柳本浩市|第18回 熊谷彰博氏(ALEKOLE)に「プロダクト発想」をきく(前編)

柳本浩市|第18回 熊谷彰博氏(ALEKOLE)に「プロダクト発想」をきく(前編)

How to see design

第18回 熊谷彰博氏(ALEKOLE)に 「プロダクト発想」 をきく(前編) 1

プロダクトデザイナーを迎えての対談企画、3人目のゲストは熊谷彰博さんです。オウプナーズでも商品発表などでたびたび登場し、若手でもとくにがんばっているデザイナーです。この世代のデザイナーのなかでもとくに会う機会が多い熊谷さんですが、実際彼のプライベートな部分はあまり聞いたことがないので、そのあたりを掘り下げてみたいと思います。

Text by 柳本浩市

ひとにきちんと伝えるために、グラフィックデザインに力を入れた

柳本 僕のオウプナーズでの連載「How to see design」でお話をうかがった寺山紀彦さんと海山俊亮さんは、2000年以降の「droog design」に影響を受けているんですね。「droog design」(1993年に設立された、オランダ発のデザイン集団。リチャード・ハッテン、マルセル・ワンダース、ヘラ・ヨンゲリウスらオランダを代表するプロダクトデザイナーを輩出し、その後、ダッチデザインシーンを牽引してきた)との出合いによって、デザイナーになるという自覚が芽生えたそうです。まずは彼らと同世代でもある熊谷さんが、デザイナーとしてなにに影響されたのか、教えていただけますか?

熊谷 僕の場合は「droog design」は知ってはいたものの、とくに影響を受けたというのはないですね。インパクトを与えてくれたクリエイターは……「ora-ito(オラ・イト)」(2000年ごろから企業の商品や広告を勝手につくり、ウェブ上で発表。ヴァーチャルなデザインを実際のプロジェクトへと進化させ、大きな話題を呼んだ。個人のプロジェクトではじまった「ora-ito」であるが、現在はデザインオフィスへと成長。パリに拠点を構える)です。「ora-ito」が企業のデザインを勝手にして、それをウェブで公開していたころですね。当時はリアルタイムでずっと追っていました。こういうことができることを世の中に知らしめながら、それが仕事として成立するというのに衝撃を受けましたね。

柳本 なるほど。たしかに熊谷さんは生粋のプロダクトデザイナーではないですよね。どちらかというとグラフィックのアプローチが強い。

熊谷 学校では建築やインテリアを学んでいたんですが、プレゼンテーションするときに、ボードや資料が必要になってきて、ひとにきちんと伝えるためにと、グラフィックデザインに力を入れるようになりました。そうしていくうちに、グラフィックの世界にも興味を惹かれていきましたね。仕事の量も絶対数が多いですし(笑)。

柳本 「コンペに勝つ」という実践的なスキルを求めていったら、結果としてグラフィックデザインの仕事をしていたと。その後、再び立体へのアプローチに変化していったのには、意識の変化があったのですか?

熊谷 当時は完全なグラフィックデザインというわけでもなかったんですが、イニシャルコストを考えるとグラフィックデザインであれば、まだ僕自身のクリエイションができたので。その後、体力がついたということもあり、2次元から3次元へとシフトしていったといった感じです。柳本 これまで熊谷さんと仕事をさせていただいて感じたことなんですが、じつにクライアント慣れしていますよね。コンセプチャルにプロセスを考えて、クライアントときちんと話しながら折り合いをしっかりつけていくタイプかと。コミュニケーション能力がとても長けていると思います。若いながらも大企業と仕事しているし。

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YANAGIMOTO Kouichi

幼少のころ、植草甚一に影響を受けジャズと古本に目覚め、その後小学校1年生のときに発売された『Made in U […]