「911 ターボ」より30ps高い最高出力をもつ530psエンジンに、フルタイム4WDを備えた「911 ターボ S」。ポルシェ最強のスポーツモデルは健在だ。
文=小川フミオ
写真=清水博孝
安定感をもつ“S”の鋭敏な走り
ただ全体に「911」のイディオムから逸脱していないため、刺激の強いスポーツカールックを見慣れたひとにとっては物足りなく感じることもあるかもしれない。
しかし走りだせば、ターボSの名は伊達ではないとすぐ知れる。リアに搭載された3.8リッター水平対向6気筒エンジンは、390kW(530ps)/6,250-6,750rpmの最高出力と、700Nm/2,100-4,250rpmの最大トルクを発生。7段デュアルクラッチシステムを介して、前後4つのタイヤに分配する。超高速域を安定して走れるシステムだ。
911 ターボ(S)の魅力は、大馬力をもっているとは思えないほど、操作性も乗り心地もおおいに洗練されているところにある。超ド級のスーパースポーツが、操縦性やエンジンのピークパワーなどに、いわばエッジを効かせて少々の運転しにくさをあえて残しておく場合が多いのに対して、911 ターボ(S)は初心者でも操作できるほどの扱いやすさを身上とする。
911 ターボSに標準装備されるポルシェトルク・ベクトリングは、コーナリング時の挙動変化を安定させ、より速く、より安全にコーナーから脱出することを電子制御の力で手助けするシステムだ。左右の後輪へ振り分けられるトルクを変化させる一方、クルマの挙動から片輪へのブレーキングをおこなうなど、細かな制御がかけられている。