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Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 2009
4月17日、富山オーバード・ホール公演。 教授が奏でるピアニッシモの音が、5階席まで包み込んで、満員の2100人がひとつになっていく。 毎公演恒例の3時間リハーサル! 前に、今回の「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 2009」についてお話を伺った。 「ほんとうは、5席ほどのお茶会ぐらいがいいんですけどね」
──富山までツアーが始まって1ヵ月経ちました ツアーが始まる前は24回公演というのがとても重く、暗雲のようにたれ込めていて、お相撲さんだって15日間なのに(笑)。もともとツアーとか好きじゃないし。 しんどかったのはツアーのスタート前と、最初の2、3日でしたね。 東京3日間が終わって、最初の地方公演が京都で、それは僕が希望したんですが、京都から約1ヵ月の巡業に出たというのがよかったのかもしれません。 というのは、京都府立府民ホールALTIは、400席ほどというとてもインティメントな空間で、僕はもっと小さい方がいいんですけど、70席とか、5席ほどのお茶会ぐらいとか。 ──5席! チケットいくらでしょうね!? いくらになるんだろうね(笑)。それで、お客さんの方が近い感じで戸惑っているような印象がありましたが、僕は演奏しやすくて、とくに浅田彰さんや高谷史郎さん、祐真朋樹くんなど友達も多かったので、地方巡業のキックオフはよかったですね。 時期的にも桜がとてもきれいな時期で、高知や岡山ではきれいな桜が観られたし、高知ではあの“衝撃の鰹のたたき”大会を中土佐町の池田町長のおかげでやることができて、ツアークルー全員がすごく盛り上がりました。 ツアー日程を見ると、静岡の富士市とか、多治見とか富田林など、全部そのホールが手を挙げてくださっているんです。たくさんお客さんも入ってね、とてもよかった。
「用意している楽曲は60曲ほどあります」
──今回のツアーは、やはりiTunesでの24時間内配信が楽しくて、一緒にツアーを回っているようなとてもオープンな感じを受けます iTunesでの配信のいい影響がツアー全体にフィードバックされて、ファンのみなさんが演奏した曲の統計をとったり、こちらが想定していなかった面白い聴き方をされていますね。 ──教授のピアノの上には何枚ぐらい譜面があるんですか? 用意しているのは60曲ほど。演奏回数の多い少ないというバラツキはあって、それを意識していた段階もあるんですが、もうやめました(笑)。 ──「out of noise」からの曲以外では「bibo no aozora」の回数が多いですね 今回のツアー全体が自分では「out of noise的」な気分でやっていて、過去の曲のなかでも、きっと「bibo」やサントリーオールドのCM曲の「mizu no naka no bagatelle」などは気分にぴったりくるんでしょうね。 ──でも全国24回公演は大変ですね 98年の「メディア・バーン」ツアーが28回公演で、それ以外はだいたい東名阪の大都市が多かったんですが、今回は初めて演奏する場所でもよく聴いてくれるし、いままでのパターンは踏襲したくないなと。東名阪のお客さんだと、坂本龍一を聴くことに慣れているので、今回は裏切ってやろうかなって。 ──裏切るというのは? 聴衆の雰囲気があまりに慣れた感じで、自分が思っている坂本龍一をやってくれるだろうという気配を感じるときは反発しますよね、反対のことをやろうとね。 ──それは演奏する曲も含めて? そうだね。やはりYMOの曲とかを期待されていると感じたらね。
「どこかで「今日は100点だった!」という演奏をしたい」
──この富山までで手応えのよかったライブは?
多治見と松本、新潟も結構よかったですね。 スタッフ 坂本さんがどう感じていたかはわかりませんが、京都は硬質な感じでとてもよかったですよ。 ──久しぶりに地方を回ってみていかがでしたか? 今回はね、地方のメディアに積極的に出ているんですが、驚くのはそれぞれの施設が立派なこと。どこの放送局も新聞社も豪華な環境で、ちょっと不思議な感じ。 日本ってほんとうに豊かな国だなって思いますね。未来への借金で建てた立派なビルがたくさんあるしね。 ──さて、ツアーの残り少なくなってきました いま、一番感じていることは、人前でピアノを弾いていれば演奏家のような役割ですが、自分では演奏家だとは思ったことはないんですよ。 演奏を聴かせるというより音楽を聴かせるんだけど、でも演奏家でもあるわけで、そうすると演奏で100%のものを聴かせなきゃって思うんだけど、完璧な演奏はなかなかできないんですよ。できないうちに飽きちゃうんですよね(笑)。そのせめぎ合いがいつも強い。 一度も完璧な演奏ができずに終わってしまうのもつらいので、どこかで「今日は100点だった!」という演奏をしたいんですが、一流アスリートの浅田真央ちゃんでも石川遼クンでもミスはあるからね(笑)。 ──100点でたら教えてください クラシックでは、演奏だけしている演奏家は世界中にたくさんいるわけで、それが演奏家人生でしょ。彼らは完璧な演奏を求めるけどできないというせめぎ合いのなかでずっと生きていくわけで、よく飽きないなと思いますよ。しかも自分の曲ならまだしも、人の曲だからね。 ──東京公演も期待しています 全部公演が終わったら「自己ベスト」を選んでみようと思います。
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