坂本龍一 第3回 「音楽」について言いきる
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2015年4月8日

坂本龍一 第3回 「音楽」について言いきる

第3回 「音楽」について言いきる

坂本龍一が読者のギモンにお答えするコーナー。
今回のテーマは「音楽」。作曲におけるオリジナリティ、音楽という学問について、教授は何を思っているのか?

まとめ=オウプナーズPhoto by Jamandfix

作曲に音楽の知識は必要ですか?
そもそも音楽とは、ひとから学ぶべきものなのでしょうか?
学問としての音楽を、どうおかんがえですか?


作曲は過去の作品の引用

作曲の95%は、過去の遺産を糧にしています。作曲家自身の“発明”は、せいぜい1、2%程度で、最大でも5%といったところ。作曲の大部分は過去の作品の引用です。

だから、音楽にかんする知識がなかったら、作曲なんかできるはずがない。言葉を知らなければ小説を書けないのとおなじです。ボーっとしているだけで何かがわいてくるということは幻想です。

世界を大きく変えるほどの、たとえばバッハやドビュッシーなみの天才は、それこそ300年にひとり出るか出ないかというところでしょう。

ビートルズの音楽だって、引用です。黒人音楽、ミュージカルやポピュラー系の音楽、ロックンロール、さまざまな要素がうまくミックスされている。それをキレイにスタイリングしたのが、プロデューサーのジョージ・マーティンだったということです。

ぼくはビートルズには、オリジナリティよりも、豊かな蓄積をかんじます。

学問は作曲に役立たない

それから、学問と作曲は、まったくちがうものです。
音楽の学問というものもありますが、じっさいに作曲するときには役に立たない。

学問としての音楽は、定義づけだったり、ネーミングだったり、ジャンル分けだったり……音楽を理解するための方法なんです。最初にそれをやった人ではなく、あとの人が“あとづけ”として体系化したものだから、いざ作曲に用いようとしても、役立たないことのほうが多いのです。

作曲に知識は必要!
ひとからも学ぶべきであるが、
何よりも自分で学ぼうとしなければ作曲はできない。

と言いきりましょう。


スタイリング|櫻井賢之
グルーミング|ふじた まゆみ(ビタミンズ)
衣装協力|ランバン ジャパン(Tel.03-3289-2782) ニットジャケット21万5250円、ポロシャツ12万8100円、ネクタイ4万5150円、トラウザーズ21万7350円
撮影協力|TIME & STYLE EXISTENCE(Tel.03-5464-3205) VALLEハイチェア3万9000円

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