フェラーリ現行のV8ファミリーである「カリフォルニア」と「458 イタリア」。OPENERSでは、この2台のテストドライブを敢行した。おなじみの自動車ジャーナリスト 渡辺敏史氏が、イタリアが誇るクルマ界の至宝の魅力を探る。
Text by WATANABE Toshifumi
Photo by ARAKAWA Masayuki
“環境”にたいするフェラーリの施策
自動車メーカーが抱えるふたつの環境問題がある。ひとつは温暖化を筆頭とした地球環境への負荷低減、もうひとつは新興国も絡んで多様化する市場環境への適応。片やモラル、片やビジネスと相反するような課題ではあるが、いくらフェラーリとてそれは避けてとおれない。いや、大きな社会的責任を背負うオーナーたちに支えられるフェラーリだからこそ、他社に先んじて一手を講じるべきだともいえる。
まず後者にたいして彼らは、はやい段階から手を打ってきた。販売的主力であり、もっとも多くのカスタマーとの接点となっているV8モデルの多面的な展開だ。その一環としてモデナの本社敷地内に、最新鋭の設備を備えた工場を新設。しかしその目的は生産スピードではなく、作業精度や密度の向上に主眼が置かれていることは、30分ごとというおそろしくのんびりしたタクトタイムをみても一目瞭然だった。
すべてのラインナップにおいてもっとも多くの販売台数を期待しつつ、多大な投資のもとに開発。使い勝手も快適性も充分で、ボタンひとつで屋根まで開くフェラーリとあらば、いままでに囲えなかったユーザー層が開拓できるはず
──と目論んで、なんの不思議もない。