2015 ミラノサローネ 最新リポート|Barovier&Toso
DESIGN / FEATURES
2015年5月13日

2015 ミラノサローネ 最新リポート|Barovier&Toso

Barovier&Toso|バロビエ&トーゾ

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015

もっとも美しいシャンデリアのきらめきをLEDで再現

シャンデリアに代表されるイタリアンライティングの源流をつくったと言われているヴェネチアンガラス(ムラノガラス)。ガラスを透過する光がもっとも美しいという認識はイタリアでは常識だという。そんなガラスへの美意識を洗練されたデザイン照明へと昇華させ、トップブランドとして君臨するのが「Barovier&Toso(バロビエ&トーゾ)」だ。シャンデリアという伝統的なプロダクトに、現代のクリエイティブを見事にシンクロさせている。

Text by YUDA Takeshi(TOL STUDIO INC.)

徹底的にLED光源を検証してシャンデリアをデザイン照明へ昇華

シャンデリアを中心とした商品展開をするライティングブランドは、クラシックブランドと位置付けられている。現在、そのなかでトップブランドとして君臨するバロビエ&トーゾ。その歴史は、ヴェネチアンガラスの聖地であるムラノ島にはじまる。

ムラノ島は、ヴェネチアから船で30分ほどに位置する。13世紀末に当時のヴェネチア共和国は、「島外に出るものは死罪と処す」との定めとともに、ガラス工房とその職人をムラノ島に移住させた。密集した工房が、その技術を切磋琢磨させ、世界的なガラスの聖地としての地位を築いてきた。バロビエ&トーゾは、この磨き抜かれたヴェネチアンガラスの伝統を受け継ぎながら、コンテンポラリーな美しさを併せもつシャンデリアを生み出している。

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新作はすべてLEDを採用し、製品ごとにベストの光源をセレクトしている。色や模様、カッティングなどによって、ガラスのきらめきは大きく変わるため、徹底的に光源を検証して、それぞれのガラスに最適なLED光源を搭載しているという。そのうえで、“ガラスは白熱電球の光でないと美しく光らない”という定説をクリアしてみせた。

新作の「Mazzodromo(メゾドロモ)」は、いくつものガラスパーツの組み合わせで作られるシャンデリアで、現代的で大胆な解釈のもとに作られた。ガラスのひとつひとつの模様が異なり、いろいろな組み合わせが楽しめる。一般的に想像されるコンサバティブなシャンデリアとは一線を画し、現代的な軽快さがあるいっぽうで、ガラスのパーツはひとつずつ手吹きで作られ、伝統的な模様があしらわれている。

2015 ミラノサローネ 最新リポート|Barovier&Toso

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マルセル・ワンダース氏がデザインを手がけた「Perseus(ペルセウス)」と「Lust(ルスト)」も注目の作品だ。「Perseus」は、さまざまな異なる球状のガラスを組み合わせ、シャンデリアのイメージを残しつつも、コンテンポラリーなデザインに仕上げられている。「Lust」はベースにセメントを使い、異素材のマッチングが楽しい。また、シェードのなかには金箔をほどしたガラスが置かれ、反射する光の美しさが助長されている。

伝統を踏襲した重厚なガラス細工と、創作的で軽快なデザインに反映され、美しくシンクロしたバロビエ&トーゾの新作。市場環境の変化で苦戦をつづけるクラシックブランドのなかで、圧倒的に先を進み、伝統を受け継ぎながら、変化に富む作品がイタリアンライティングのあたらしい正統を紡いでいく。

トーヨーキッチンスタイル
Tel. 03-6438-1040

http://www.toyokitchen.co.jp/

           
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