トム・ディクソン / TOM DIXON
DESIGN / INTERIOR
2015年8月6日

トム・ディクソン / TOM DIXON

トム・ディクソン / TOM DIXON

1959年チュニジア生まれ。プロダクト・デザイナー。

イギリス人の父とフランス人とラトヴィア人の混血の母をもつ。1963年イギリスに移住。
アニメーションの仕事やクラブDJなどの経歴、ロックミュージシャンのような容姿を持つ異色のデザイナーである。

1980年にチェルシー・アートスクールを6ヶ月で中退。その後クラブDJやパンクバンドFunkapolitanのベーシストとしてミュージシャンなどをしながら生計を立てていたが、事故により破損したバイクの修理をきっかけに独学で溶接の技術を取得。
溶接技術を生かし、街中で見つけてきた廃品などでオブジェや家具を製作するようになる。その作品が知人たちの間で評判になり家具デザイナーの道に進む。

1984年にはロンドンで始まったデザインのムーブメント「クリエイティブサルベージ」の創立に関る。
彼らの活動は当時停滞していたイギリスのデザイン・シーンに活気をもたらした。トム・ディクソンが鉄くずから作り出すオブジェはまるで錬金術のようにマネーを生んだという。
同年ジュリオ・カッペリーニに見出され、イタリアの家具メーカーであるカッペリーニから優美なS字の曲線を描く鋼鉄の支柱を持ったSチェアを発表。

1991年アトリエ「SPACE」設立。1994年にはユーロラウンジよりスタッキングが出来、スツールにもなるフロア・ランプ、ジャック・ライトを発表。90年代はプラスティックの可能性を突き詰めたPOPな作品を数多くてがける。

1998年にはイギリスのインテリアショップでありメーカーであるハビタのデザインヘッドに就任。
その後クリエイティヴ・ディレクター(現在は同社コンサルタント)に就任し、次々と新しい試みに着手。2000年には柳宗理の'60年代の名作エレファント・スツールの復刻を実現する。ハビタのディレクターとしてオランダのデザイナー、トード・ボーンチェにロマンチックな照明飾り「ガーランド」の制作依頼をしたのは有名な話だ。
2000年にはそれまでのイギリスの産業に対する功績が認められ大英勲章を受章。

2002年「トム・ディクソンLtd」を設立。独創的なミラーを使った照明シリーズや、1点物のアート作品に近い斬新なプロダクトを発表するメーカーのオーナーとしてトム・ディクソンは独自の地位を確立した。

2004年アルヴァ・アアルトの家具で知られる1935年創業のアルテック社のクリエイティヴ・ディレクターに就任。ケミカルな素材で家具を作ってきたディクソンが自然の素材を手がけるとあって話題になる。フィンランドでもっとも知られた家具メーカーでの新しい感覚の生き生きとした発想で、すでにアアルトの名作家具に黒や白のカラーリングで新しい息吹を吹き込んでいる。

2006年には東京の青山に自身初となる建築プロジェクトであるTokyo HIpsters Clubを手がける。
また新しいビジネスのための実験として同年9月、ロンドンのトラファルガー広場に1000個の新作椅子を並べそれを無料で配った。それぞれの椅子のシート部分には広告が刻印されており、希望する者は自由に持ち帰ることができた。それは輸送コストや消費文化に対する実験的なプロジェクトでもあった。

近年デザインをアートを繋ぐイベントとして世界的に話題のデザインマイアミ/バーゼルにも参加。トム・ディクソンはポスト・モダンの時代に生まれた、手工芸とインダストリアル・テクノロジーをつなぐものを模索する、極めて現代的なデザイナーの一人である。

           
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