HANKYU MEN'S TOKYO|攻めのクリエイションを楽しむ2014年秋冬
FASHION / MEN
2015年5月1日

HANKYU MEN'S TOKYO|攻めのクリエイションを楽しむ2014年秋冬

HANKYU MEN'S TOKYO|阪急メンズ東京

トップブランドが描き出す最新スタイリング&阪急メンズ限定アイテムを紹介

攻めのクリエイションを楽しむ、2014年秋冬開幕!

阪急メンズ東京・大阪が今秋冬シーズンに作成した最新カタログのタイトルは、『THE STYLE MODE EDITION AUTUMN-WINTER 2014』。世界のメンズファッショントレンドを方向づけるブランドが満載のこのカタログのページをめくるごとに、つねに革新に挑んできたトップブランドのあたらしい意欲が伝わってくる。それぞれの得意とする部分をさらに色濃く提示するクリエイションと世界観 ―― 美しいデザインを手に取り、着ることの喜びを感じよう。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

阪急メンズのテーマは“RECONSTRUCTION”

阪急メンズのテーマのRECONSTRUCTIONを直訳すると「再建、復興、復元、改造」。これまでの飽くなき創造のステージから、メンズファッションは再構築へ。RECONSTRUCTIONのキーとなるのは、シルエットとカラーだ。

2014-15年秋冬コレクションでは、全体のボリューム感とシルエットに変化をつけて、たとえばテーラードのなかにもカジュアルな要素(スニーカーなど)やスポーティ感(ブルゾンなど)を付加して、ストリートとの親和性の高さをアピールしたブランドが目立った。

阪急メンズでは、それらのなかから、ボクシーなトップスやクロップド丈のブルゾン、ワイドクロップドのパンツなど、あたらしいシルエットのアイテムをピックアップ。ワークウェアを洗練させた秋のリアルモードを“RECONSTRUCTION”として提案する。

考え尽くされた構造的なシルエットがあたらしい

革新的でありながら、よりリラックスしたムードを ―― 今シーズン気になるボリューム感とシルエットは、トップスはビッグシルエットやボックスシルエットで、ボトムスはボリューム満点のシルエットか、テーパードの効いたタイプの対照的なものが中心。

建築の構造合理主義(モダニズム)のように、すべて構造の原理から考えられているかのようなスタイリングは、より快適に着られる服を求める現代人の好みをしっかり反映して、美しさのなかに素材感やカラーを楽しむゆとりも見て取れる。

さらにカラーでは、今シーズンは黒が復活。阪急メンズでは、8月のテーマを「URBAN RIDER」としてレザーの上質な黒の光沢感に、ウォームカラーを合わせるコーディネイトを提案している。着こなしのイメージは、“シックな顔してアクティブなスマート肉食男子”だ。

カラーではさまざまな素材感で出てくる黒に加え、赤褐色のようなカジュアルな雰囲気をもつ茶色なども見逃せない。ダークカラーを重ねて、素材の持ち味からの色の濃淡を意識するのも面白い。

ストリートとリアルを意識した、21世紀のラグジュアリーブランドのあらたな挑戦をたっぷり楽しもう。

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HANKYU MEN'S TOKYO|阪急メンズ東京

世界のトップブランドから、日本人が日本で着るために選ばれた最旬のファッション

林 信朗が語る「THE STYLE MODE EDITION」の楽しみ方(1)

今年創刊60年を迎える『MEN'S CLUB』をはじめ、『Gentry』や『DORSO』などメンズファッション誌の編集長を歴任し、現在は男性服飾の歴史と現在を深く知る有数の評論家として活躍する林 信朗氏。阪急メンズの秋冬カタログ『THE STYLE MODE EDITION AUTUMN-WINTER 2014』を見てもらいながら、今秋冬のメンズファッションの楽しみ方、とらえ方を聞いた。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by jamandfix (still life)Photographs by HOZUMI Hitomi (Interview)撮影協力|Tamagawa Diner

