NISSAN FAIRLADY Z ROADSTER  反応が鋭く、ひとと「対話ができる」クルマ
CAR / IMPRESSION
2015年3月20日

NISSAN FAIRLADY Z ROADSTER 反応が鋭く、ひとと「対話ができる」クルマ

NISSAN FAIRLADY Z ROADSTER|日産フェアレディZロードスター

反応が鋭く、ひとと「対話ができる」クルマ(1)

清々しい季節に乗りたいのはフルオープンモデル。日本にもいくつも存在するが、スポーツ性とラグジュリー性をともに追求したモデルは、日産フェアレディZロードスター(435万7500円~)にとどめをさす。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

美しき、2シーター・フルオープン

フェアレディZロードスターは2009年10月に発売されたモデル。ベースになっているクーペが従来型と比較して、より軽量コンパクト化を進めて、操縦する楽しさを追求しているのと同様、運転が楽しめる2シーター・フルオープンだ。

日産自動車が謳うフェアレディZロードスターの特徴は下記のとおりとなる。
・オープンでもクローズでも、目をひく美しさ
・スポーツカーとしての走りとオープンカーとしての気持ちよさを両立
・ソフトトップの容易な開閉操作

フェアレディZロードスターは、336psの3.7リッターV6エンジン搭載の後輪駆動。車体寸法は、全長4,250×全幅1,845×全高1,315mm。比較のため3.7リッター6気筒エンジン搭載のポルシェ911カレラカブリオレを例にひくと、最高出力は345psで、車体寸法は全長4,435×全幅1,810×全高1,310mm。フェアレディZロードスターのほうが短く、かつワイドな車体という特徴がわかる。

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ソフトトップを選ぶ「贅たくさ」

フェアレディZロードスターの最大の特徴はというと、ソフトトップといってファブリックの幌を備えていること。昨今はメタルトップばやりだが、かつて高級車メーカーは、クーペとロードスターと2つのボディをラインナップに揃えていた。クーペとオープンモデルは本来、まったく異なる目的で乗られるクルマで、オープンモデルにはオープンゆえのある種の不便さをもわかったうえで敢えて選ぶところに、オーナーの価値観が表現されていた。ちょっと抽象的なのだけれど、昔からオープンモデルが好きなひとなら、わかってくれるようなこの「贅たくさ」がフェアレディZロードスターにあることを、大いに評価したい。

ソフトトップのフルオープンでは乗員の快適性は季節や天候に左右されがちだが、フェアレディZロードスターでは、ウィンドシールドをある程度大きくするとともに角度をふくめて細部まで微調整を重ねた結果、風の巻き込み、ノイズなどを低レベルで抑えようとしている。さらに耐熱性でもメタルトップに劣るぶん、座席はエアコンディショニングシートと呼ばれる冷房と暖房の両方の機能を内蔵したものを採用。夏と冬ともに使い勝手をよくしている。

NISSAN FAIRLADY Z ROADSTER|日産フェアレディZロードスター

反応が鋭く、ひとと「対話ができる」クルマ(2)

重く、手ごたえあるステアリングが気持ちいい

操縦感覚は日本車では例外的ともいえるほどだ。乗るひとを選ぶぐらい、しっかり「スポーツカー」。ハンドルはもちろんパワーアシスト付きだが、意外なほど重く、マニュアル車ではシフトフィールもストローク量の短い明確なゲート感をもちつつ、それなりに重い。アクセルもブレーキも反応はよいが、軽々しく効きださないところが、大パワーのスポーツカーはかくあるべし、とうれしくなる。重くて悪いわけではない、それが気持ちいい。

加速性はよく、37.2kgmの最大トルクが5,200rpmと上のほうで発生する高回転型エンジンは3,000rpmあたりから本格的にトルクバンドに入りはじめ、アクセルの踏み込み量に応じて反応鋭く加速していく。このようなスポーツカーを運転するときは、いきなりアクセルを踏み込むのではなく、じわっとエンジン回転を上げていき、自分にとって気持ちよく感じられる回転領域を見極めるのが肝要。ハンドルさばきとともに、自分がもっともコントロールしやすい領域を知ることが、駿馬を手なずけていく第一歩だ。それをひととクルマの対話とするならば、フェアレディZロードスターは対話ができるクルマだといえる。

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自動的に回転合わせをしてくれる機能も

走る楽しさを強調しようということか、フェアレディZロードスターの6段MT車には「シンクロレブコントロール」が与えられている。これはシフトダウン時に機能するもので、クラッチペダルを切ると自動的にエンジン回転を上げて、いわゆる回転合わせをしてくれる。それによってシフトダウンの楽しさを味わえるようになっている。それを楽しさと認識しているひとはかなりのクルマ好き。マニアックな機能だ。ちょっと皮肉なことを書けば「あまり評価されていません」と開発担当者がこっそり教えてくれた。たしかに自分で練習して習得したほうが楽しいテクニックであることはまちがいない。

500万円前後の国産2シーター・オープンスポーツカー。贅たくな楽しみを与えてくれる1台だ。いつまでも存在しつづけてくれることを願う。

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NISSAN FAIRLADY Z ROADSTER|日産フェアレディZロードスター
ボディ|全長4,500×全幅1,845×全高1,325mm
エンジン|3.7ℓ V型6気筒DOHC
最高出力|247kW(336ps)/7,000rpm
最大トルク|365Nm(37.2kgm)/5,200rpm
駆動方式|後輪駆動
トランスミッション|6段AT
価格|435万7500円

           
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