坂本龍一|坂本龍一・大貫妙子 共同記者会見
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2015年3月6日

坂本龍一|坂本龍一・大貫妙子 共同記者会見

Ryuichi Sakamoto Playing the Piano featuring Taeko Onuki

坂本龍一・大貫妙子 共同記者会見

2009年春に全国24公演の国内ツアーをおこない、秋には2ヵ月にわたって欧州6ヵ国全27公演のヨーロッパツアーを絶賛のうちに終えた坂本龍一氏。自身「一年間でこんなにツアーをしたのははじめて」というツアーイヤーの最後を飾ったのは、大貫妙子さんを迎えての国内凱旋公演「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano featuring Taeko Onuki」全7公演(大阪・横浜・東京)であった。

Text by OPENERSPhoto by commmons

今秋、commmonsより「大貫妙子が歌う坂本龍一楽曲」アルバムがリリース予定!

「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano featuring Taeko Onuki」公演の最中、12月26日の東京国際フォーラム ホールCでの公演前に、本番さながらのドレスリハーサルと記者会見が行われた。ステージでの共演はおよそ10年ぶりというおふたり。関西でスタートした本公演も回をかさね、ドレスリハーサルはほどよい緊張感に包まれながら、また共同記者会見はなごやかなムードのなかで質疑応答がおこなわれた。

──大貫さんが今回の公演に参加された経緯は?

坂本龍一 今年(2009年)の前半ごろに、大貫さんから「僕の曲に詩をつけて歌いたい、アルバムをつくりたい」というお話をいただいて、「ぜひ」ということで、そのお披露目ですね。来秋(2010年)にオリジナルのフルアルバムをリリースする予定です。

──坂本さんの2009年はまさにツアーイヤーでしたが、振り返ってみていかがですか?

坂本 疲れました(笑)。でも僕らのようにライブができるミュージシャンにとっては、音楽家としての本来の姿にもどったというか、エジソンが蓄音機を発明する前は音楽はライブしかなかったわけですから、足腰が立つうちは(笑)、こんなにたくさんはやりたくないけど(笑)、ライブをやるということですね。長いツアーをやっていると、自分が浅田真央ちゃんになったような気分になって「今日はノーミスでした!」って(笑)。

大貫妙子 スポーツ選手がよく「調整して調整して本番にもっていく」と言っていることが、昔はわからなかったんですが、意味がわかるようになりました。

坂本 今年、僕もわかりました(笑)。

──大貫さんは2009年はいかがでしたか?

大貫 今年は忙しかったですね。22年間つづいていたアコースティックコンサートが、メンバーのアメリカ移住などでカルテットが解散することもあって、いったんファイナルというかたちになりました。私も坂本さんがおっしゃったように、呼ばれて歌を歌うことも多くなりまして、自分のアルバムをつくることも大事なんですけど、ライブですぐ歌を届けることもやっていこうと思います。

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──今回、大貫さんと共演されて、坂本さんのピアノの弾き方にちがいはありますか?

坂本 今回の「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano featuring Taeko Onuki」のリハーサル直前までヨーロッパツアーで、約2ヵ月間、ピアノ一台で曲を弾いていましたが、歌のバックとなるともちろんちがう弾き方をしなければなりません。たとえば『Tango』はツアーでもずっと弾いていて、いわばピアノで歌っているんですね。このリハーサルに入って、『Tango』を弾くと、大貫さんが歌っている、僕もピアノで歌っている。お互いぶつかっちゃって、最初の日はまとまらなかったですね。今回演奏した『色彩都市』も、30年ほど前にオリジナルのトラックをつくって以来はじめて弾くので、あのトラックの雰囲気をピアノ一台でどう表現しようかと、おなじピアノを弾くということでも全然ちがうことなので、むずかしくて手探りでやっています。

──坂本さんから、大貫さんのボーカルの魅力を教えてください。

坂本 むずしい質問ですね。僕たちはレコーディングをしてトラックをつくってライブをすることが多くて、僕の人生のなかで、大貫さんが一番アレンジをしたひとなんです。30年前ぐらいに100曲近くあるんじゃないかな? でも当時は、ほとんど歌は聴いていなかった。僕は歌が聞こえない病気のひとで(笑)、歌は楽器としてしか聞こえない。僕には歌心がほんとに欠けているんですが(笑)、大貫さんの歌の核心は、もちろん30年以上経って進歩されていると思いますが、そんなに変わらないんじゃないでしょうか。

──大貫さんには坂本さんのピアノの魅力をぜひ。

大貫 坂本さんの演奏には独特のノリがあって、拍子の裏をつねに感じるんですね。前のめりなのはあまり好きじゃないんです。今回はとても色っぽくてタッチが軽やかで透明感があるピアノで素晴らしい。それで歌えることを本当にうれしく思っています。

坂本 昔は、ピアノの打鍵(げん)が強かったんだよね。今回は音の粒立ちをきれいに弾きたいなと思って弾いています。

──アルバムに入る曲の予定は?

坂本 『Tango』はライブでもうまくいきましたね。『美貌の青空』もつくって15年ぐらい経ちますが、僕のなかではインスト曲になっているで、あらたな歌詞をつけていただいてもなんの問題もありません。どうですか?

大貫 坂本さんの曲は、聴くひとそれぞれが物語をつくれるので、まず一度日干しして(笑)、色を抜いて、あらたに染色するような感じでしょうか。

──ありがとうございます。アルバムを楽しみにしています。

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