Chapter2 間伐材がもたらすプロダクトの未来

Chapter2 間伐材がもたらすプロダクトの未来

みんなでかんがえる環境問題の、いまーモア・トゥリーズ

Chapter2

間伐材がもたらすプロダクトの未来

2008年11月の坂本氏高地視察には、デザイナーであり、モア・トゥリーズの賛同人でもある深澤直人氏も同行していた。現地の森に直面することで、さらにあらたなるきっかけが芽生えたデザインプロジェクト「ベンチ」をはじめ、モア・トゥリーズが展開するグッズプロダクトの可能性とは?

文=オウプナーズPhoto by Jamandfix

巨匠ふたり、more treesの森に触れて──

「more treesの森」第一号の“梼原の森”と第二号“中土佐の森”で伐採される檜の木。全国でも有数の木材であるこの四万十ヒノキの製品は、現在でも数々の名品を生み出している。

そのなかでも「土佐龍」というブランドで製作されている商品たちは、非常にデザイン性が高く、四万十ヒノキのもつ特性を生かしたものばかりだ。
もちろん、モア・トゥリーズも独自のデザインによるグッズを展開。現在、web shoping 「rumors」で販売されているUSBメモリはこの「土佐龍」のハンドメイドによるもの。

代表・坂本龍一氏と賛同人である深澤直人氏は高知を訪れた際、実際に「土佐龍」の販売所と工場を視察。宿に戻ってきた際、両氏はこう語っていた。

深澤 実際に現地に訪れることによって、現地の方々の木に対するおもいを実感することができた。木を伐採することもやはり大変なことだし、手を入れると言っても多大なお金を必要とすることも分かった。

坂本 実際に自分が「やれ!」と言われたら、とてもじゃないけどできない。今日の深澤さんのプレゼンがきっかけになり、現地の人は明確なビジョンができたと思う。

“深澤さんのプレゼン”とは、初日に高知県庁にて行われた自身のモア・トゥリーズ デザインプロジェクトである「ベンチ」を説明したときのことである。
「日本にはいいベンチというものがない。では、いいベンチをモア・トゥリーズで間伐した木材で、しかも効率の良い物にしあげられれば」と説いたこのプレゼンは、県知事をはじめ、その場にいた現場の人々を驚かせるものであった。

同形の細木を並べることにより、壊れた部分のみをオーダし、交換すれば長年使用することが可能で、地震などによる災害時にも火を焚く際の「蒔き材」として使用することも可能。また公共用を目的としたプロダクトなので、たとえば公園や道路などにおかれてもおかしくないシンプルなデザインとなっている。しかし、そのシンプルなデザインの中にも考え抜かれた魅力が秘められている。例えば背もたれのカーブは、手が掛けやすくなっているため、おのずと「隣人」とのコミュニケーションに役立つ仕組みになっている。発想からして、まさにエコロジーなデザインプロジェクトなのだ。

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2009年1月に行われた、「more trees meeting」にてお披露目された、深澤氏のデザインによる「ベンチ」

両氏の会話は以下のように続いていく──

坂本 例えば携帯ストラップとかそういったモノも、もちろんいいんだけど、このベンチのような、デザインも秀逸であり、かつエコロジーな間伐材製品に今後は注力していかなければならないと思う。

深澤 現在あるエコロジーのプロジェクトというのは、実は問題があると思う。しかしその問題をクリアにしていこうと思うと時間がかかるし、寄付金もうまく集められない。ある意味、第三者的な自分は、また違った視点からの意見が言えると思うんです。

現地を視察することは、両氏にとって新たなる可能性が生まれるきっかけとなった。
現在、このプロダクトは着実に歩を進めており、深澤氏による四万十ヒノキを使用したこの「ベンチ」は木材に土佐龍の手が加えられ、先日行われたモア・トゥリーズ シンポジウムにて発表された。今後は様々な場所で、このベンチを目にすることができそうだ。

「採取された木材を、秀逸なデザインによる商品で販売し、そのいいモノを購入していただいたお金で、新たにmore treesの森を広げていく」とは坂本氏の言葉だが、大概のエコロジーグッズが、どれも同様なエコバッグなどのグッズ、または結局大量生産されまったくエコロジーにつながっていないグッズ類と例えると、このポリシーは購入者側にも「欲しいと思えるモノを購入することで、エコ活動につながるなら」と思えるし、他に類を見ないエコロジープロジェクトではないだろうか?

このような考えから生まれるモア・トゥリーズの製品たち。
また、その他の様々な分野で活躍しているデザイナーによる商品のプロダクトも、動き出しているようなのでその活動にも注目していきたい。

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現在のモア・トゥリーズ グッズプロダクト

現在モア・トゥリーズのホームページでは「寄付」、ではなく「購入」することでカーボンオフセットができるオンデマンドTシャツを展開している。
ただただ自身が消費したCO2をオフセットするだけではなく、その証明書の代わりとしてTシャツとして手元にかえってくるのだ。またその消費した数値がそのTシャツにプリントされるので、まさにオンデマンドなプロダクトとなっている。

また、ショッピングサイト「rumors」ではシャツ、スウェット、チノパンといった衣類、木製のBE@RBRICKなども販売中だ。こちらは購入することで、その金額の10%がmore treesに寄付されることとなる。

こういった「いいモノ」を購入することで、支えることができるモア・トゥリーズのエコロジープロジェクトに、ぜひご参加いただければ幸いだ。

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雄大な自然が育むmore treesの森

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ABOUT
SAKAMOTO Ryuichi

1952年東京生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、 細野晴臣 […]