ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

Ryu as MEDICOM TOY

ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

TOYO KITCHEN STYLE代表 渡辺孝雄氏との企画対談、2回目となる今回は現在、実際に作業が進められている両社のオリジナルBE@RBRICKに話は及ぶことに。
TOYO KITCHENが誇る職人の手により、驚くべき発想とスピードで製作されているプロダクトサンプルの完成は間近のようだ──

文=秦野邦彦まとめ=高橋猛志(本誌)写真=北原 薫

ステンレス製BE@RBRICK、誕生!?

ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

前回もお伝えした発泡スチロールでのテストショット。
ここから輪切りにし、ステンレスの型紙を作る作業へと移行する

赤司 いろいろお話させていただいているなかで、渡辺社長がカリモクさんのウッド製BE@RBRICKをご覧になって、だったらうちはステンレス加工のメソッドがあるからというご提案をいただいて。いま進めているのが、“ステンレスでBE@RBRICK”という企画です。びっくりしましたね。えっ、ステンレスって曲げられるんですかって。

渡辺 まずは型紙を作って、その型どおりにステンをレーザーでカットして、そこからあとの作業は職人の手作業なんですよ。叩いて、曲げて。

赤司 それを聞いて思い出したのが、ブリキのおもちゃのメソッドですね。まず張り子細工のように作って、それを剥がして平面にして、型紙をとっていくという。でも、ステンレスはブリキとは到底比較にならない硬度ですよね。フラットな四角い板からの形出しって、どうするんですか?

渡辺 ステンレスって叩くと伸びるんですよ。で、火を当てて冷やすと縮む。その原理を応用して、全体のカタチをスムーズに仕上げていくと。

赤司 あっさり仰られましたけど、叩くと伸びて冷やすと縮む素材を接合しながら3Dの立体を作るって、尋常じゃない有り様ですよ。まず、作ってみないと伸縮が計算できない。カット面の大きさや角度によっても伸びが変わるでしょうし。

ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

「既存のプラスチック製BE@RBRICKから型を取ると若干の誤差が
生じるため、発泡スチロールでイチから製作している」とのこと。
ちなみに大きさは1000%サイズ

渡辺 まあ、気の遠くなる作業ではありますね。あとは職人さんの勘で。

赤司 過去にステンレスの立体って作られたことがあるのか興味があって調べてみたんです。そうしたら、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンって車あるじゃないですか? あれの試作の一号機が、じつは全部ステンレスだったんですって。

渡辺 へえ!

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忠実に再現すべく起こされた型。なお従来の製品とおなじく、
首、腕、手首、腰、足が可動(!)する予定

赤司 とにかくどうしてもステンレスでフォルムを出したいってことで、最初の一台作るのに数十億かかってるらしいんです。だとすると、このBE@RBRICKって作るのにいくらかかるんだろうと恐る恐る社長にお値段を聞いたら、僕、びっくりしちゃったんですけど(笑)。

渡辺 どうなんでしょうねえ(笑)。これ全部動くんですよ。担当する職人には動く部分は大変だろうからいいよって言ったんだけど、「やります」って。

赤司 気が早いんですけど、社長これ、いつぐらいにお披露目をするつもりでしょう?

渡辺 早ければ5月。

赤司 えっ、そんなスピードでできちゃうんですか!?

渡辺 まあ、ここまでが大変なんで、あとはそんなに。予定では3体作るつもりですけど、売ろうと思ったらおそらく価格的にはかなり高いものになると思いますね。あくまでプロダクトサンプルということで。うちとしてはひとつのフィギュアというよりは、インテリアのモチーフとしてどう使われていくかっていう意味でのテストピースみたいな。

赤司 すごいなあ。いま、いちばんワクワクしてるのは私かもしれません(笑)。

匠の技によりはじめて成し得る、ステンレスBE@R

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渡辺 最初、4本の脚の部分をBE@RBRICKにしたキッチンをイメージして作ってみたいと思ってたんだけど、ステンレスで脚のサイズは小さすぎて難しいと職人に言われて。

赤司 そこから実際のBE@RBRICKをモチーフにしたステンレスのオブジェに……という流れになりましたね。キッチンが難しいのであれば、むしろさっき社長が仰られたチェアーとかのほうが作りやすいかもしれませんね。たとえば、頭だけのイメージで耳が付いているような。

渡辺 座り心地とかある程度無視すれば、BE@RBRICKが座っている状態、脚を投げ出したままの状態でも上に人間は座れますから。

赤司 今回のコラボレーションがうまく量産までのせられたら、すごく新しくて面白いビジネスモデルがつくれるんじゃないでしょうか。

渡辺 うちの会社、これまでもいろいろ変なものやってるんです。たとえば、戦闘機のF-15。あれは特殊な合金で出来ていて、プレスや抜きが正しく出来たかどうか測るゲージがあるんですけど、それってうちの職人がハンドメイドで作って納品していたものなんですよ。機械よりも職人が手で作ったゲージの方が正確だったって、ちょっと面白いでしょう?

