スターリング・モス、マセラティについて語る|Maserati

スターリング・モス、マセラティについて語る|Maserati

特集|イタリアンラグジュアリースポーツ、マセラティの100年

Maserati|マセラティ
マセラティで闘った偉大なるヒーロー

スターリング・モス、マセラティについて語る

1970年代のF1を舞台にした映画「RUSH」のヒットは記憶に新しい。それより以前、グランプリの草創期を支えた偉大なレーシングドライバーが、ひとり、まだ存命だ。それが英国人スターリング・モス。マセラティ100周年のイベント会場で、インタビューすることが出来た。

Text by OGAWA Fumio

マセラティ250Fを選んだ理由

──あなたとマセラティというと、すぐに250Fが浮かびます。

スターリング・モス(以下SM) 私は最初このマシンを自費で購入して走らせました。私が買えるなかで、もっともバランスのよいマシンでした。ドライビングポジションが自分のからだに合わずに苦労しましたが、メカニックがその問題を解決してくれてからは、自分とマシンが一体になったようなすばらしい感覚を味わえました。コーナリングは、進入時はハンドル操作しますが、途中から脱出まではスロットル操作で車体をコントロールするんです。その感覚が私は大好きです。

──56年は、この2.5リッター6気筒エンジンを搭載したグランプリマシンで、モナコとイタリアという2つのグランプリで1位を獲得していますね。

SM 56年のモナコは記憶に残るグランプリでした。私は「250F」でオープニングラップの先頭に立ち、レースをリードすることが出来たのです。いっぽう、54年のイタリアグランプリはほろ苦い記憶です。メルセデスのファンジオと、フェラーリのアスカリを押さえて走ったあげく、250Fがフィニッシュラインを目前にしてオイル漏れを起こしストール。私はコクピットから飛び降りてマシンを自力で押しましたが、当然、優勝は出来ませんでした。

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1929年英国で生まれたモス氏、その若かりし頃。現在御年84歳

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Maserati 250F

──マセラティ250Fは54年から58年にかけて数かずのレースで優秀な成績を収めたレーシングマシンですが、どこがよかったのでしょう?

SM ひとことで言うと、とても運転しやすくてパワフル。最初、私は自費で1台購入したのですよ。歯医者の父親から別の目的と偽ってお金を借りて。250Fを選んだ理由は、コストパフォーマンスにすぐれていたからです。壊れにくく、運転しやすかった。いまではグランプリマシンを個人で購入して、しかも上位を狙うなんてことは不可能ですが、当時はそういうことが出来たんです。これと、ニュルブルクリング1000kmなどのスポーツカーレースで走らせたマセラティ「300S」は、すばらしいマシンでした。