成熟した大人のメンズウェアに注目

渡りの太いハイウエストのパンツにサスペンダーを飾り、白のシャツにベストという着こなしであらわれた林 信朗氏。

阪急メンズの秋冬カタログを見ると、全体的に成熟した大人のメンズウェアで、奇抜なアイデアで驚かそうというものがほとんどなく、ベーシックでニュートラルな印象を受けます。ただ、素材が極上だったり、組み合わせであたらしいシルエットに挑戦したりと、見どころはいろいろありますね。

世界のトレンドを発信するトップブランドのなかから、阪急メンズの顧客のためにバイヤーが着ることを前提としたリアルクローズをセレクションしているカタログなので、日本人が日本で着るために、バイヤーが“インタープリテーション=解釈、通訳”していると理解して見ると、とても楽しい。

グローバル化と、スナップのリアリティ

たとえば10年前までは、モードはモード、クラシックはクラシックとそれぞれ独立・共存していましたが、いまのファッションは、グローバル化が加速することで、たとえばナポリとミラノの距離や、サヴィルロウとパリの距離はほとんどない。デザイナーのトム・フォードとトム・ブラウン、彼らふたりのトムの影響・功績ともいえますが、これからモードとクラシックの融合はますます進化していくことでしょう。

それと、百貨店やセレクトショップの品揃えの充実と、消費者の洋服の知識は、10年前と比較にならないくらい向上しているのも事実です。

ファッション雑誌で「スナップ特集」は大人気ですが、その要因は、リアルピープルのリアルアイデアを見たいから。いま、ファッション誌で、商品紹介とコーディネイトが等価値だとしたら、あるいはスナップのほうが重要かもしれない。

いわゆる街でのスナップは、『MEN'S CLUB』が1963年にスタートした「街のアイビーリーガーズ」が元祖ですが、いまでもピッティ・ウオモに来るバイヤーの自由な発想の着こなし方は大いにヒントになる。ひょっとするとスタイリストのスタイリングより多くの情報量をもっている。だから読者は敏感に反応するし、いわゆる巻物ブームなどは、ストリートやスナップからはじまったと思います。

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HANKYU MEN'S TOKYO|阪急メンズ東京

世界のトップブランドから、日本人が日本で着るために選ばれた最旬のファッション

林 信朗が語る「THE STYLE MODE EDITION」の楽しみ方(2)

日本のメンズブランドへの期待

今回のカタログ『THE STYLE MODE EDITION AUTUMN-WINTER 2014』は欧米ブランド中心ですが、日本のメンズブランドは大いに可能性があると思って見ています。そのポイントは、素材の扱い方や新素材の開発の巧みさで、海外のブランドが日本ブランドとコラボレーションを望むのは、素材によるところが大きい。

しかし残念ながら、日本ブランドは世界に受けるようなシンプリシティはないんですね。たとえば、ハリウッド映画や韓国映画はわかりやすい内容で万人受けするけれど、日本映画はなかなか海外に打って出ていけないのとおなじで、職人技やこだわりが好きだから、ニッチな方向へ行ってしまう。だから、服好きにはたまらないけれど、マスにはならない。これは国民性なんでしょうね。日本の男性は職人志向だから。音楽でも映画でも、カルチャー全般に職人志向があって、それを楽しんでいる。

プロは着ているものでステイトメントを!

自分の着こなしでは、人が着ないものを着ようと思っています。男は歳を取ったらけっこう何を着ても似合うようになるもの。僕たちのような服を生業とする者は、プロとして仕事している以上、着ているモノにステイトメントが必要で、ひとつやふたつ言いたいことがないと。プロが流行を追いかけるようじゃ、しょうがない。皆さんもそういう意識で着こなすと、また違ったコーディネイトが見えてくるはずです。

林 信朗|HAYASHI Shinro
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任し、フリーの服飾評論家に。ダンディズムを地で行くセンスと、メンズファッションへの博覧強記ぶりはファッション業界でも随一。
『メンズプレシャス』ブログ
http://mensprecious.jp/hayashi/

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