse Plate
EP downloadable at http://stonebell.moshang.net

The Big Question - CrowdSourced Mix
Released by: Onse Plate Nov 17, 2008
http://soundcloud.com/moshang/the-big-question-crowdsourced-mix
2008年11月15日に台北で行われたザ・ビッグ・クエスチョン会議の会場で、ショーの直前に観客の声を録音して即興で作ったライブ・ミックス。
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