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2009.05.20

NISSAN GT-R Spec V|日産 GT-R スペックV 第2回

 

サーキットスペシャル、ではない!?

2月13日に日産GT-R Spec Vが編集部にやってきて以来、3カ月が過ぎました。その間、オドメーターの距離も2000kmを優に超え、慣らしも無事終了。そこで第二回では、慣らしについてと、筆者がR35 GT-Rの最初期に乗っていた経験から、両車のちがいについてふれたいと思います。

Photo by Jamandfix
Text by OPENERS
Special Thanks to PF LINK SYSTEMS


1号車
日産GT-R Spec V
NISSAN GT-R Spec V
第2回

導入時期 2月13日
購入価格 1575万円
走行距離 2057km
今回の燃費 5.12km/ℓ
総平均燃費 5.02km/ℓ
 

慣らし運転について

新車を手に入れて、まず誰もが取りかかる作業が、“慣らし”だろう。ところで、GT-Rの心臓に収まるVR38DETTといえば、クリーンルームにて匠の手により1機1機丁寧に手で組み上げられるという、ほとんどレーシングエンジンのごとき手間をかけて生産されているのはご存知の通り。つまり、ロボットによって量産される大多数のエンジンに比して、工作精度が圧倒的に高い。

しかし、同パワーユニットは3.8リッターから485psという圧倒的なパワーを絞り出すエンジンである。とくにSpec Vについては、ターボチャージャーの過給圧を一時的に高めることで、3500rpm〜5000rpmの中回転域でより大きなトルクを発生させる「ハイギアードブースト」なる飛び道具も備わっている。それゆえ、慣らし運転には充分に気をつかうべきだろう。

一般に慣らし運転といっても諸説さまざま。10人のドライバーがいたら、10通りの慣らし方があるといっても過言ではない。

で、実際にどのような方法をとったかといえば、GT-R Spec Vについて世界でもっとも精通したひと、つまり開発総責任者たる日産自動車の水野和敏氏のお言葉に従うことにした。具体的には、オドメーターの距離が2000kmを刻むまで、エンジン回転の上限を3000rpmに定めたのだ。

さすがに3000rpm以下の回転域では、GT-R Spec Vといえども485psを誇るパワーユニットであることを忘れてしまうほど、平穏な加速に終始する。とはいっても、3200rpmで60kgmという途方もないトルクを得るユニットだけあり、法的には100km/hまでしか許容されていない我が国の交通環境下では、動力性能において歯がゆさを感じることは、正直いって皆無である。これまで何台もの新車の慣らしを経験してきたが、これほどまでにストレスのないケースははじめてである。

いうまでもなく、慣らし中は急のつく操作は避けた。また、許容回転数内で積極的にギアシフトを繰り返すことで、アタリをつけるよう心がけた。ギアについて印象的なのは、初期型で気になったリアのトランスアクスル周辺から発生するガチャガチャというアクチュエーターのノイズが、まったく消されていたことである。これは、Spec Vのみならず以前試乗した09年型の基準車でも同様だった。

さらに顕著なのが、ボディ剛性が格段に高められたことである。Spec Vというモデルの特殊性ゆえ、足まわりはそれなりにハードに締め上げられている。具体的には、ダンパーとスプリングのバネレートが高められたわけだが、ボディ剛性が向上したこともあって、サスペンションのポテンシャルがきちんと活かされている印象なのだ。もちろんそれは、首都高速道路などの中速コーナーを日常的な速度で走った際の感覚であり、今後、箱根やサーキットに連れ出すなどして、もう少し詳しく検証したい。

ブラックに塗られたレイズ製ホイールがSpec Vの証。
カーオーディオのケーブルはオーセンティックなタイプ。iPodに対応したタイプが欲しいところ。
 

意外といい乗り心地

足まわりの話が出たついでに、多くの方が気になっているであろう乗り心地についても触れたい。2007年に新型GT-Rがデビューした際に、前出の水野和敏氏は後に追加されるであろうSpec Vについて「サーキットの近くに保管しておいて、週末にサーキットで乗るような特別なモデル」と語っていた。そんなわけで、納車前には快適性についてはまったく期待していなかった。いや諦めていたわけだが、納車日にいざ身構えて走り出してみると、意外にもタウンスピードでの乗り心地が悪くないのだ。

たしかに専用のフルバケットタイプのレカロシートは、基準車と比して明らかにクッションが薄く、座り心地がハードである。しかしサスペンション自体の工作精度が高いせいか、しなやかに足が動いているのがその理由のひとつだと思われる。

また、Spec Vはレイズ製の専用ホイールと、カーボンセラミック・ブレーキが与えられた結果、バネ下重量が1輪あたりで7kgも軽くなっているのだが、このバネ下重量の軽量化も、乗り心地に大きく寄与しているのだろう。

ちなみにSpec Vには、基準車に与えられていた3段階の調整が可能な電子制御ダンパーが省かれているのだが、その乗り心地はちょうどもっともハードなRモードを選択した際のイメージである。

快適性という点では、初期型でやや気になったキシミ音が完全に払拭されているのもうれしい。ボディ剛性の向上と同時に、内装の立て付け精度も高められているのだろう。

日々の使用で気がついた点について少々触れたい。まず、GT-Rはタイヤの空気圧を常にモニターしており、走行中も車内のマルチモニターで確認できるわけだが、初期型の基準車では左前が他にくらべて空気圧がやや低く設定されていたが、Spec Vでは右前が低い設定に変えられていた。

また、エンジンとトランスミッションの水温が、初期型では走り出してからゆるやかに上昇し、規定値になるまで時間を要した。一方Spec Vでは、早々に規定値の80度まで上昇する。タイヤの空気圧も水温のコントロールもメーカーがセッティングを変更した結果だと思われるが、そのあたりは今後、メーカーへの取材を通して明らかにしたい。

基準車にせよSpec Vにせよ、発売されたのちに、開発にかかわるエンジニアやテストドライバーのチームに変更がないまま、イヤーモデル制を導入して年々大きく進化していくGT-R。この事実だけをとっても、日産自動車の同車に対する情熱が伝わってくると言えよう。
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