坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣『細野晴臣トリビュート・アルバム』を語り尽くす(4)
Lounge
2015年4月7日

坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣『細野晴臣トリビュート・アルバム』を語り尽くす(4)

坂本龍一 × 細野晴臣 『細野晴臣トリビュート・アルバム』を語り尽くす(4)

先月4月29日に放送されたNHK-FM「音楽の美術館・サウンドミュージアム 坂本龍一」の収録から細野晴臣さんとの対談をウェブ独占掲載。4月25日に発売された『細野晴臣トリビュート・アルバム』についての2人のトークのオンエア分4回の最終回です。お楽しみください。

第4曲目「三時の子守唄」

今の音、みんなの気持ちが詰まってる

坂本 この『細野晴臣トリビュート・アルバム』にはまだたくさん曲がありますけど、細野さんの好きな曲は?

細野 全部好きだし、嫌いなのは一曲もないんだよ。曲はさておき、アレンジがいい。

坂本 いやいや、曲がいいから。

細野 ひとつ印象があるのは、とってもすべてが柔らかい。あえていえば女性的っていうのかな。でもマッチョな部分は僕にも少しはあるんだよ(笑)。みんなが取り上げてくれた感じというのが、いまの時代の音なんだなと思うの、全部が。すごくいまの感じを受けたんだな。

坂本 僕もそうですね。それプラス、細野さんへの愛情じゃないですか?

細野 それも感じました(笑)。僕へのというか、僕の音楽へのですね。僕のキャラクターに挑戦してくるようなタイプのものではなくて、たとえば、YMOなんかそういう部分ですよ。よくカバーされるけど挑戦的なのね、これに比べると。

坂本 曲を大事にしていますよね、YMOに比べると(笑)。

細野 それはヒット曲と、ちょこちょこやっているの差じゃないですか(笑)。

坂本 YMOは少々乱暴に扱ってもいいんでしょうね。リトル・クリーチャーズの「ハイスクール・ララバイ」もおもしろいアプローチですよね。

細野 おもしろいよね。

坂本 イントロのドラムンフィルは完全コピーなんですよね、あれ。

細野 びっくりしたのはクチロロ。“□□□”と書いてクチロロ、変わってる。

坂本 彼らも「commmons」から出ているグループなんです。

細野 よくクラブで話題になっているよね。「北京ダック」すごいね。

坂本 このコーラス、すごいですね。ものすごいアプローチで。

細野 意外も意外、おどろきました。

坂本 おどろきました。僕らの世代ではね、“こうくるか”、と(笑)。

細野 そういう刺激もあったな。

坂本 高野寛君 + 原田郁子さんの「終りの季節」も……

細野 これもよかった。今の気分で。

坂本 音色とか、手触りとかね。ワールドスタンダード + 小池光子さんの「三時の子守唄」もいいですね。

細野 いいんですよ。聴きましょうか。この小池さんの声が大好き。最高。

──DISC 1
11.「三時の子守唄」 ワールドスタンダード + 小池光子

第4曲目「三時の子守唄」

坂本 いや~、いいトラックだ。声もいいし、ヴァイオリンもきれいだし。

細野 何度も言うけど、曲はただの素材だから。

坂本 このトリビュートアルバムには総勢何人が関わっているんだろうね。今の比較的シンプルなトラックでも7人です。世代を越えたすごくたくさんのひとが関わっていますね。

細野 僕はなにをしたらいいの? これ。聴いて楽しんでいればいいの?

坂本 ちがうでしょ(笑)。

細野 だって関わってないよ、僕は。

坂本 これにかんしては、ね。これをもらっちゃったら、次にやることがあるでしょ?

細野 そうなの、それはあるんですよ。それはまた今度話そう(笑)。

坂本 みんなそれを期待して、みんなで背中を押しているんじゃないでしょうか。

細野 それは感じました。はい。

坂本 そうじゃないとしても、1年ちょっとやっている「東京シャイネス」のアコースティックな音に近いね。

細野 近いね。なんでだろう。

坂本 なんでだろうね。

細野 いまの音、みんなの気持ちがここに詰まっているんだと思う。気持ちなんだと思うね。

坂本 僕としては、僕たちがつくった「commmons」からこんなにいいアルバムが出せて、本当にうれしいです。

細野 よかった、よかった。

(おわり)

──坂本龍一 × 細野晴臣(1)はこちら
──坂本龍一 × 細野晴臣(2)はこちら
──坂本龍一 × 細野晴臣(3)はこちら

細野晴臣トリビュート・アルバム

4月25日発売

細野晴臣トリビュート・アルバム
『細野晴臣トリビュート・アルバム』

■DISC 1

01.「ろっかばいまいべいびい - Piano Demo ver.- 」 細野晴臣
02.「イエロー・マジック・カーニバル」 ヴァン・ダイク・パークス
03.「風の谷のナウシカ」 坂本龍一 + 嶺川貴子
04.「わがままな片想い」 コシミハル
05.「ハイスクール・ララバイ」 リトル・クリーチャーズ
06.「アブソリュート・エゴ・ダンス」 東京スカパラダイスオーケストラ
07.「終りの季節」 高野寛 + 原田郁子
08.「Omukae De Gonsu」 miroque
09.「ハニー・ムーン」 テイ・トウワ + ナチュラル・カラミティ
10.「北京ダック」 □□□(クチロロ)
11.「三時の子守唄」 ワールドスタンダード + 小池光子

■DISC 2

01.「恋は桃色」 ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ)
02.「スポーツマン」 高橋幸宏
03.「ミッドナイト・トレイン」 畠山美由紀 + 林夕紀子 + Bophana
04.「Turn Turn」 コーネリアス + 坂本龍一
05.「銀河鉄道の夜」 といぼっくす
06.「蝶々さん」 ウッドストック・ヴェッツ
(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー & ガース・ハドソン他)
07.「ブラック・ピーナッツ」 ヴァガボンド + 片寄明人
08.「風をあつめて」 たまきあや + 谷口崇 + ヤマサキテツヤ
09.「日本の人」 サケロックオールスターズ + 寺尾紗穂
10.「風来坊」 ジム・オルーク + カヒミ・カリィ
11.「Humming Blues −Demo ver.-」 細野晴臣

           
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