山本浩未×渡邉季穂 親友対談 夢中になるものがあると、きれいになれる(2)
Beauty
2015年4月30日

山本浩未×渡邉季穂 親友対談 夢中になるものがあると、きれいになれる(2)

山本浩未×渡邉季穂 親友対談

夢中になるものがあると、きれいになれる(2)

「宝塚の舞台には喜怒哀楽のすべてがあります」

美容誌や女性誌を中心にさまざまなメディアで活躍されている、ヘア・メイクアップアーティストの山本浩未さんを迎えてのビューティ対談、第2回。
舞台メイクのパワーに魅せられ、入り込んだ宝塚の世界。観るたびにドキドキ感があり、泣いて笑って感動して、新陳代謝も活発に。
今回は、客席と舞台が一体化するライブの魅力を語ります。

文=染谷晴美写真=北原 薫

舞台と客席が一緒に盛り上がれる。それがライブの醍醐味

――おふたりともハマっている舞台。その魅力はなんなのでしょう

渡邉季穂 いちばんは、舞台の上に立っているひとたちへの興味。がんばっている姿を観るのが好きなんです。

山本浩未 ライブはパワフルですよね。いまはCGとか、いろんなものが世の中にはあるけれど、人間のちからってすごいなって、ライブを観るたびに思うんですよ。映画やテレビとはちがう、生の息づかいが聞こえてくるような、空間と時間が大好き。

季穂 そのときどきで、うまくできたりできなかったりがたくさんあるわけですよね。歌ったあとに拍手が少ないとショックなんだろうなとか、気づくと、演じている側の気持ちになって観ていることもあります。

浩未 それは正しい(笑)。ライブって、客席と舞台が一体なんですよ。だから、観る側も受け身でいてはダメ。役者をのせるような見方をしなきゃ。

――となると、観に行くときは、今日もやるぞ! という気持ちですね

浩未 もちろん!

季穂 みんなのテンションがすごいから、その場にいると自分も元気になれますよ。

八田バイヤーとのURUSHIについて(高橋理子)

浩未 一緒に盛り上がるんですよね。それがライブの醍醐味。だから、楽しもうと思わなければ楽しめない。きれいになろうと思わなければきれいになれないのと一緒です。

宝塚の舞台メイクを見て、メイクのすごさを実感!

浩未 こんなにハマっている宝塚だけど、数年前まではまったく興味がなかったんですよ。むしろ、どちらかといえば、苦手。
中学生のころに『ベルサイユのバラ』を観て、当時の役者さんたちには失礼ですが、どうみても日本人体型で、このひとたちフランス人じゃない! って思ったのが、拒絶の理由。原作のベルバラが大好きだっただけに、余計許せなかったんですね。
でも、数年前、たまたま仕事で観る機会があった。そうしたら、いまの役者さんたちは、頭が小さくて、手足が長い! まず娘役の可憐さにこころ惹かれましたね。そして、宝塚の本拠地で観た『エリザベート』でノックアウト。

『エリザベート』はもともとウィーンのミュージカル。すばらしくよくできた、実在の人物エリザベート皇后をモチーフにした舞台なのですが、ミュージカルだから、最初から最後まで歌があるわけですよ。それがほんとよくできていて、いつまでも頭のなかに残ってぐるぐる回るんです。

季穂 そういえば、このあいだ一緒に観に行ったうちのスタッフは、このままカラオケに行きたい、って言ってましたね。

浩未 そう、歌えちゃうくらい、印象に残るの。すばらしい楽曲というのは、そういうものなんですね。結局、その年『エリザベート』は5回くらい観ました。

季穂 それでも足りなかったんでしょ(笑)。

浩未 はい(笑)。だから、過去にほかの組がやった『エリザベート』のDVDを借りてきて、観まくりました。

八田バイヤーとのURUSHIについて(高橋理子)

『エリザベート』ほか、宝塚のDVD(浩未さん私物)

そうしたら、ある組の男役トップに目が留まった。以前、宝塚の雑誌の表紙で見て、失礼ながら、こんな地味なひとがトップなの? って思った役者さんでした。
それが舞台では見違えるように輝いていてびっくり。イタリア人の役を、ちゃんとイタリア人になって演じていたの。イタリアのすてきな男性が立っている! って感じで、ほんとにきれいだった。
私はずっとメイクの仕事をしてきて、とくにナチュラルメイクを基本にやっていたんですけど、ナチュラルメイクって代わり映えしないじゃないですか。そういう意味では、自分のなかでちょっとだけコンプレックスがあったというか、メイクってなに? って、仕事的にもトーンダウンしていた時期だったんです。そんなときに目の当たりにした宝塚の舞台メイク。

あー、メイクって目の錯覚なんだと。目の錯覚でこんなにきれいに魅せる。改めてメイクのすごさを実感しましたね。それからです、宝塚にハマりだしたのは。

ちょっとでも興味をもったなら、とりあえずやってみる気持ちが大切

季穂 『エリザベート』は宝塚のほかに東京の東宝でも上演されていて、私はそちらでネイルをやらせていただいていることもあって、お店のスタッフたちを連れて観にいくことも多いんですね。そうすると、興奮するわ、泣きだすわで、毎回大騒ぎ。

――感動したり、楽しんだり、泣いたり、発散する行為は、美容にもよさそうですね

浩未 すごくいいですよ。新陳代謝が活発になる。
じつは喜怒哀楽って、日々の生活のなかでは、あるようでなかったりするんですよね。でも、宝塚の舞台にはすべてある。そこも魅力かな。
つくづく思うのは、ひとがいいというものには、やっぱりいいところがちゃんとあるのだということ。だから、ちょっとでも興味をもったなら、とりあえずやってみる気持ちが大切。
そういう精神で私は生きています。

季穂 食わず嫌いはもったいないですよね。視野が狭くなっちゃう。

浩未 ひととの関わり方だってそうじゃないですか。このひとと友だちになりたいと思ってあいさつすればよい関係が築けるけれど、不信感をもって接すると壁ができてしまう。すべては自分の心がけ次第。
夢中になれるものは、そこらじゅうにたくさん隠れていますよ。

八田バイヤーとのURUSHIについて(高橋理子)

Profile
山本浩未(ヘア・メイクアップアーティスト)

資生堂美容学校卒業後、化粧品メーカーにて、ヘア・メイクアップアーティストとして、宣伝、広報、商品開発などに従事する。1992年よりフリーランス。
「生活者としてのきれい」をテーマに、美容誌や女性誌を中心にシンプルでわかりやすい美容理論を展開。メイクアップ、コラムの執筆、トークショーへの出演、化粧品の商品開発へのアドバイスなど、幅広く活躍中。

           
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