2015 ミラノサローネ 最新リポート|照明の祭典Euroluce
DESIGN / FEATURES
2015年4月30日

2015 ミラノサローネ 最新リポート|照明の祭典Euroluce

ユーロルーチェ 2015リポート

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015

技術革新の塊「LED」がもたらす光の本質と、デザインへの探求心

世界最高峰の照明国際見本市「Euroluce(ユーロルーチェ)」。出展ブランドは実に300社以上を誇り、「FLOS(フロス)」や「Artemide(アルテミデ)」など、世界を代表するトップブランドからデザイナーズブランドや新興ブランドのものまで、さまざまな照明の最新作を見ることができる。LEDのイノベーションが止まらないいっぽうで、光の本質を問う風潮も広がりつつある、照明デザインの世界の最新トレンドが会場に渦巻いていた。イノベーションとアナログ、テクノロジーとナチュラル、過去の作品への敬意が交錯し、最新の技術と原点回帰が顕著にあらわれた。

Text by YUDA Takeshi(TOL STUDIO INC.)

照明のトレンドが一堂に会す祭典

2年に1度、イタリアで開催される照明国際見本市「ユーロルーチェ」は世界最高峰の照明器具の見本市で、デザイン照明にスポットがあたりトレンドが示される。国際家具見本市「ミラノサローネ」と併催されることもあり、バイヤー、ジャーナリスト、プレスなど世界中から30万人以上の来場者が押し寄せる。同時にミラノ市内でも一般向けのエキシビションが展開され、街中が楽しい光であふれる1週間になる。

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ユーロルーチェのお膝元であるイタリアのトップブランドの「フロス」「アルテミデ」「Foscarini(フォスカリーニ)」は今回、光のディフューザーとしてもっとも美しいマテリアルをガラスだと捉え、なかでもイタリア伝統的の「ヴェネチアンガラス」への敬意がはっきりと作品にあらわれており、LEDという最先端の光源技術とのコラボレーションが見事なまでに完成されていた。

それと同時に、ここ数年の活躍によりスペインを代表するトップブランドの仲間入りを果たした「VIBIA(ビビア)」や、カナダの「BOCCI(ボッチ)」、ベルギーの「DELTA LIGHT(デルタライト)」といった新興ブランドは、優れたデザイン力と発想力で注目をあつめ、イタリアブランドが伝統や歴史と向き合うなか、さらにその次のフェーズを見据えた作品を発表しているのも見逃せない。

照明の祭典Euroluce|2015 ミラノサローネ 最新リポート

VIBIA

照明の祭典Euroluce|2015 ミラノサローネ 最新リポート

BOCCI

照明の祭典Euroluce|2015 ミラノサローネ 最新リポート

DELTA LIGHT

メイン会場外のエキシビション「フォーリサローネ」も注目すべき展示が多い。アルテミデはこのユーロルーチェに合わせてショールームの大規模なリノベーションをおこない、科学的に光の神秘を解き明かした展示“Spectral light”で道行く人の目を引いた。フォスカリーニのショールームでは “Tunnel of light” and “Ritratti”と題し、ミラー効果で延々とつづくトンネルをイメージさせた展示で訪れるゲストのための体験型エキシビションを展開。照明器具が設備やインテリアとしての価値だけではなく、エンターテインメントとしての存在意義もあることを示した。

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Foscarini

今回のユーロルーチェをひとことであらわすなら「温故知新」。ヨーロッパでは2012年に白熱電球が廃止され、数年後にはハロゲン電球も廃止の観測が流れるなか、LEDが必然的に導入されてきたが、今年は“LEDだからこそできるデザイン”が追求され、光の本質を考えることが、プロダクト自体の本質をとらえることに繋がったようだ。

           
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