リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その1)

リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その1)

Amazing Tales of RAT HOLE

第30回 リー・フリードランダー写真展
『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その1)

ラットホールギャラリーでは現在、6月1日(日)までの日程でリー・フリンドランダー写真展『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』を開催しています。
リーの個展といえば、昨年春の開催に続き2度目となりますが、今回はタイトルにもあるとおり、全点「桜」を撮った作品だけを集めた世界でも初めての写真展となります。さらに、この個展のオープニングにあたり、リー自身も来日してくれ、興味深い場面に遭遇することもできました。そこで本連載『ネズミの穴』では3回にわたり、今回の個展の見どころと、僕自身のリー・フリードランダー観などをお話ししてみたいと思います。

北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)

彼の写真の第一印象は、都会人が切り取った路上の空気感

第30回 リー・フリードランダー写真展<br><br>『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その1)

LEE FRIEDLANDER『Self Portrait』(2005/MoMA N.Y.)5880円

僕がリーの写真にはじめて出会ったのは、いまからもう15年以上前のこと。ちょうど個人的にもジャック・ケルアックの『路上』をはじめビート的なものに感化されていたころで、彼の写真のなかにも同質の空気感を感じたのを覚えています。それはいわば都会人が路上に出たときの視線の行きどころとでもいうんでしょうか。どんなものを撮っても、そこには都会人的なセンスやインテリジェンスがあって、そういう人が切り刻んでる風景だなという印象がありました。
たとえば、看板や数字やメッセージなど、文字の被写体だけを集めた写真集『レター フロム ピープル』。要するにあれは、すでに人工物として確立しているフォントをもう一度複写しているわけなんですが、そこにはひとり荒野を彷徨う孤独感と、それを都会人のインテリジェンスで包み込むような“オン ザ ロード感”が滲み出ていたと思うんです。また、有名なポートレートのシリーズなど街中で撮った作品にも、やはり近いものを感じることができます。

やるなら桜の季節に「桜」をテーマに

前回の個展については、まず彼の代表的な作品を見てもらいたいと思い開催しました。で、本当ならリー自身もオープニングに来てくれるはずだったんですが、都合が悪くなり来日できませんでした。そこでぜひもう一度やろうという話になり、今回2度目の個展を開催したというわけです。

第30回 リー・フリードランダー写真展<br><br>『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その1)

LEE FRIEDLANDER『CHERRY BLOSSOM TIME IN JAPAN THE
COMPLETE WORKS』(2006/FRAENKEL GALLERY)9030円

ご存知の人もいるかとは思いますが、彼自身1977年に初来日したときから日本の桜に魅せられ、その後何度も桜を撮るために来日していましたので、どうせなら桜の季節に桜をテーマにした個展を、ということで、こういう展示をおこないました。つまり、彼にとって桜というのは、日本に来るためのひとつの理由でもあるわけです。また、彼の桜の作品は、これまでも個別には発表されていたんですが、桜だけの展覧会というのは一度もなかったんです。ですから、こういうカタチでリー・フリードランダーの桜を見せるのは世界でも今回が初めてのことです。これは日本サイドからの提案だったんですが、リー自身もとても喜んでくれました。彼にとっても新しい試みですし、桜はいまなお追いかけているテーマですから。

第30回 リー・フリードランダー写真展<br><br>『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その1)

リー・フリードランダー写真展『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』
日程|6月1日(日)まで開催中
時間|12:00~20:00(月曜定休)
場所|RAT HOLE GALLERY
東京都港区南青山5-5-3
HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
でんわ|03-6419-3581

ABOUT
KITAMURA Nobuhiko

東京生まれ。1984年、モード学園卒業後に(株)オゾンコミュニティ入社。ファッションブランド「HYSTERIC […]