今静行|第54章 アメリカの後進性
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2015年5月7日

今静行|第54章 アメリカの後進性

第54章 アメリカの後進性

文=今 静行

誰でも銃器を売買できる国アメリカ

アメリカを一口で表明するならピストルが歩いている国といえる。
護身用にピストルを自由に売買できる。憲法で保障されている唯一の先進国がアメリカそのものである。

日本では大型ナイフの持参さえも法律で規制している。アメリカとは天と地のちがいである。
自分の身に危険を感じたらいきなりピストルの引き金を引く。アメリカの後進性そのものと言える。

健康保険に入れないひとが4000万人もいる。先進国といえるだろうか。

アメリカの総人口は3億人強(日本の総人口は1億7770万人)だが、このうち約4000万人が健康保険に入っていない。国民皆保険でない国、つまり後進国並みといえる。
国民皆保険利用が当たり前の日本人には信じがたい。アメリカ人の思考として自助努力こそすべてであり、国家に依存すべきでないということなのだろう。
自分で稼いで民間の医療保険に加入すべきで、それができない者は負け組だから仕方ないという割り切り方といえる。

経済の拝金主義、成果主義そのものが健康保険制度にも反映している。
基本的にはおカネがある者は民間の医療保険に加入し、経済上の理由、つまり貧しい層は保険に加入できない仕組みになっている。
とても民主主義国家とはいえないと思う。ただオバマ大統領は先進国なみの国民皆保険制度に強い関心をみせ具体的な動きをしているので良い方向に変わることを期待できる。

アメリカにも公的保険制度はある

もっともアメリカにも弱者救済を目的にしたふたつの公的保険制度がある。正しくは2種類より無いというべきかもしれない。
ひとつは65歳以上の高齢者と身体障害者を対象にした「メディケア」。もうひとつは低所得者を対象にした「メディケイド」。この2種類よりない。国民の25%程度に過ぎない。
もうひとつ見落せないのはアメリカでは雇用主(経営者)が福利厚生の一環として保険会社と契約を結び従業員を加入させる企業が多い。もっとも企業に負担能力があってのことであり、中小企業の従業員や個人事業主には金銭面で保険に加入することをあきらめなければならないケースが多い。

だから4000万人以上の国民が医療保険に加入していないという悲しいというか恐ろしい実態が生じている。大国アメリカの裏の顔を見る思いがする。

           
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