Mercedesbenz|メルセデス・ベンツCクラス ワゴン|第19回 (前編)|「中身は同じ、違いは……」
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2015年3月19日

Mercedesbenz|メルセデス・ベンツCクラス ワゴン|第19回 (前編)|「中身は同じ、違いは……」

第19回 メルセデス・ベンツCクラス ステーションワゴン(前編)

「中身は同じ、違いは……」

躍動するランドスケープデザイン

メルセデスのワゴンといえばアッパーミドル「Eクラス」が主役だったが、近頃はひとまわり小さい「Cワゴン」が頭角をあらわしている。7年ぶりにフルモデルチェンジし、4月に発売された新型Cクラス・ステーションワゴンに乗って、正しいワゴンの姿を考えてみた。

文=下野康史Photo by Mercedes Benz

「エレガンス」か「アバンギャルド」か

新型「メルセデス・ベンツCクラス」の新趣向は、2種類のボディをそろえることである。控えめな「エレガンス」と、スポーティな「アバンギャルド」。“パッと見”いちばん違うのはフロントマスクで、セダンの落ち着きをもつエレガンスに対して、アバンギャルドの顔はメルセデス・ファミリーのなかでもスポーツカーやクーペの系統だ。

フロントグリルに埋め込まれたスリー・ポインテッド・スターの“大きさ”で選ぶならアバンギャルド、ボンネット先端に立体エンブレムが立っているほうがお好きならエレガンス、ともいえる。

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しかし、機械の中身は変わらない。どちらにも同じパワーユニットが用意され、タイヤサイズが変わることをのぞけば、サスペンションも基本的に同じである。
ということは、これって昔トヨタがよくやった、バッジ(車種名やエンブレム)だけ変える“バッジ・エンジニアリング”じゃないの!? という疑問に100パーセント、ノーというわけにはいかない。

メルセデスもずいぶん小手先に走るようになったなあ、とは思うけれど、トヨタ流バッジ・エンジニアリングのような、複数販売系列向け差別化ではないのがせめてもの救い(?)である。

同じディーラーで売っている「基本・中身一緒」のクルマに、いわば2種類の包装紙を用意した。正規ディーラーのセールスマンに聞いたら、実際、販売の現場ではとても歓迎されているそうだ。

もっともコンパクトで買いやすいメルセデス・セダンだけあって、Cクラスの客層はかなり広範囲にわたる。典型的な例をあげると、物理的にも社会的にも安全性を求める堅実な熟年夫婦などにはエレガンス、一方、「いつかはベンツ」とばかり、ちょっと背伸びしてCクラスに手を延ばす若年層にはアバンギャルドがドンピシャリというわけだ。
メルセデスの影響力は絶大だから、この“一車二色作戦”は、これからけっこう流行るかもしれない。

セダンより個性的で魅力的

そんなCクラスにひとあし遅れで加わったのがステーションワゴンである。
ベンツのワゴンといえば、ひとむかし前まではミディアム・クラス(「Eクラス」)のワゴンが代名詞だったが、1996年に初代Cクラスのワゴン・モデルが登場して以来、こちらもめきめき台頭著しい。とくに旧型は膨らんだテールゲートがクーペ的な雰囲気を醸して、Eクラス・ワゴンよりむしろ強い存在感を放った。

逆に新型Cワゴンは、テールゲートの形状をより普通にあらためた結果、真横や真後ろから見ると、Eクラスに近くなったように思えるが、セダンより個性的で魅力的に見えるのは、今度も同じだ。

セダンより個性的で魅力的

日本車のワゴン・ブームは見事に冷めてしまった。というか、すっかりミニバンに駆逐されてしまった感があるけれど、Cクラスはこの3代目でもさらにワゴンがシェアを伸ばすような気がする。

           
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