赤司 へえ、手作業でゲージを作るんですか?

渡辺 もともとステンレスの流し台っていうのは、職人さんが全部手で作っていたんです。それがプレス技術とか特殊な溶接技術の発達で、ほとんど機械化されて、どのメーカーも職人さんを辞めさせちゃったんですね。ところが、うちは先代が職人を大切にする人で、ごそっと残したんですよ。で、私が代を継いだときに、せっかくだからステンレスの流し台とデザイナーとのコラボレーションをやったんですね。うちのヒット商品で「3Dシンク」っていう、底に向かって広がっていくシンクがあるんですけれども、これなんて機械のプレスだと絶対抜けませんから。

赤司 いわゆるフラスコ型のシンクですよね。それは絶対量産では作れないのはわかります。

渡辺 プレートを上下に移動することで、シンク自身が立体的に使えるんですよ。だから狭い間口でも調理機能が増すという。そういう昔ながらのハンドメイドの職人がうちに残っていたことで、今回のステンレスでBE@RBRICKを作るという試みも実現できたわけです。

赤司 5月に完成するということで、名古屋の工場にお邪魔しちゃおうかなあなんて思っているところです。これ、将来MOMAとかにも置けるんじゃないかなって考えると、ちょっとドキドキしますね。よろしければ6月にやるメディコム・トイのエキシビジョン用に、1体お貸し頂けませんか?

渡辺 それはもちろん。うちのショールームでも装飾品としてBE@RBRICKを使わせてもらえればと思ってますから。そういう試みをどんどんやることで、インテリアとフィギュアの関係というものを世間に印象づけていきたいんですよ。

ACT 6|BE@RBRICK meets TOYO KITCHEN 後編

赤司 いろいろ面白いことできそうですね。社長とお話ししていると、自分が知らなかったメソッドの部分でいろいろ触発されます。

渡辺 ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいですね。

赤司 そういえば社長、今度洋服のセレクトショップもはじめられるとか。いつごろオープンの予定ですか?

渡辺 とりあえず8月か9月ごろかな。内装のインテリアは結構すごいことになると思いますよ。ぜひ遊びにきてください。

赤司 そちらも楽しみにしています。引き続きよろしくご指導ください。今日はありがとうございました。

ABOUT
Ryu as MEDICOM TOY

赤司竜彦(TATSUHIKO “Ryu” AKASHI) 株式会社メディコム・トイ 代表取締役社長。東京都出身。執筆業からIT系ベンチャー企業に転進。システムコンサルタントを経て(株)メディコム・トイを設立。1996年の設立から、いわゆる大手メーカーといわれる企業とは全く異なる視点と方法論「マーケティングリサーチに基づく商品開発ではなく、自分たちが欲しいものをつくる」というコンセプトでマーチャンダイズを展開。 仮面ライダー/ウルトラマンに代表される「特撮作品」、ルパン三世/ドラえもんといった「アニメ・コミック作品」、スター・ウォーズ/ディズニーなどの「映画作品」を中心に様々な分野のキャラクターフィギュアを製作する。 2000年、自社オリジナルブロックタイプフィギュア「KUBRICK」(キューブリック)、01年にはクマ型ブロックタイプフィギュア「BE@RBRICK」(ベアブリック)を発表。国内外のアーティスト、ブランド、企業とのコラボレーションを多彩に展開し、従来のフィギュアファンのみならず、女性ファンを含めた幅広い購買層を獲得する。 また、玩具の企画製造に留まらず、人気アパレルブランドとのコラボレーションによる限定アパレル商品を販売する会員制ショッピングサイト「BABEKUB CITY」、生活雑貨や家具をアーティストと共同開発する「MEDICOM TOY LIFE ENTERTAINMENT」、NYのアーティストKAWSとの共同運営のショップ「OriginalFake」など多岐に渡る事業を展開中。