4つのドアを持つ、ベントレーの愉悦|Bentley

4つのドアを持つ、ベントレーの愉悦|Bentley

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Bentley|ベントレー
ショーファーサルーンで京都をめざす

4つのドアを持つ、ベントレーの愉悦 (2)

サルーンがベントレーの“本流”である理由

ベントレーのサルーンと言えば、その正統性を物語る有名な逸話がある。1930年3月、「ベントレーボーイズ」を代表するひとりで、ル・マンでは3戦3勝(1928-29-30年)の偉業を果たしたウォルフ・バーナート大尉が、プライベート用の愛車としていたベントレー6 1/2リッター「スピードシックス」を駆って、当時フランスにて運行されていた花形寝台特急「トラン ブルー(ブルートレイン)」を相手に公道レースを敢行。南仏カンヌ-ロンドンRACクラブ間のルートを、実に約4時間もの大差をつけて快勝してみせたという、ベントレー ファンにとっては感涙モノのエピソードである。

一般的には、名門コーチビルダーの「ガーニー・ナッティング」社が、ベントレー6 1/2リッター「スピードシックス」のシャシーを使用し、ルーフ後方をなだらかにスロープさせた“ファストバック”スタイルで製作した魅力的なクーペが、「ブルートレイン クーペ」として認知されている。

ところがこの有名なクーペは、実はバーナート大尉がチャレンジの勝利を記念して製作させたもの。

1930 Bentley Blue Train at The Savoy|ベントレー ブルートレイン

バーナートが所有していたブルートレイン クーペ

実際にブルートレインとの対決に使用されたのは、おなじベントレー6 1/2リッターでも、荘重なデザインを持つ「H.J.マリナー」社製4ドアスポーツサルーンだった。つまり、ベントレー創生期を担った「ベントレーボーイズ」とて、重要なチャレンジのパートナーとしたのは4ドアサルーンだったのである。冒頭から話題が長々と脱線してしまったが、ベントレーにとって4ドアサルーンが、たしかな本流のひとつであることはご理解いただけるだろう。

さて、そろそろ話題を2015年に戻さねばなるまい。

現在のベントレーにおける4ドアサルーンのラインナップは「フライングスパー」と「ミュルザンヌ」。前者のフライングスパーは、コンチネンタルGTと基本コンポーネンツを共用する4WDサルーンで、4リッターV型8気筒ツインターボを搭載する「フライングスパー V8」と、6リッターW型12気筒ツインターボを搭載する「フライングスパー W12」の2グレードが展開されている。

Bentley Mulsanne

Bentley Flying Spur V8

いっぽう、往時のベントレーが大活躍したル・マン24時間レースのコース、サルト サーキットの名物ストレートに続く90度コーナーから名付けられた「ミュルザンヌ」は、2009年に初公開された当代最新のプレステージサルーン。

とはいえ、そのオリジンを遥か半世紀以上も前、1959年まで遡ることのできるV8 OHVユニットなど、古典的なテクノロジーを極限までソフィスティケートしたもので、スタンダードモデルのほかに高性能版の「ミュルザンヌ スピード」も設定されている。